【ショートショート】タコ足伏線
男は静かに302号室の前に立った。
両親から預かっている合鍵を使いドアノブに手をかけた瞬間、ふと誰かに見られているような感覚に襲われた。
辺りを見回すも人の気配などはなかった。薄気味悪さを覚えながら男は部屋に入った。
この部屋に住む青年が音信不通となり一週間。身を案じた両親からの依頼で男は訪れた。
両親の話では青年は小説家を目指しており、最近はスランプに陥ったようで思うように執筆が進まずひどく悩んでいたようだ。
両親にも立ち入りへの同行を求めたが母親の方の動揺が激しく、やむな