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ボカロは何故ムーブメントになったのか

『ボカロ大全』という本を出しました。

良かったらどうぞ!


※挿絵全部ぶちょうが描いてます!

ボカロは何故ムーブメントになったのか

 元来、音楽家がポップソングを発表する方法として「歌手に依頼する」または「自ら歌唱する」という2通りが存在しましたが、ヤマハの音声合成技術「VOCALOID」の登場により、デスクトップミュージック(DTM)において、VOCALOIDによるボーカルを使用することが新たな選択肢となったのです。

 クリプトン・フューチャー・メディアが2007年に発売した『VOCALOID2 初音ミク』は、その前後に誕生したニコニコ動画やYouTubeなどの動画投稿サイトで同人音楽の新たな文化としてムーブメントとなったのです。

ボカロがは何故メジャーになったのか

 2008年8月にlivetuneがアルバム『Re:package』をビクターエンタテインメントからリリースし、初音ミクを使用した音楽CDがメジャーレーベルから発売された初めての事例となったのです。

 翌年の2009年にはsupercellがソニー・ミュージックからメジャーデビュー、同年にEXIT TUNESからコンピレーションアルバムの展開が開始され、一般の音楽業界への進出が顕著なものとなり始めたのです。

メディアミックス作品を発表した『カゲプロ』

 2010年代になると、小説家としても活動するボカロPが登場するようになった。じんさん(自然の敵P)は、自身の発表した楽曲をメディアミックス作品の『カゲロウプロジェクト』(通称:カゲプロ)として展開しております。

 他にも、mothy_悪ノPやてにをはなどが自身の楽曲を原作とした小説を発表しております。

ソロシンガーソングライター、バンドや音楽グループのメンバーとして活動しているボカロPさん


 ボカロPの一部には、ハチさん(米津玄師)やバルーンさん(須田景凪)のように、ボカロPとして活動した後、シンガーソングライターとして活動したり、wowakaさん(ヒトリエ)やn-buna(ヨルシカ)のように、ロックバンドのメンバーとして活動する場合もあります。

 他にバンドや音楽グループのメンバーとして活動しているボカロPだと、DECO*27さん(LOVE LASTS FOREVER)、ギガP(REOL)さん、kemu(PENGUIN RESEARCH)さん(神曲『拝啓ドッペルゲンガー』を2017年以来、最近新曲を出されました!1人オリンピック!)

 kemuさんは富樫以上に次回作が待ち遠しいボカロPさんです。しかし、歌い手のluzさんに『FANATIC』・『FAITH』を提供しているのです。めっちゃカッコイイ曲!

歌唱も行っているボカロPさん

 syudouさん、すりぃさん、Guianoさん、カンザキイオリさん、Eveさんなど、名義を変えずにシンガーソングライター活動(自身の楽曲のセルフカバー等)をしているボカロPもいらっしゃいます。

今のトレンドは「ボカロP」出身が多い

 2018年に米津玄師さん、2020年にはAyaseさんがYOASOBIのメンバーとしてNHK紅白歌合戦に出場しました。

 こうしたボカロシーンの進化により、ボカロ市場は成長を続け、矢野経済研究所の調査によると、2017年に初めて市場規模が100億円規模にまで拡大しました。また、コロナ禍により、エンタメ業界が大きな影響を受けた2020年においても100億円を超える市場規模を維持し続けています。

 今ではボカロP出身アーティストの楽曲もJ-POPのヒットチャートでは存在感を放っているのです。

 例えば、昨年、米津玄師さんのアルバム『STRAY SHEEP』は、Billboard JAPANの年間チャートでアルバム総合、セールス、デジタル・ダウンロードの3冠を達成したほか、Spotifyの国内で最も再生されたアルバムチャートでも3位を獲得。JOYSOUNDカラオケ年間ランキングでは、「Lemon」が4位を獲得しているのです。


 今年3月にストリーミング累計4億回再生を突破したYOASOBI「夜に駆ける」も、昨年のBillboard JAPANのシングル総合、ストリーミング・ソングの2冠を達成、Spotifyでも国内で最も再生された楽曲2位、国内バイラルチャート1位を獲得。JOYSOUNDカラオケ年間ランキングでも6位を獲得しました。

 ヨルシカも自身初のストリーミング1億回再生超えた曲となった「ただ君に晴れ」で、Billboard JAPANシングル総合チャート33位、Spotfyの最も再生されたアーティスト11位、国内で最も再生された楽曲15位を獲得するなど、J-POPのトップアーティストの楽曲と肩を並べるまでになっています。


コロナを味方にするボカロシーン

 また、ボカロ系曲がSNSでヒットしているのにはコロナ禍の影響もある。2020年は外出自粛により、自宅で過ごす時間が増えました。

 そのこともあって共感性が高い曲(『グッバイ宣言』など)をライフスタイルとともにTikTokなどのSNSに投稿するユーザーが増え、コロナ禍でも益々勢いを増すボカロシーンなのです。

【参考】DIAMOND SIGNAL『TikTokでバズる曲の仕掛け人──米津玄師やYOASOBIも卒業生の「ボカロP」とは何者か?』https://signal.diamond.jp/articles/-/730

【参考】株式会社矢野経済研究所『「オタク」市場に関する調査を実施(2020年)』https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2572

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