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制作日記「コスメ部第28話掲載」

現在発売中のゲッサン10月号にて「中高一貫!!笹塚高校コスメ部!!」第28話掲載されております。
どうぞよろしくお願いします。

昔からの悩みですが、自分の漫画が掲載されている雑誌が読めません。
本当はどんな感じに印刷されているか、プロとして作者目線でチェックすべきなんですが、どうも自分の絵の未熟さが恥ずかしくてできない。
目に入ると「うぅほぅー」と変な声が出てしまいます。
自分の漫画が雑誌の後ろの方に載ってることに地味にショックを受けたりもするので、あんまり目次も見たくない。
だから「アオイホノオ」も何とか自分の漫画が目に入らないように探して読んだりするのですが、それもできない時があります。
「やれたかも」の時はnoteで自主連載だったこともあるのか、送ってもらったエピソードを元にしてるからなのか、ちょっと売れたこともあるのか、全然読み返すことが苦じゃなかったし、恥ずかしいという気持ちもなかった。
雑誌という一つのお皿に盛り付けられて、他の漫画と並べられることによって、自分の漫画が相対的に劣っていることに気づく恥ずかしさと、雑誌という一つの「社会」の中で役割を装ってる感じが恥ずかしいのではないかと思います。
「僕、ちゃんとした漫画家ですよ。」って顔してるのが照れる。
コスメの場合は特にギアを3つくらい上げて描いている感じがあるので、シラフで見るのが結構辛いってものあると思う。

でも今回の28話が載ってる雑誌はなぜか読めました。
何でだろうか。自分でもわかりません。特に自信のある回というわけでもないんですが、何回でも読める。こういう回は今までありませんでした。
この謎に無理矢理答え的なものを見つけるとするなら、お話のまとめ方がすごくオーソドックスだったからかなと思います。
雑誌をお読みの方はお分かりかと思いますが、今修行編的な展開になっていて、師匠的なキャラから「お前はダメだ」と言われる。→反発してまず自分のやり方でやってみる。→それがうまくいかない。→師匠にBのやり方を命じられる。→自分のやり方Aを貫くか師匠のやり方Bをすべきか悩む。→そこで考え抜いてCのやり方に辿りつく。
これって何ていうかA→D→E→Aのギターコードといいますか、なんか定石だけど気持ちいい展開ですよね。
そういう「普遍の気持ちよさ」みたいなものが今回はストーリーの中に含まれてたからじゃないだろうか。
ベストキッドでいう窓拭きの動きがカンフーの動きに繋がってるみたいな。
ああいうも気持ちいいですよね。
ちんちんむずむずしますよね。
というわけで今月号はこんな感じです。


寝技頑張って描きました

3巻分無料公開中!!

そして小学館の漫画アプリ「マンガワン」にもこの「コスメ部」が掲載されることになりました!
それを記念して現在3巻分無料公開されております。(2023年10月7日まで)
この機会に是非マンガワンアプリをダウンロードしていただいて(無料)、読んでいただけたら嬉しいです。

今まで単行本出そうが何しようが、ひたすら無風状態だったことでお馴染みの弊作「コスメ部」ですが、今回の3巻無料公開はちょっとだけ反響を感じます。初めて読まれてる感覚がある。
吹いております。微風が。
耳をすませばかすかに。
ヒュオオオオ。
3巻まとめて読むとまた違った面白さがあると思いますので、よろしくお願いいたします!


網走に行ってきました

網走マラソンってのがこないだありまして、参加してきました。
フルマラソンは人生4回目です。
毎回思いますが、いや、今回はいつも以上に「死ぬ!!」と思いました。
トレーニング量も足りなかったし、体重も増えてるし、正直情けなさすぎる走りになってしまいました。
結果は5時間14分で完走しました。
昔はもう少し走れてたんですけどね。
42.195km走ったのに、帰ってきたら体重が2kg増えていました。
なんでやねん。
今までは若かったし、週3日8kmくらい1ヶ月間走ればフルもなんとか走れたんですが、今後はもう少し長めの本格的なトレーニングをしないと完走は厳しいかもしれません。
本格的なトレーニング。。。うーん。。。やだなー。。。

初めてマラソンに出たのはたしか15年前、「第2回東京マラソン」で、その頃は何となく30歳を目前にして「いっちょマラソンでも出てみるか」って感じだったんですが、走り終わってみるとそのしんどさに「もう2度と出ねえ」と思うも、しばらくしたら「なんかもう一回あの死にそうになりたいかも」と思い始め、また出たら「もう2度と出るか!バカ!」と思い、そんな感じで数年に一度「死ぬほどしんどい思い」を日頃の怠惰な自分に思い出させるために、高い参加料を払って出るようになったという成り行きなので、「タイムを縮めたい」とか「サブ4を達成したい」とかそういう進歩的な考えは最初からなかったのですが、加齢もあり、そんなに不真面目な姿勢では今後は完走も難しい感じになってきたのが「今ココ」ということになります。

「マラソンに出ます。」というと「リア充ですね。」と言われることがあるのですが、全くそうではなく、僕にとっては数年に一度の「喝」なのです。
「喝」のためにトレーニングするのって果たしてどうなんでしょうか。。。
大いに審議の必要性を感じます。

マラソンの話もそこそこに、初めて網走という町に行きまして、色々散策もしました。
9月後半の道東は暑くもなく寒くもなく、極めて好天に恵まれていたのですが、商店街はほとんど閉まっているし、時間を潰せそうなお店も見つからないし、そもそも人が歩いてないし、お世辞にも「栄えている」という印象は持ちませんでした。

90年代から続くJRの廃線と減便で暮らしの脚は列車から自動車に移り変わり、それに伴って街の中心も駅前から国道沿いのショッピングモールに変わっていってしまっているということを、酔っ払ってふらっと立ち寄ったスナックのママの敦美さんが教えてくれました。
夜の繁華街もほとんど人通りはなく、お客が誰もいない店に急にやってきた僕に敦美ママは「本当に何で(網走なんか)来たの?」と心底不思議そうでした。
ママはそれまで熱心に取り組んでいたクロスワードパズルを横にやると、数回泡を吐き出さないとビールが出てこない「今日初めて使うのか?」と不安になるビールサーバーでとっても冷たく美味しいビールを注いでくれました。
「もう最悪よ。」が口癖のママと2人でお酒を飲み交わし、どこのお土産屋さんがいいか教えてもらいながら、「インカのめざめ」と「ぽん鱈」をご馳走になりました。
「(網走に)見るとこなんかないわよ。」とママは細いKENTに火をつけました。
その夜は結局最後まで他のお客さんは現れませんでした。
しかしお店の天井からしっとりと流れるアメリカンオールディーズと敦美ママのふるまいから「いてもいいし、いつ帰ってもいいよ」というメッセージを感じ、それが何よりもマラソンでいじめ抜かれた僕の身体に、居心地良さを与えるのでした。
栄えている栄えていない、今後栄える、今後衰退する、ではなく、今そこにあるということ自体から与えられる感情。
それこそが旅の醍醐味かもしれません。
網走にお越しの際は「スナック敦美」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

ではまた。


単行本発売中!!

(↑現在無料公開中部分の続きから読めます。4巻。↑)


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