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【映画感想】哀れなるものたち

普通の映画館で18禁上映という事で、なかなか珍しく、そして、もちろんというのも変だけど、お色気系も期待しつつ、、早速鑑賞。

原題は、「poor things」
「かわいそうに」とか、「気の毒に」という意味のようである。

冒頭のクレジットで「サーチライト・ピクチャーズ」という会社名が出てくるが、ファンファーレ的な曲が、昔から聞き慣れた「20世紀FOX」のものだな?と思って後で調べたら、ディズニーに買収されて今の社名になった模様。映画好きを自認しているヤツが、今ごろ気付くなよ!という話だが。。

では本題。ネタバレがあるのでご注意。

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まずこの映画、SFラブコメディというようなジャンルに分類されているようだが、いわゆる単純に笑えるようなコメディでは無いよね。強いて言えば、人間を強烈に皮肉ったブラックコメディというところか。

ウィレム・デフォー扮する外科医「ゴドウィン・バクスター(通称:ゴッド)」
つぎはぎだらけのフランケンのような顔や、食事の都度、大きめのシャボン玉のようなものを口から出す所が、化け物のような雰囲気を醸し出すが、どこか滑稽さもある。

そして、何といっても圧倒的主役の、エマ・ストーン扮する「ベラ・バクスター」
川に投身自殺した母親の体と、その時にはらんでいた子供の脳で生かされているベラ。
最初の登場シーンは、確かゴッドとテーブルで対面で食事をしているシーンだったと思うんだけど、これが出来るようになっているということは、脳の推定年齢は4歳から5歳位というところか?

そして次第に性の喜びを覚えて、さらに外の世界も見たいと主張するようになるんだが。。
この頃の想定年齢は何歳位なのか?
体は大人なんだから、実際の子供より早熟なのは分かるが、仕草や発言を見ると、幼稚園児か小学校低学年位かと思えて、この辺りのギャップが面白い。そして、これを演じるエマ・ストーンの演技力がすごいと思う。

そして、マーク・ラファロ扮する弁護士「ダンカン・ウェダバーン」とベラは旅に出るわけだが。。
個人的には、船上を含む、ここからの各地(ロンドン、リスボン、アレクサンドリア、パリ)のエピソードが、それぞれ印象深い。

原色で描かれた、いかにもファンタジーのような世界観も良い。
ロンドンで、馬車が走っている様子を見ると、時代背景は1900年代初頭か?と思うが、先頭に馬の首を付けてカモフラージュした自動車に乗っていたり、街中をロープウェイが稼働していたり、カッコいいデザインの客船だったり、まさにティム・バートンの世界観をイメージしてしまう。
実際は、ヨルゴス・ラモンティスという、ギリシャ出身の監督である。

そして、船で出会った貴婦人と黒人青年や、パリの娼館の主人と交流する事により、ベラはあっという間に、世の中の様々な事を学んで、知的な大人に成長するのである。最後には医者を目指すまでになり、元々知的レベルの高い家系という事なんだろう。
一方、これに反して弁護士ダンカンが破滅に向かって行く狂気。これこそまさに哀れなるものである。

それにしても、ベラが複数の男とまぐわうシーンが多々出てくるが、いずれもエピソードという感じでさらっと描かれており、印象は薄い。

最終的にはハッピーエンドというところか。晴れやかな気分でエンドロールを見る事が出来た。

以上

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