現在放送中のアニメ「Sonny boy」がすごい。
今クールも半分折り返しにきてますが、ここで第6話にてとんでもなく大ハネした作品があったので、急いで記事書きます。ほんと見たほうが良い。
そもそもどんなアニメ?
おおまかに言えば、
「異世界モノの皮を被った超絶リアル志向アニメ」
似てるシナリオのアニメでいえば
「無限のリヴァイアス、シュタゲ、ビッグオー」
といった感じで、一見ポップなビジュアル・作風に対して実はとてつもなく重いハードSFをやってるのがすごい。
今、物語構造としては一番複雑になってる作品だと思う。
そもそもどんな話か
この物語では、夏休み中に学校へ来ていた生徒がいきなり、学校ごと異世界に漂流するところから始まります。
漂流先は無人島で「異世界モノ」のような異世界人との交流もなく、ひたすらどうしたら帰れるかを漂流メンバーは模索している。
ただ、この漂流先で彼らは
・重力操作
・テレポーテーション
・電磁力操作
といったような「超能力」に目覚めるのだけれども、なぜ「超能力」が使えるのかは不明となっている。
それと、目的は帰還だから「超能力」が使えることが重要視されていないのも、「異世界モノ」とはかなり違う展開。
つまり、現在の「異世界モノ」全盛の中で、こうした
・異世界からの帰還
・ノット能力主義
といった要素に真正面から取り組んでいることから、今作の本気具合が大いに伝わってくる。
6話で起こった大転換
そして、6話にして物語の目的である帰還の手がかりを見つける。
その手がかりとは、この世界の映像が記されたフィルムで、色んな能力をかけ合わせることで、この世界に干渉できるというものだった。
そこからあらゆる映像を合成させてこの世界から元の世界への帰還計画を練り、いざ実行に移して成功したかのようにみえた。
しかし、帰還したように見えた世界は実はホログラムを見ていただけで、実際に帰ることは出来ていなかった。
そこに、この物語の黒幕が現れ、ことの真相を告げられる。
その真相とは、そもそも彼らは漂流していたのではなく、世界の仕組みにより元の世界から弾き出されてしまった(セリフでは”選ばれなかった”)存在であるということ。
つまり、元の世界から拒絶されているので、そもそも帰りようがなかったのだ。
拒絶された理由は、本当にただの偶然
ではなぜ弾き出されてしまったのか、現状の黒幕や他のキャラのセリフだと
「偶然選ばれなかった」
「神の降ったサイコロ(で決まった運命)」
と説明されている。
つまり、本当に偶然決まってしまったもので、それは変えられないという”理不尽そのもの”であった。
そもそも、能力や漂流というものの元を辿るとそれは”偶然”。
今でいうガチャみたいなもの。
大元を辿って自分たちが漂流した原因を探っていくと、最終的には偶然・可能性に突き当たる。
この転換で作品のテーマが1段階上がった。
前半までは、漂流からの帰還をメインとしながらも裏に「能力」やその弊害(無能力者への差別)についてのテーマがあるように見えた。
ただ、この6話によって、その漂流や「能力」や弊害がどうしようもない理不尽によって決まっている以上、覆すことはできないという非常に現実的で重いテーマを突きつけられることとなった。
分かりやすい物語の構造であれば、黒幕を倒せばその先のアイテムや能力ですぐに帰ることができる様になっているものだ。
ただ、未来そのものが確定している状況では倒したところでどうにもならない(ウォッチメンのラストの展開に近いかも)。
つまり、この先の展開として、決まってしまった未来・結果というものをどう受け入れていくかがこの作品のテーマになってくる。
それは、受験・試合・仕事の失敗や成功あらゆるところで感じる挫折や空虚さについてどのように飛び越えていくかという現実の僕らが一番直面する問題そのものであると言える。
であるからこそ、この物語では分かりやすい展開や感動がなく、登場人物の機微がつかみにくい。
物語を分かりやすく説明する「説明キャラ」の解説ですら、展開によっては違っていたりするので、見る側には情報の精査が要求される。
それはズバリ、現実の会話をしているような感覚に近い。
リアルな少年少女の会話を中心に置こうとしているので、そこを掴みそこねると歯がゆさを感じてしまう。
であるから、そこに今までのアニメの文法でシーンを捉えようとすると単調さを感じてしまうのかもしれない。
なので、この作品を見る際は「現実の延長線上」という認識をもって見る、人間模様を「観察してみよう」と思ってみると楽しみ方が変わってくると思います。
まだ間に合う
ともかく公開話数がまだ7話なので、ここから先どう展開が転ぶかわからない楽しみがあります。
まだ全然ラスト間に合いますのでぜひ視聴してみてください。本当におすすめの作品です。
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