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昔の日本人の名前

 ヨーロッパの人名についてはまだまだ序の口なのですが、相当時間がかかるので、ここで日本人の名前についても挟んで行こうかと思います。
 現在の大河ドラマ「光る君へ」やアニメ「烏は主を選ばない」などの平安時代を舞台にした番組があるので、その理解にも役立つのではないかと思っています。昔の日本人の名前を解説する上で律令制の官職名の理解などが必須であり、必然的にこれらの番組の基礎知識にもなります。

 日本史を学んだ方なら、教科書に出てくる人物がやたらと同じような名前ばかりで誰が誰だかわからない、と思ったことがあるのではないでしょうか。なぜそんなことになっているのかその理由は説明されず、ただただ事実が語られ覚えさせられる、という教育内容に歴史のことが嫌いになった方も多いでしょう。
 それどころか、私たちが学んだ日本史の登場人物の名前は、実は当時そのように呼ばれることはありえなかったという衝撃的な事実も教えられることはありません。しかし、だからといって学校の先生を責めることはできません。彼らは教育課程に沿ってパンパンに詰め込まれた授業時間の中で、せめて面白くて興味を持ってもらえる歴史エピソードなどを盛り込むのが精一杯であり、日本人の名前の構造などという知ったところで入試に出ないような込み入った説明に割く時間はないのですから。そもそも先生が興味すら持っていないし、まったく知らないという事情もあるかもしれません。

 昔の日本人の名前の構造は、現代とは全然違います。歴史上の人物の名前について、私たちは当然のように現代日本人の名前の常識を当てはめて考えてしまいますが、構造がまったく違うので現代の常識は通用しません。まとめて教わる時間はないのですから、ほとんどの日本人は何も知らないまま過ごしています。筆者はある名前に関する解説記事でこの事実のさわりを知って衝撃を受け、自分で調べてみることにしました。すると、その奥行きはかなり深く、日本の地名や官位、令制国、日本神話まで関わってくる、ある意味日本史本体と表裏一体とまで思えるほどの興味深い分野であることが分かってきました。
 日本人の名前の歴史を知らないと、ちょっとした歴史上の人物に関する解説記事を読んでも十分に理解できませんし、古文書の訳文も何を言っているのか分かりません。昔の日本人の名前に関して知ることは、歴史を違う角度から重層的に理解することにも繋がります。
 古代から明治時代にいたるまでの名前の仕組みをコンパクトに解説してみたいと思います。

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