見出し画像

平屋を建てる 1週目

20240422記

土曜日の午前中に土地を訪れると、黄色や白色の糸が張られていて、よく見ると、木の杭が何本か刺さっていて、それらを結ぶように糸がピンと張られているのがわかった。建物を建てる場所を正確にマーキングしているのだ。小さな正方形と大きな正方形、そしてそれらを結ぶ廊下が玄関も兼ねている、というのが僕らの建てる平屋の大まかな間取りで、小さなほうは水まわり、大きなほうは居住スペースになっている。

しかし、いよいよ、ようやく、始まったのだ、本当に始まったのだ。設計が終わり、工務店を探し始めてからすでに2年が経っていた。ここまで待たされると、工事が始まったという事実がまだすぐには本当のこととしてうまく飲み込めないのだった。

地面から数十センチほど離れた高さに張られている糸に足を引っかけないように気をつけながら、四角く張られた区画の中に入ってみる。こんなに小さいの?と妻が心配そうに、というより不満たっぷりの声で聞いてくる。小さくないよ大丈夫だよと答えつつ、内心は僕も思ったより小さいなと感じていた。でも、いつか読んだ本に書いてあった、工事中は小さすぎたんじゃないかと心配したもののいざ出来上がってみたらちょうどよく何の問題もなかったと。それがとても印象に残っていて、糸で張られた正方形の中で間取りを想像しながら、小さくないよ、きっと大丈夫だよと自分に言い聞かせた。

妻をなだめつつ、大きいほうの正方形の外側にまわり、敷地のなかの建物の端の位置と、それから、庭にあたる残りの面積の広さを確かめた。これくらいの広さをとれるなら、ちょっとした畑なんかもできるかもしれない。いや、どうだろう、そんなに広くはないかしら。これまで図面で見ては土地に立って幾度となく想像をしていたけれど、いざ実際の線が地面の上に走り、具体的な位置が明瞭に見えたことで、想像できていなかった部分についてのさらに詳細な想像が頭の中で始まるのだった。

何はともあれ、工事は始まったのだ。予定では11月に完成する。それまで毎週のように現場に通い、工事が進んでいく様子をつぶさに観察し記録していきたいと思う。

#戸建て
#平屋を建てる
#建築家と建てる
#家づくり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?