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「あ、そういうことじゃないです」

人と話していて、あるいはSNS上でやりとりをしていて、

「あ、そういうことじゃないです」

と思うことってある。

相手の受け取り方が、自分の意図と違うことだ。

これ、私はすぐに言う。以前は、場の空気が悪くなるのが怖くて言えなかったけど、最近は意識して伝えるようにしている。

言わずに飲み込むと、それが自分の中でだんだん怒りに変質していくことがあるからだ。

その場では「あ、そういうことじゃないです」としか思わなかったのに、相手に同調してしまった自分への苛立ちが加味されることによって、家に帰る頃には「そんくらい分かれや、読解力案件かよ」と脳内で毒づいている。

それって、相手にしてみたらめちゃくちゃ理不尽だろう。私だったら、「えっ、言ってよ!」と思う。言ってくれたら分かるのに、と。

だから、「あ、そういうことじゃないです」と思ったら、その場で言うようにしている。その場で言えなかったら、あとでメールするとか。

すると、だいたいの人にはちゃんと伝わる。言葉を尽くしても伝わらない相手は本当の読解力案件だから、距離をおけばいいと思っている。

当たり前だけど、言えば伝わる(確率は高くなる)し、言わなければ伝わらないのだ。


少し前、打ち合わせで初対面の方に

「吉玉さんは、山小屋での10年があったからこそ今のような考え方になったんですね」

と言われたので、

「うーん……。山小屋に行かなかったほうの自分を経験してないからわからないです。もしも山小屋に行ってなくても、今のような考え方になっていたかもしれないですしねぇ」

と答えた。

すると、同席していた人たちが少し驚いたような顔をした。

その理由はわかる。普通に考えてそこは、「そうですね~」と流すところだ。私も一瞬「流そうかな」と思ったけど(そっちのほうがラクだし)、伝えるほうを選択した。

誤解されたくないのだけど、私は、相手の発言が不快だったわけじゃない。ただ、自分の考えとは違うと感じただけだ。

だけど、「これ、言わずに飲み込んだらあとでモヤモヤするかも」と思ったので、伝えた。

もちろん、ちゃんと伝わったし、あとからモヤモヤすることもなかった。

「あ、そういうことじゃないです」を言うのは怖い。

相手が目上の方なら「生意気だな」って思われそうで怖いし、相手が気弱な方なら「ガーン……吉玉さんに否定された……!」って傷ついちゃいそうで怖い。

だから、言い方にはめちゃくちゃ気を遣う。なるべく「怒ってないですよ~」というアピールをまぶした表情と口調で伝えるように心がける(実際、怒ってないし)。私は子供の頃から、怒ってないのに「怒ってて怖い」と言われることがあるから尚更だ。

でも、その辺さえクリアすれば、伝えて損をすることはない。少なくとも、今のところは。

だから、もしも私の受け取り方が違っていたときも、「そうですね~」なんて言わずに、「あ、そういうことじゃないです」と訂正してほしい。

あとで嫌われるより、よっぽどいいや。

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