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第14話 最終日。鴨緑江を渡り朝鮮を出る。

「北朝鮮」5日目。 ツアー最終日。


あとこの日は朝9時半ごろの列車に乗り、中国国境の新義州まで行って国を出るだけだ。


私たちはパッキングを済ませ、いつものごとくビュッフェ形式の朝食をとった。


毎朝私たちを迎え入れてくれる「宮廷婦人」も「垢抜けないコーヒー係のホテルマン」も今後会うことがないのだと思うと少し寂しく思った。 


この監獄のような国家で彼らは今後どういう風に生きてくのか気になるが、きっとこの体制が続く限りはこの国に留まり、あまり代わり映えのない生活を送って人生を終えるのだろうと思った。


この国はもう何年も「崩壊する」と言われ続けている。


確かに、このような制度を維持することは明らかに無理があるし、またすでに外国での実情を知っている朝鮮人などは、自分の国の体制に疑いをもち、裕福な隣国と自らの境遇を比べ亡命を企てるような人もいるはずだ。



「北朝鮮入門」という本には、中国との国境から近い地域に住む朝鮮の人々は中国の電波を拾ってあらゆる情報を得ており、また「北朝鮮」には中国の携帯電話なども流入しているそうだ。


またアメリカには「北朝鮮」の人々に向けたラジオなどが放送あり、彼らはなんらかの手段でそれらの電波を拾い、聞くこともできるらしい。


ただこの国ではそう簡単に反乱などおこりようもない。国民は恐怖により縛り付けられており、見せしめのための処刑なども行われるのだ。


この国は金日成が権力を完全掌握して以来、徹底的に政敵を排除し、軍を管理下に置いてきた。そしてクーデターすらできない体制が作り上げられている。そして、そういう体制をバックアップしているのが中国やロシア、また日本やアメリカの一部勢力であったりするのだ。


自民党の重鎮麻生太郎の財閥企業の「麻生セメント」が北朝鮮でビジネスをしているというのは知られた話で、表では「ミサイル、ミサイル」と叫び危機を煽りつつ、裏では手を組んで商売しているというのが私たちの国の実態で、知らぬは踊らされた国民だけである。  

「北朝鮮」が崩壊しないのは、周りの国々の勢力がそれを望まないからで巨大な力がそれを支えているということだろう。




私たちは朝食後、朴さんたちとホテル周辺の平壌の街を散歩した。

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