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6話-ライオンと戦うわけじゃねーんだからビビってんじゃねーよ。 〜凡人がカタチになるまで



ここで登場人物をおさらいしておこう。
というかこれから出てくる方も一緒に書こう


さとる

16歳からボクシングを一緒に始める。
高校には行っていない。ペンキ屋で働く。
小学校からいつも一緒。顔はイケメン。俺と一緒でビックリするぐらい勉強できない。
さとるは解答用紙の枠に絵を書いて先生に叱られてた。英語のテストは全部答えを筆記体で書くさとる。めちゃくちゃ綺麗な筆記体で全問不正解。生活環境は俺と一緒であまりよろしくない(同志)
ボクシングの練習終わってからのジュースグループメンバー


森本さん

1つ年上の先輩、見るからにヤンキー。
ボクシングジムに入った時にめちゃくちゃ練習していた。kanaiのシャカシャカをもらう笑
言われたことは必ず守る人(ガード上げろ等)
めちゃ真面目。怠けない。パンチ打てって言ったらずっと打ち続ける笑
ジムの練習と終わってからのジュースグループメンバー。
【現在ワンバランスボクシングジムのトレーナー】


井上先生(恩師)

ボクシングを辞めかけた時に救ってくれた方。
すげー笑顔が素敵。今まで会ったことがない強烈な先生。井上先生嫌いな人を見たことない笑
これから出るもう1人のボクシングの恩師と親友になる。音楽大好き。旅大好き。ちょーオモシロいが口癖


川上さん(恩師)

キャラがさんまさんみたいな人(笑)
人の話をぶった斬って自分の手柄にする笑
情に厚い
会社の社長
いつも選手目線で見てくれる
謙虚
練習がエグい
辰吉丈一郎が有名になる前から接点有り
相手に勝つボクシングではなく、やられないボクシング
いつも僕らに言っていたのは「感謝と反省」


他にもたくさん出てくる人物がいると思う。

それだけ多くの人に関わって頂いたということだ。

ありがとう。みんな。


さて、本題へ

前回の続きをお話ししよう
前回を知りたい人はこれ

ボクシングをテレビで見たことはあるだろうか。

ボクサーというのは強気な発言をする人は多い。

あれは自信過剰ではなく、自分がビビリだから強気な発言で自分を言い聞かせているのだ。

まぁリップサービスってのもあるけど。

ボクシングの試合前に弱気な発言って言うのはNGとされている。

そんなボクシングあるあるの中

ロマンチスト森本は月明かりの下で俺にこう言ってきた。

「俺たち、明日勝てるかなぁ」

普通に言ってくるならわかるけど、

これがもの凄い低いトーンでしみじみ言ってくるのだ。

ちょっと虫の声とか聞こえてたもんな笑

コウロギ的なやつの。

一応、先輩なので
「うーん、勝てるかなぁ」とノってやった。
(もうこの時には敬語は使っていなかった笑)

いまでもこの返しは間違ってはいないだろうと思っている笑

次の日、井上先生が引率でついてきて頂いてて、当日くじ引きで対戦相手が決まる。

森本「いやー広島とかじゃなかったらいいなぁ」
長尾「えっ?なんで?」
森本「なんでって、広島基本つえーんだよ」
長尾「ふーん」
相手は誰でもよかった。俺の目標は日本一になることだからほんとに都合が良い。どうせ勝たないといけないんだし。

しかしその当時広島県は全国でもトップ級の強さの選手だらけの県だった。

さらに岡山県も全国で有名な選手が揃っていて

中国ブロック大会が1番大変なブロックとも言われていた。

鳥取、島根は同時、ゲキ弱県だった。



試合組合せ

人生初めてのボクシング試合&計量

まず計量とはボクシングの試合をする上で自分がエントリーした体重をクリアしないといけない。

階級はいろいろある。

長尾が出場した階級は
バンタム級(当時54㌔まで)

森本が出場した階級は
フェザー級(当時57㌔まで)
※現在はいろいろ変わってる

その当時は体重3キロぐらいしか落としてなかったと思う。

◆プロボクシングの計量は前日の昼過ぎにある
◆アマチュアボクシングの計量は当日の朝
試合は3、4時間後にある。
食べ過ぎ注意です笑

長尾がいたのはアマチュアボクシングだったので当日計量だ。トーナメントの場合はその日に勝っても次の日も計量があるのがアマチュアボクシングだ。

大会終わるまで体重管理…笑


その中で試合を行なっていくのだ。

計量後はすぐに組合せのくじ引きがある。
井上先生が
「俺の黄金の右手で長尾の最高な組合せをプレゼントするぜ!」と言って監督会議へ出かけて行った。

その間に飲み物を取り、ちょっと脱水気味になっているカラダを癒す。

減量したことある人はわかると思うが、
心の底から飲み物と食べ物に感謝するだろう。

口に入れた瞬間、少し目から涙出る笑

これマジマジ。

ボクシングをしていてよく聞かれることがある
それは
なぜ減量するんですか?だ。

お答えしましょう

なぜ減量するのか?

結論!別に減量しなくても良い。です。
でもなぜみんなが減量するかというと
ムダな肉を落とし最高のパフォーマンスを出す体に仕上げるという言葉が1番強い。

減量していいこと一覧
①体が軽いのでスタミナが減らない
②体重を落としてもパンチ力はいつも通り
③体を絞りに絞っているので、減量がない人より体がゴツい(馬力がある)

どうやって減量する?

まずダイエットと減量の違いは水分量が大きいかと。
ダイエット→いっぱい水飲みなさい
減量→水分をなるべくとるな
です。
水分は直接体重に影響するため、試合の少し前の日から水分がかなり少ないです。

もうこれが本当にキツい。

食べ物の我慢はできるけど、水分はキツいんだよなぁ。

あと個人的なことだが、ダイエットの違いは
ダイエット→低カロリー
減量時→高カロリー
かなりの練習量のためカロリーがないと運動ができないのだ。
減量に大事なことは
低カロリーを多くではなく、高カロリーを少量摂取する(俺は)

試合組合せ結果

井上先生が戻ってきた。
ものすごい笑顔でこっちを見ている笑

「俺の黄金の右腕がうなったぜ!相手は…すまん!
広島だ!」

まーどうせいつかやるんだから別にいい。
さっきも言ったんだが、
基本的に優勝しか目指していなかったので組合せなんて正直どうでも良かった。

よくスポーツをしていて組合せを意識する人がいるが、そうゆう人は優勝を目指していない人だろう。

サッカーでもボクシングでも体育でやるバドや卓球なんでも相手が誰など気にしない。
せっかくやるなら全部勝ちたい。
2位でもいいなんて負けを前提に挑んだことはない。

1回戦目、相手は広島県。
長尾の初の試合は始まる。

※森本も広島県だった笑
しかも相手は全国チャンピオン

緊張と恐怖の間  
(冷静と情熱の間)みたいに言ってみた笑

ボクシングの時に思っていたことがある。
自分の気持ちを落ち着かせる為にいつも言い聞かせていたのは
「ライオンと戦うわけじゃない」だ。

ゆーて同じ人間。

ライオンと戦え!はちょっとキツい笑


グリズリーと戦えもちょっとキツい笑笑












相手は広島県の同級生(当時高2)
ぜったいに負けてたまるか!


そしてゴングは鳴った












……




……
















やべぇ。相手くそ強い笑

パンチ見えるけど、何もできない速さ。

あとグローブが小さいから痛い笑

必死すぎて視界の狭さにビビる。

今後ボクシングが上達するほど、視界は広くなっていった。
今は目を基準に足元まで視界に入る。


これで最初から視界が狭くなく、必死でなければ
視界を広くという大切さには気がつかなかったと思う。

ボクシングでも仕事でも
視界を広く、客観的にみれることは必要だと今でも思っている。

・まずいがなければ美味いもない
・辛いがなければ喜びは感じにくい
・がんばったがなければ楽しさは生まれない
(楽しさは多額の金かければ感じることができるかも)
・運動をしなければ不健康になる可能性が高い
・綺麗になりたければ、人より努力する
・強くなりたければ練習する
・死にかけなければ、命の大切さもわからない

ぜんぶがぜんぶじゃないけど、

手に入れる。だったり、感じたい。のならば、それなりの行動と痛手も負うということをボクシングで学んだ。

ほしい。ほしい。ばかりでそれ相応の痛手を負うことから目を背けてはいけない。



試合の内容はフルボッコでやられていた。
このままではやられてしまう。

ガードが上手で顔にぜんぜん当たらなかった。
もう半分以上諦めていた。

でも性格がしつこい俺は、なんとか突破口を探した。


顔に当たらない

顔に当たらない

顔に当たらない

顔に当たらない

顔に当たらない


そうか、ボディならなんとかいけるかもしれない!

ボディの打ち方をフラッシュバックさせる!!
どの角度、どのタイミング、どんな足の位置…




うっ打てない!!





ボディ習ったことねぇ…


打ち方がわかんねぇ…



これはテレビで見たやつをマネるしかない。


なんとなく、なんとなくの感じで

最後に超フルパワーのボディアッパーを打ち込んだ!





ズゴーーーン!






手応えあり!!





うわーアバラ折ってやったぜ



相手悶絶して倒れるんじゃね!?




今までスパーリングしてきて
拳にこんなミッチリ手応えあるパンチは初めてだ。


そして相手を見た瞬間、俺は初めて経験をした…

続く




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