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【映画感想】フィッシャー・キング

特に素晴らしい傑作娯楽映画を選んで上映されるという「午前10時の映画祭」にて鑑賞。今回はその「12」回目のようだが、選ばれた中に、自分のベスト5映画が2つ入っており、観ないわけにはいかないのである。

一つはこの「フィッシャー・キング」であり、もうひとつは「ドライビング・ミス・デイジー」。2019年には、自分の不動のNo1.映画である「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」や、ベスト10内の「パルプ・フィクション」も、この映画祭に選ばれており、自分の映画センスも評価されているような錯覚?に陥って、少し嬉しい。

20代前半に観た映画だが、ジェフ・ブリッジスとロビン・ウイリアムス共に、この映画が初見。
ということもあり、自分としては、ジェフ・ブリッジスと言えば、この映画のラジオDJ、ジャック・ルーカスであり、ロビン・ウイリアムスと言えば、ホームレスのパリーを思い浮かべてしまう。

では、本題。
以下、ネタバレがあるので、ご注意。


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レイ・チャールズの「Hit the road Jack!」をバックに、こちらも「ジャック」ルーカスの過激なラジオDJトークでのオープニング。ラジオDJとして確固たる地位を築いていることを象徴するシーン。とにかくこのシーンが、最初に観た時から印象に残っているんだけど、これは序章。

この映画のメインは何度か訪れる涙腺崩壊のシーンなのである。

・まずは、ホームレスのパリーが実は元大学教授で、奥さんとバーにいた時に、ジャックの過激発言が発端となった銃乱射に遭遇し、奥さんが目の前で犠牲者になっていたこと。そのためにパリーが心に深い傷を負い、今の姿になっている事がわかるシーン。
この映画では、その記憶が蘇ろうとする度に、赤い騎士を表出させている。

・アマンダ・プラマー演じるリディアを、駅(グランドセントラル)で見つけ、一緒に舞踏会で踊っているように夢想するシーン

・やっとリディアへの想いが通じてキス。電話してねと別れた後に、亡き奥さんへの後ろめたさからか、急激に湧き上がってくる記憶(=赤い騎士が襲ってくる)に、錯乱してしまうシーン。

・そしてパリーはマンハッタンブリッジのたもとに辿り着き、輩に暴行され、昏睡状態に陥るのである。暴行される時に「サンキュー」と言ってしまうのは、この苦しさから解放され、奥さんのところに行けるという安堵感からか。

・昏睡状態のパリーを回復させるには、パリーが信じている聖杯(holy grail)しかないのである。ジャックは、その聖杯を必死になって盗み、昏睡状態のパリーの手に渡す。そして聖杯の効果?によりパリーは目覚め、側で寝ているジャックに感謝するシーン。

・翌朝、リディアがお見舞いに来たら、パリーがすっかり回復して、ジャックと他の患者を集めて「I like NY in June, how about you?」を合唱しているシーン。

これら全てで涙腺崩壊してしまう。
でも、ここまで書いて思ったのは、文章で書くと陳腐なネタバラシにしか見えない気がすること。自分の表現力の無さ、文章力の無さに嫌気が差してきたところだが、改めて何回観ても、本当にいい映画なのである。

セントラルパーク、グランドセントラル駅、マンハッタンブリッジなどのNYの街並み、「Hit the road Jack!」、「I like NY in June, how about you?」などの印象的な音楽も良い。

人間誰しも、多かれ少なかれ、心に傷を負っている。その傷に押しつぶされそうになった時は、全てを脱ぎ捨てて夜中の公園で素っ裸で寝転がろう!
そうすれば道は開ける。 by Terry Gillamといったところか。
やっぱり陳腐だな。申し訳ない。

以上

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