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平屋を建てる 5週目

20240520記

月曜日に浄化槽を運び入れる予定があるだけで、今週の工事はひと休み。人手の問題らしい。でも、その間にちょうど予定していた作業をやってもらうことにした。土中環境の改善である。

土の上にコンクリートの基礎を作るとき、その下敷きとなる土のなかの環境は健やかなものであり続けられるだろうか。健やかな環境というのは、水と空気がちゃんと土のなかを循環する、循環できる環境のことをさす。そのまま何もしなければ、水も空気もうまく循環しない。いわば呼吸しづらい状態になっているわけだ。そんな不機嫌な(?)状態の土の上で暮らすのは人間にとっても不幸だ。ではどうするのか。

炭化した(表面を焼いた)木の杭を地面に打つのである。そして穴を掘って枯葉や竹炭、木炭をそこに詰める。そうしたスポットを土地の地形を見ながらいくつも作っていくのだ。そうすることで、土のなかに菌糸を増やしネットワークをつくる。有機的な水脈、水の通り道ができて、水と空気が行き来できるようになるのだ。こうした考え方は有機土木と呼ばれるそうだ。何でもコンクリートで固めてしまう、埋めてしまう現代土木と対比した言い方のようだ。(より詳しくは高田造園の高田宏臣さんが書かれた『土中環境』『よくわかる土中環境』を手にしてもらいたい)

説明が長くなったが、これは何もスピリチュアルな話、オカルトな話では全然なくて、科学的にも研究されている話だ。でも、こんな話は建築家も工務店もまだ知らないから、これをやりたいと伝える時は少し緊張した。素人が何を言ってるのか、と一蹴されたらどうしよう。幸い、両者とも理解してくれた。工務店のYさんのところのスタッフは、昔そういうやり方をしたって聞いたことがあると言っていたそうだ。

木曜日。高田造園で働いていたことがあり、今は独立して造園業を営んでいるIさんに依頼をして、僕らの現場に入ってもらった。作業そのものを見学することはできなかったけれど(仕事を休めなかった)、あとでIさんから写真を送ってもらって話を聞いた。場所に合わせて、木の杭は長さを変えて打ったという(短いもので約60cm、長いものだと1m50cmほどになる)。その土地の、土のなかの「流れ」を考慮してのことだ。それを頭が少し出る程度に打ったというのだから結構な肉体労働だ。木の杭を打つだけでなく、竹炭や木炭を地面にまき、稲藁(いなわら)もまいたという。土とコンクリートとを直接触れさせるのではなく、その間に層をつくるのが大切なようだ。藁が敷き詰められた建築現場なんて、都会ではまず見られない光景だろう。

ちなみに土中環境を整えるとどんないいことがあるのかというと、湿気が出にくくなるらしい。もちろん、湿気の問題だけでなく、庭を含めた家全体の心地よさにつながっていくのだと思う。住み始めてからどんな場面で心地よさを体感できるのか今からとても楽しみだ。

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