【ショートショート】悩める貯金箱
商店街の鮮銭店にらっしゃいと威勢のいいダミ声が轟く。
貯金箱母さんはうんと見つめ商品を目利きする。
「今日ご主人開封日だっけ。新鮮で良い五百円入ってるよ」
「じゃあ、五百円玉をひとついただこうかしら」
「あと百円玉も五枚ください」と千円札を出した。
「まいど。百円おまけしとくよ」と店主は笑顔で百円を六枚入れ袋の口を縛った。
「ただいまー」貯金箱父さんの声にチャリンチャリンと貯金箱坊やは玄関に走った。
父さんは坊やを抱っこする。「いやぁ。だいぶ貯まってきて重くなったな。いや俺