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あなたは足元を見られている。顧客に、そして会社に。



 ふだん「資本主義をチートする」「新・資本主義をチートする」の連載において

給料安すぎ問題

についてあれこれ吠えているヨシイエですが、同じ話が東洋経済オンラインさんに出ていましたので、さっそくレポしておきます。

 ヨシイエさんの持論は、

「日本人の労働生産性を上げるには、給料を2倍に上げればよい」

「そのためには商品価格をたった10円上げるだけでよい」

というものです。

 ただ、それだけのことができないのが日本人のアホさを如実に現していて、これはもう

「マゾ」なのではないか

と思うくらいですが、まあ、それは脇へ置いといて。


 さて、東洋経済さんの記事です。

https://toyokeizai.net/articles/-/355042

デビッドアトキンソンさんが、日本経済の「モノプソニー」状態を説明なさっていますが、これは簡単に言えば

「会社があなたの足元をみて、十分な給料を払っていない」

というお話です。ようするにバカにされているし、「どうせ一人では生きていけやしない」と高をくくって低い給料に抑えているのですが、実はそうなってしまうのは

会社のせいではない

ことに気付く必要があります。


 会社が俺にしっかり給料を払っていやがらねえんだ、まったく!と鬱憤を貯めるのはとても簡単だし、それを居酒屋でクダをまいて晴らすのも簡単ですが、実は問題の根源はそこではないのです。

 私はふだん、営業の仕事をしていますが、そこでは多種多様な形で「値下げ圧力」が働いています。

 建設に関わる仕事の末端をしていますが、「元請けからの圧力があるので、中間業者にも値下げ圧力がかかっている」「ひいては材料卸し会社にも値下げ圧力がかかる」なんてことは毎日ざらにあります。

 その根本原因は、「末端顧客、施主、工事依頼主が少しでも負けてくれという」からに他なりません。

 あるいは、建設以外の小売業なんかだと

「少しでも安くないと売れない」

ということが影に隠れています。


 しかし、本来であればこれはおかしな話で、労働力にせよ、製品づくりにせよ

「あなたの製品が欲しい、あなたに仕事をお願いしたい」

ということはすなわち

「あなたの働き、製品のよさを、1円でも高いお金を支払うことで”いいね”したい」

ということが本筋のはずですね。

 ところが、現実には

「あなたの製品や労働力をよこせ、さもないと”悪いね”をつけるぞ」

ということが起きているのです。むちゃくちゃですね。だから、これは「足元を見られている」「尊敬されていない」「あなたじゃなくてもいい」「もう、誰の仕事でもいい」なのだということがわかるのです。


 つまり、会社があなたの足元を見ているというよりは、あなたが売り手の足元を見ていて、1円でも安いことを望んでいるから、それが巡りめぐってあなたに降りかかっているということなのですね。


 お金持ちの人たちが、金銭に糸目をつけずにモノを注文したり、良いモノを買うことと、彼らが富裕層になれることは、実は相関関係があります。それは互いの仕事、製品、商品に対して

「これは良い、だから十分に”いいね!”をつけたい」

ということが回転しているからそうなるのです。


https://toyokeizai.net/articles/-/357011

 続編の↑の記事では、「会社が労働者の足元を見ていると、経営者も結局足元をすくわれるぞ」という話が出てきますが、これは売り手と買い手に置き換えても同じです。

「消費者が1円でも安く!と売り手の足元を見ていると、労働者であるあなたの給料も1円でも安く、となりますよ」

ということです。なーんにもいいことはありません。


 そのための解決法として、アトキンソンさんは「最低賃金を引き上げろ」という提言をしていますが、実はこれも真実を掴んでいるとは言えません。賃金を引き上げても、商品代金を引き上げられなかったら、破綻するだけで、実際市井の中小企業では、それが叶わずに廃業の道、倒産の道を選択しているところが多いのです。

 ただし、最低賃金の引き上げは「国家という暴力装置によって強制的になされる」点ではとても有効です。

 日本人はアホなので、「自社商品の値上げ」を10円たりとも自分から行うことはできません。ですから国家権力によってそれが強制的になされるならば、「仕方がないから商品値上げせざるを得ない」ということが生じる可能性はあります。

 本当は、マクドナルドのハンバーガーが1000円になって、牛丼が1000円になれば、最初はぎくしゃくするでしょうが、すぐにあなたの給料も倍以上になるんですがねえ。



 


 




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