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回帰分析について、対数変換の意義

回帰分析とは

 回帰分析はある説明変数$${x}$$によって目的変数$${y}$$の変動を$${y=f(x)}$$でどの程度説明できるかを分析するものです。例えば、「最寄り駅乗降者数は、売上高にどれくらいの影響を与えているか」を考える場合、乗降者数を$${x}$$、売上高を$${y}$$としたとき、$${x}$$が増えるほど$${y}$$も増えるはずですが、この時の$${f(x)}$$をどのように設定すべきかという問題があります。
 大抵の場合は$${y=ax+b}$$の一次関数を用いますが、場合によっては$${logy=Alogx+B}$$のように各変数を自然対数に変換してから回帰を行います。
 ここで明らかにしたいのは「直線関係モデルを用いるときと対数変換を行うとき、どう使い分けるべきなのか」ということである。結論から言うなら、「弾性力が一定である」場合に対数変換が採用される。

弾性力とは

経済学の用語で、「$${x}$$の変化率に対する$${y}$$の変化率の比」が弾性力で、もっと詳しく言うのであれば「ある経済変数$${x}$$が1%変化したとき、それに反応して他の変数$${y}$$が何%変化するかを測る尺度」になります。式で表すのであれば以下のようになります。

$$
弾性力=\dfrac{\frac{dy}{y}}{\frac{dx}{x}}
$$

$${\dfrac{dx}{x}}$$が$${x}$$の変化率、要するに何%変化したかを表すのは、下のような具体例を通して理解できる。

$$
今年の売り上げの変化率=\dfrac{今年の売り上げ - 昨年の売り上げ}{今年の売り上げ}
$$

分母と分子を照らし合わせてみればおおよそ理解はできるはず。そして弾性力の具体例は例えば「ある商品の価格が1%上がった場合、需要は何%下がるか」が弾性力にあたり、商品の仕入れなどに利用されます。
 そして、対数変換を行う場合、この弾性力が一定であることが前提条件になります。

数学的背景

対数変換を行ってから回帰分析する場合、$${logy=Alogx+B}$$になることは上で述べたが、実はこの$${A}$$が弾性力にあたり、弾性力が一定であることが条件になることが分かる。式は以下の通り。

$$
Alogx+B=logy\\
(両辺をlogxで微分)\\
\begin{split}
A&=\dfrac{d logy}{d logx}\\
&=\dfrac{dy\dfrac{d}{dy}logy}{dx\dfrac{d}{dx}logx}\\
&=\dfrac{\dfrac{dy}{y}}{\dfrac{dx}{x}}\\
\end{split}
$$

となり、$${A}$$が弾性力の式と一致することが分かる。
 しかし実際のデータというのは完全に数理モデルと一致するわけではなく、弾性力が完全に一定であることは正確にはほとんどありません。なので、最終的には$${R^2}$$値を算出して対数変換を行うべきかそうでないかは判断した方が良いです。
 また、回帰分析は結局もっともらしい数理モデルに当てはめているにすぎないので、過信しすぎないようにしましょう。

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