法明寺_新緑の桜

初年度その2:集客、広告、売上

教室02

 2015年4月、長年勤めた早稲アカを円満退社(?)した私は南池袋の小さな部屋(=9坪弱、29.5㎡)で、英語指導専門塾を開業した。机は3人掛け1本と2人掛け1本。生徒用のイスは2脚、講師用の回転イス1脚しかなかった。初年度の吉田塾の仕様書(=説明書)にはこんなコース設定が書かれていた。

① 個別指導(1対2):25,000円(税別)/月(90分×4回)
② 個別指導(1対1):48,000円(税別)/月(90分×4回)
③ 少人数制クラス授業:12,000円(税別)/月(90分×4回)

少人数とはいえ、開業してすぐにクラス授業(=集団授業)が成立するはずもなかったので、とりあえずイスは2脚で良かった。よく、塾を開業するときに一気にイスや机を揃えてしまう(=大手の手法)人がいるがそれは止めた方が良いと思う。小さく始めて、必要に応じて備品を買い増していくのが賢明だ。というか私の場合開業資金が極めて少なかった(貯金もなく、金融機関からの借り入れも断られた)のでそうせざるを得なかったのだが、今考えてみれば例えば、その時1,000万円くらい融資を受けていたら、無駄に備品に金をかけたり、借入金の返済で経営的に首を絞めていたかもしれないし、結果的に融資を断られて良かったと思っている。(創業時の融資については色々な考え方があると思う。「創業時が一番借りやすいから借りられるだけ借りて、いざというときの運転資金にした方がよい」という人もいるので)

20150518チラシ表

 上のチラシは5月に折り込んだものです。チラシは開業時に合計4回撒きました。内容は少しづつ変化を加えながら。で、反応はいかほどかというと・・・毎回1万部撒いて、問合せが2~3件。反応率0.02~0.03%でした。結構どやってチラシ書いたんですけど、反応は良くもなく悪くもなく、極めて普通の反応率でした。以下は売り文句です(笑)

1. 高校受験、大学受験のエキスパート講師が個別指導、少人数指導を直接行います。
2. 担当講師は卒塾まで固定。エキスパート講師の指導が継続して受けられます。
3. 授業だけでなく、家庭学習や学校の予習、復習の仕方まで指導します。
4. 進路指導を重視し、志望校選びや総合学習管理も積極的に行います。

「吉田塾の最大のメリットは、指導経験豊富な高校受験、大学受験のエキスパート講師の指導が、個別指導で、あるいは少人数制授業で受けられることにあります。私はこれまで、偏差値25の生徒から、開成高校の学年トップの生徒、東大理Ⅲ合格者に至るまで実に多種多様な生徒を指導してきた経験があります。
 高校入試では開成・国立附属・早慶附属高校などの最難関校を目指す生徒達を指導し、多数の生徒が第一志望校に進学して行きました。また大学入試においても、東大や国立大医学部、早慶上智大等の最難関大学志望者を指導し、数百名もの合格者を輩出してきました。
 もちろん中高一貫校の指導経験も豊富で、中堅私立校から開成中学高校まで実に様々な学校の生徒を指導して参りました。そのような本当のエキスパート講師の指導が受けられるのが吉田塾です。
 なお、吉田塾の講師は吉田豪一人だけですから、担当講師が変わることもありません、笑。ですから生徒のみなさんは、受けたいと思う間はいつまでも吉田の授業を受けることができます。学校の英語の成績を上げるとか、高校入試や大学入試で第一志望校に合格するとか、英検で準1級をとるなど、それぞれの目標を達成するまで、吉田塾は心を込めて全力で生徒のみなさんを指導することをお約束します。」

なんか、良さそうじゃないですか!でも反響は普通でした。一方で、私が独立したことを「風のうわさで」聞きつけて問合せを入れてきた早稲アカ関連の人(生徒や保護者の方)もいらっしゃいました。ありがたいことです。問合せの内訳を見返してみると以下のようになっていました。
4月問合せ者
1 中1女子 元早稲アカ生
2 高2男子 元早稲アカ生
3 高2女子 元早稲アカ生(2番と双子)
4 高3女子 元早稲アカ生
5 高3女子 元早稲アカ生(4番と友人)
6 高3男子 元早稲アカ生の兄
7 中3女子 元早稲アカ生
8 小6女子 元早稲アカ生
9 中2女子 元早稲アカ生
10 高1女子 元早稲アカ生
11 高1男子 元早稲アカ生
12 社会人女性
13 高1女子
14 高1女子

チラシを撒いたのが4/18と4/25の2回。で、純粋に新規の問い合わせは番号12~14の3件のみでした。ちなみに早稲アカを退職する時に「生徒を引き抜いたら訴えるぞ、こら!」みたいな誓約書を書かされた記憶をありません。もしかしたら社内規定のどこかに書いてあったのかもしれませんが。とはいえ、「円満退社」ですから生徒を引き抜くようなことはしませんでした。私がしていたのは以下のようなやり取りだけでした。

「先生、早稲アカ辞めちゃうんですか?」
「そうそう」
「辞めてどうするんですか?」
「自分で塾をやろうと思ってね」
「え!どこでですか?」
「うーん、まだ決まってないけど、そんなに遠くないよ」
「塾の名前は?」
「それも決めてない」
「どうやったら先生の塾を見つけられますか?」
「ネットで検索したらわかるようにしとくよ(笑)」

これ、引き抜いていないですよね?聞かれたことに嘘のない範囲で、直接的な表現は避けて、誠実に答えました(笑)最終的に上記元早稲アカ生の内、5名が入塾することになりました。4月5月の苦しい時期を支えてくれたのまぎれもなくこれらの生徒及びご家庭のおかげです。

 そして5月になりました。5月は18日に1回チラシを撒きました。とにかくお金がなかったので2名入塾するとそのお金でチラシを1万枚撒く(←6万円くらい)、みたいなことを当時繰り返していました。結局4月~5月の2か月間で3回、合計3万部チラシを折り込んで、5月末日までの新規の問い合わせ数は11件でした。結果塾生数と売上は以下のようになりました。

~4,5月塾生数と売上~
4月 塾生数 2名(内早稲アカ関連1名) 売上 61,560円
5月 塾生数 5名(内早稲アカ関連3名) 売上 156,600円

これでは、カミさんから出ていた「至上命令」、「毎月50万円を家に入れること」ができません。これはいよいよ深夜にコンビニで働かないといけないのか・・・と思い、ちょっと離れたセブンイレブンにバイトの応募をした頃にある人物が吉田塾を訪ねてきたのです。

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