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【勝手にお金が湧いてくる”思考”錬金術04】 ~あなたを貧しくするのはたった一つのアレだった~


 すでに40代半ばに差し掛かったヨシイエは、これまでにたくさんの人々と関わってきました。

 職業人としての前半は学校関係にいたので、多人数の生徒を相手にしていた場面が多く、その中にはいわゆる「賢い子」もいれば「そうでもない子」もたくさんいました。

 学校を卒業して、ビジネスマンになった者から風俗嬢になったものまで、幅広い人たちの「学生時代、こども時代」を見てきたことになります。

 犯罪者になった者もいるし、逆に女性雑誌のある程度有名なモデルになった者もいます。まさに両極端であり、ひと言で

「人生とはこうだ!」

と決め付けたり、断言するのは難しいとも感じます。

 さて、職業人としての後半は、公的な学校を離れてどちらかというと泥臭い建築関係に関わる末端サラリーマン役員として過ごしています。

 ここでもまた、いろんな人に出会います。

 たとえば、施工業をしている「職人さん」と呼ばれる人たちの中にも、「一人でいち職人として生きている人」もいれば、「多数の従業員を抱えて経営者」として業務を行っている人」もいます。どちらも職域としては同じで、たとえばどちらの立場でも「大工さん」「設備屋さん」「左官屋さん」などとして世間では見られるわけですね。

 あるいはうちの会社もいちおう企業ですので、いろんな従業員、いろんな同僚とも出会ってきました。もちろん、今は引退しているけれど、私にとっては先輩や上司に当たる人もたくさんいました。さらには取引先のメーカーの人たちなども!


 そうした数多くの人材と巡り合う中で、こちらも40代半ばを過ぎてくると、たとえば60代の定年を迎えるまであと15年しかないわけですから、私より年寄りの人達はみな、仕事を引退したか、辞めてしまったか、死んでしまったかなど、

「人生の結論がある程度はっきりする」

年代に差し掛かってきたわけです。

 むかしの生徒たちはまだ30代後半でしょうから、ギリギリ未来がありそうですが、それでも35歳転職限界説などを加味すると、いよいよ彼らだって後がないわけです。

 すると、

「どういう傾向の人達が、どういう人生を歩んだのか」

「どういう人達が、どういう廃業の仕方、辞め方、死に方をしたのか」

ということが見えてくるのです。

 特に前半に学校という場にいたからかもしれませんが、

「人がどのように成長してゆくのかと、人がその結果どうなるのか」

という対比には、私自身がとても敏感でセンシティブになっている部分があり、

「どのように育てばどうなるのか」

ということは、ひとつのテーマとして見続けてきたと言えるかもしれません。


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 さて、私が企業人として仕事をするなかで、特に一時期「裁判や売り掛け回収、破産処理」などを主に担当してきた話は、ヨシイエのブログやnoteなどを読んでこられた方はすでにご存知だと思います。

(「営業刑事は眠らない」というショート小説は、その経験を物語にしたものです)

 そのおかげで、職業人として

「どうすれば貧しくなるのか、どうすれば破産するのか、どこに破滅する人間の特徴があるのか」

のデータがたくさん入手できたという面はあるでしょう。今日はその答えをズバリお教えしましょう。


 貧しくなる人の特徴、破産した取引先の特徴、あるいは破滅して自殺などを選んだ業界関係者の特徴は、

◆ 独りよがりで、こだわりが強い

ということに尽きます。

 もう、簡単に言えば、

◆ 柔軟でない

ということなのです。

 たとえば、いっしょに仕事をしたり、こちらが材料を納品するなどの業務でお付き合いをしていても、「自分の視点」でしか物を言わない人は、破滅してゆきました。

 商売ですからお互いの立場や利害が対立することはよくありますが、

「うまく調整して、笑顔で思いやりをもって応対する人」

は、仕事の能力が低く、施工技術が低くてもいつまでも生き残っています。

 ところが、どれほど技術が高く、施工がよい職人や作業者であっても、かたくなな人は、いずれ仕事が減ってゆくのです。

 なぜかと言うと、人は結局

「仕事のよしあしなどは、素人や非専門家には判定できないので、”その人の人柄が良いかどうか”で、仕事をしてもらって良かったかどうかの満足度が決まる」

ということなのだと思います。

 建設に関わる仕事は、下手な職人が施工しても10年や20年は持ちます。仮に上手な職人だったら、ひとつの建物を30年持たせるかもしれませんが、そのことが判明するのは30年後であり、ともすれば依頼者・施主は死んでいます。

 それよりも、10年後に、不具合があればすぐ飛んできて親身に応対してくれる下手な職人さんのほうが、依頼者からすればとても心地がよいことになるわけです。

 ですから、施工とはその現場の技術のみを示すのではなく、実はコミュニケーションを含んだ総体だと、わかるのです。

 しかし、このことは施工者・依頼者ともあまり気付かず、

「腕のよい職人こそがベストだ」(技術があれば売上はついてくる)

と思い込んでいる節があるでしょう。


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 建設や建築に限らず、人生はまさに同じで、

「柔軟であること、こだわりを捨てること」

で、お金は自動的に回るようになります。

「プライドなど、不要である」

という心がけがあれば、飢えることはありません。どの職場でもそうです。


 学校現場でもまったく同じで、私が接した生徒の中に、地域で一番の高校に入学する実力がありながら、残念ながら落ちてしまって、別の高校に入ってきた生徒がいました。

 彼はとても地頭がよく、入学時は教師達がこぞって「たしかに彼なら逆転して、よい大学へ入るかもしれない」と思ったものでしたが、どうにもいけません。3年間の高校生活で、結局彼はまったく伸びず、三流短大へ進学する事態に陥りました。

 なぜかというと、どんな授業でも教師に対して「ここは自分はこう思う」と、中途半端に身につけた知識で理論武装して挑戦を挑むのですね。

 そのやりとりは別に悪意があるわけではなく、彼は楽しい授業の一環としてそういう発言を繰り返すのですが、結果として

「ふつうの授業の話が全然耳に入っていない」

という沼にはまってしまったのでした。

 独りよがり、自分ならではのプライドやこだわりは、ほとんど意味を成さないことに、私も気付かされたのです。


 職人の世界では、「中学を卒業したときには、ほとんど何もできないボン(坊主)だった」という人がよくいます。ところが、何も知らないものだから、実直で素直に先輩や親方の言うことを聞き続けて、いつのまにかその企業や職場でいちばんの職人頭になってしまうような人もいます。


 あるいは、親方からいろんなことを教わって、本人は50代にして独立したのだけれど、それからいろんな現場を回って、いまさらになって

「親方のやり方は、間違っていたのだ。いろんな作例をみて、よりよい方法を探すのが面白い」

という人もいます。そういう人は、もう職業人生が数年しか残っていなくても、伸び続けるのです。

 柔軟で謙虚であることは、思考錬金術の基本中の基本だと思います。


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 もう少しだけ、おなじ話を言い換えさせてください。

「自分に自信がある人」

「自負がある人」

も破滅します。

 ”自分は独立してもっと大きく仕事ができる!”

という人や

 ”自分は転職して見返してやるんだ!”

という人が、結果として地べたを這いつくばって自殺して行く様を、何度も見てきました。そういう人には残念ながら

「自負はあっても実力はない」

ことが大半です。ですから、彼らはどんどんお金を失ってゆきました。

(人は能力が低いほど、自分のことを過大評価する傾向があると、心理学でも言われています)

 建築系・建設系業界というのは単位がでかいですから、私の会社でも一日に一回とある荷物を動かすと50万とか100万円が動くことがあります。

 ということは逆に言えば、たったひとつの物件でも騙されたり、施工上の失敗をしてしまうと数十万・数百万で損失が出るわけですね。

 なので、そうした人達は、首をくくるハメになるのです。


 逆に、地べたを這ってでも復活する人もいます。私が見た中で一番すごかったのは、すべて建築現場で出た廃材のユニットバスや、中古システムキッチン、簡易トイレを穴のあいた老朽倉庫に持ち込んで、そこで生活をしていた人でした。彼は建築関係の端くれでしたから、ホームレスにはならず、ただ同然で借りた倉庫をまともな住宅にしてしまったのです。(まあ、トイレはユニットトイレがそばに置いてあるだけでしたから、普通の人の感覚で言う”まともな住宅”とはちょっとズレがありましたが)

 恐ろしいのは、その家?のリビングには囲炉裏が作ってあり、1周まわって小洒落た古民家風になっていたことでした。全部廃材なのだけれど・・・。


 とまあ、名実ともにいろんな人に出会ってきましたが、柔軟であることは、生物として生き延びるための重要な要素です。

 なんといっても

 環境に適応したものだけが、生き延びる

のですから!



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