少しだけメディアに出てみて思ったこと
本を出してからというもの、メディアに出る機会がある。ラジオだったり、Webメディアや雑誌の取材を受けたり、イベントを開いてもらったり。
本の宣伝になるので有難い。面白い話ができるわけでもないのに声をかけていただけるのは、とても光栄なことだ。
しかし、人前に出てみて実感したことがある。
私、家で原稿書いているほうがずっと好きだな……。
人前で話をするのが苦痛、というわけではない。イベントではけっこうペラペラ喋っていて、担当編集さんに「吉玉さん、意外とトークできるんですね」と驚かれた。よっぽど、人前で喋れない人間だと思われていたのだろう。
私は人見知りであがり症だけど、仕事なら喋れる。演劇をやっていたので、役を演じることはできるのだ。ラジオやイベントは「吉玉サキ」を演じればいいから気楽で、むしろ、ライターとして取材するときや打ち合わせのほうが緊張する(演じきれないから)。
だけど、好みで言えば、家で文章を書いている時間のほうがずっと好きだ。
内向的なのだろう。年のせいか、最近どんどん内向的になっている気がする。
そういうこともあって、著書がらみじゃないイベント登壇のお話を断ってしまった。お話をいただけるのは光栄だけど、やっぱり、原稿書いたり取材したりしていたいので……。
◇
そんなふうに感じたことは、自分でも意外だった。
自分のことを「自己顕示欲の強い出たがり」だと思っていたからだ。もっと、メディアに出ることで満たされるタイプの人間かと思っていた。
というのも、私は小5のときから「将来は東京でバリバリ活躍して有名になってチヤホヤされたい」という願望があった。
この記事にも書いたけど、クラスメイトから侮られていたからだ。
中2で学校に行けなくなってからは、ますますその願望が強くなった。
もともと小説を書いていたのだけど、「作家になって有名になって、私をバカにした奴らを見返さなければいけない」「それでしか不登校のマイナス分を取り返せない」と思い込むようになった。論理が飛躍している。
◇
中二病が長引いた私は、専門学校生になっても相変わらず、「作家になって有名になりたい」と思っていた。
その願望が消失したのは、学校を卒業したあとだ。
情けないことに、私はお金を稼ぐ能力に乏しかった。自分を養うのは想像以上に大変で、私はますますメンタルを病み、小説どころではなくなってしまった。
気づけば「有名になりたい」とか「見返したい」はどうでもよくなっていて、ただただ、経済的安定とメンタルの安定を望む大人になっていた。心のIKKOさんが「げんじつ~!」と指を振る。
その後、なんだかんだでライターになり今に至る。
やっぱり今も、生活もメンタルも安定しているとは言えない。まあ、自分で選んだことだから、自分で軌道に乗せていくしかない。
今の願いは、こつこつと仕事を続け、実績を作り、信頼を得ること。そして、東京を離れても生活できるよう仕事の基盤を固め、松本に移住したい。
そのための今なんだな、と最近は考えている。
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