見出し画像

不良たちの永田町抗争② オレの吐いた肉を食えるか?

永田町にはこういう話が結構あるらしい・・・。

これはある官僚が有力政治家F氏(元大臣70代)と若手政治家O氏(50代)の二人とステーキを食べた時の話だ。

ステーキが半分くらい終わったところで、F氏が突然口の中相当噛んだ肉を皿に吐き出した。 「O君、私は歳でもう食べられないから、これ、君が食べなさい。」

政治家の中には自分がどれだけ力を持っているか、官僚にアピールするためにこういうムチャぶりをする人がたまにいる。

O氏はぐちゃぐちゃの肉を口に入れ、「大臣、美味しいです」と言って食べる。

永田町では政治家のことをその人が一番上のポストにいたときの名前で呼ぶ。

F氏は「おお、君、これ食べたか?」と感心している。もちろんバカにしているのだ。

私はこの話を佐藤優氏(元外交官)の本で知った。しかし、私も同じような光景を見たことがある。当然政治家の世界ではない。ワルの世界だ。

会長のムチャぶり

しゃぶしゃぶ

私は以前、都内の不動産会社の仕事を手伝っていた。そこの会長(ボス)の名をここでは金本としておく。

金本会長は元関西系の暴力団の人で、不動産の仕事もそういうスジの仕事が多い。金本会長のカバン持ちをしているのは、奥寺部長だ。二人は同い年で55歳だ。

金本会長は短気だが、私は気に入られていたので、何かされるということはなかった。ほかにもW大学の大学院生の美咲さん(25)、元ホストの山内君が働いていたが、彼らも何かされるということはなかった。

私が仕事を手伝い始めて間もない頃、5人でしゃぶしゃぶを食べに行ったことがあった。

その日、私は金本会長の本性を知った。

金本会長はしゃぶしゃぶに40分で飽きてしまった。すると何を思ったのか、ビールの入ったグラスに卵を”ぐちゃ”っと割り入れ始めたのだ。しかもグラスの上で握りつぶしているので、殻も結構入っている。

「おい美咲、ちょっと手を拭くものを取ってくれ。」私は何をしているのか、非常に気になったが、平静を装って肉を食べていた。

金本会長は次に生肉を4枚くらい箸でどっさりすくって、ビールと生卵のジョッキに入れた。

そして満面の笑みでその箸を奥寺部長の口のところへ持っていき、    「奥寺、これ食え。おいしいぞ。」と言う。奥寺部長に対しては普段から当たりが強いのは知っていたが、さすがにこのムチャぶりは断るだろうと思った。

しかし奥寺部長は「会長、1枚ずついただけませんか?」と訳の分からないことを言う。

結局金本会長は肉を1枚にし、さらにタレをサービスして食べさせた。奥寺部長は「はい、美味しいです」といいながらたいらげた。

そうこうしているうちにみんなお腹がいっぱいになって、テーブルの上に肉が10枚くらいとご飯が2杯残った。                  「おい、奥寺。お前全部食え。」 私は途中から見ていられなくなったが、奥寺部長が汚い食べ方で残飯を処理していった。            手が止まると金本会長がすかさず何かを箸でつまんで口のところへ持っていく。

ああ、これがシャリ詰めか・・・。とちょっとかわいそうだなと思った。奥寺部長は青ざめながらすべてをたいらげた。              「美味しかったです。会長。」 「何?まだ終わってないぞ。このビール飲め。」まさかとは思ったが、金本部長は生卵の入ったビールを飲ませるつもりらしい。

さすがに一瞬奥寺部長の顔が歪んだ。しかしそれを見た金本会長は、何を思ったのか店員を呼びつけ、生卵を3つ持ってこさせた。         そしてさっきと同じようにビールの中にぐちゃっと割って入れた。 生卵4つ入りのビール(殻入り)の出来上がりだ。

結局金本会長がムリヤリ奥寺部長の口に押し付けて、半分はスーツにこぼしながら飲ませた。 「おい、どうだ。うまいだろ。」「はい、会長、美味しいです。」

帰り道、美咲さんとタクシーで二人になるとこう言われた。「よしくん。今日会長とご飯初めてでしょ。会長はいつもああやって、初めての人の前で、自分は怖いんだぞ、こんなことだってさせられるんだぞってアピールするのに部長を使うの。」

どうやら政治家も元ヤクザも大して変わらないようだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?