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どうしても自分を曲げられないこと

よく「思ったことを言えない」と書いているのだけど、私は編集者さんに対してはけっこう自分の意見を言う。

「こういう記事どうですか?」というアイデアはガンガン売り込むし、自分の「こうしたい!」という希望は伝えるほうだ。

そういうところを「熱意がある」と評価してくれる人もいるだろうし、「暑苦しい」と思う人もいるかもしれない。

感じ方は人によって違うので、もし相手に「暑苦しい」と思われても、それはしかたないよなぁ……と諦めている。

だけど、相手から「生意気だ」と思われたら嫌だなぁ、とは思う。

アイデアを出すなら、「暑苦しい」と思われることはあっても「生意気だ」とは思われないだろう。

だけど、相手が「こういうふうにしてはどうでしょうか?」と提案してくださったことに対して、「私はこう思います」という反論をすることがある。

もちろん、失礼な言い方にはならないように気をつけている。できる限り相手を嫌な気持ちにさせないよう、言葉は選んでいるつもりだ。今のところ、対人関係のトラブルはない。

けれど、自分の意見を言ったあとはいつも、

「あぁ、せっかくお仕事をくださった方に対して反論するなんて、新人のくせに生意気だと思われたかも……」

と落ち込む。

もしかしたら、納得いってなくても「そうですね。わかりました!」と編集者さんの意見を通したほうが仕事が来るのかも……。

そんなことを思うと、自分を曲げられない頑固さが嫌になる。

言い訳だけど、しいたけ占いに「射手座は自分を曲げられない」と書いてあった。

そうだとしたら、もう諦めるしかない。母が私を産むのがあと数日遅ければ山羊座だったので、また違ったのかもしれない。

そもそも、なぜ日常の中で思ったことを言えない(言わない)のかというと、自分の意見を言うことで嫌な思いをしたことがあるからだ。

子どもの頃から、自分の考えを言っただけで「なんか小難しいこと言ってて意味わかんない」「ちょっと頭いいからってひけらかしててムカつく」と言われることがあった。

大人になってからも、私が自分の意見を言うと、「こいつは自分を論破しようとしている! 負けるもんか!」みたいな闘争心をむき出しにされることがあった(特に男性に多い)。

そういう経験の積み重ねで、「自分の意見を言うことでメリットがある(言わないことでデメリットがある)なら言うけれど、そうじゃないなら言わないに限る」と思うようになった。

別に、だいたいのことは言わなくても済むのだ。

私は今までの日常生活の中で、「思ったことを言えないし、言わなくても平気な人間」だった。

だけど、世の中には「思ったことを言わずにいられない人」というのもいる。

そういう人は人間関係のトラブルが多いし、なんだか大変そうに見える。

思ったことを言える人の中には、思ったことを言ってしまう人もいる。

これ言ったら空気おかしくなるな。
これ言ったら彼女にふられるな。

そうわかっているのに、どうしてもその一言を言ってしまう人。きっと、言わずにはいられないのだ。
私はそれまでずっと、「思ったことを言える人は生きづらさを感じていない」と思っていた。

違う。本当は、ものすごく生きづらいんだ。思ったことを言える人は、「言う」と「言わない」を自分の意思でコントロールできてはじめて、生きやすくなるんだ。

「言ってしまう人」は、「特に言いたくならない人」よりずっと生きづらいんだ。


だけど、この仕事を始めてから、私自身が「思ったことを言ってしまう人」になった(仕事の面でのみ)。

自分がなってみてはじめて、「思ったことを言ってしまう人」の気持ちが少しわかった。

生意気だと思われるのは怖いけど、それでも言ってしまうんだよなぁ。




あと3分何か読みたい気分の方はこちらをどうぞ。山小屋って独身スタッフが多いイメージだけど、意外と既婚者も働いてるんですよね。


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