見出し画像

NPO法人なんとかなるについて学ぶ(GRゼミ10期 第14回 2022年8月16日)

今回のレポートを担当します、セサルです!
追加いただけた皆様のFacebook、日々垣間見ています。
参加されたイベントや読んだ本を知れたり、気づきや考え方を知れたり、様々な方面でご活躍されている姿から刺激をいただいております。今後もFacebookの更新よろしくお願いします!

さて、今回はユーティーさんのやっていること(のうちの1つ)を詳しく知る回でした!
Facebookのプロフィール欄でもひときわ目を引く『認定NPO法人なんとかなる』について、ご講演いただきました。
てっきりユーティーさんによるネーミングだと思っていましたが、岡本さんだったとは…というのが“いちばんの”驚きでした。(“一番の”驚きは本文に。)

1. ユーティーさんの紹介

まずは、GRゼミを主催してくださっている我らがユーティーさんの事業紹介からでした。おさらいですが、私たちが今勉強しているGRとは、行政と民間の良質的で戦略的な官民連携のことです。課題先進国である日本の社会課題を社会全体で解決するために、「21世紀型の社会課題手法」としてGRを勉強しています。事業紹介の中では、官民連携が上手くいった例をご紹介いただきました。

● 第一次産業(農業)の振興

山形県山形市ではセロリのブランド化によって、生産者の所得向上のみならず、流通や飲食における付加価値の向上を図りました。日本野菜ソムリエ協会と山形市が「自治体パートナー協定」を締結し、市民のコミュニティを立ち上げ、「山形野菜」の市内外への発信とブランド強化を目指しました。ユーティーさんは、この裏で両者をマッチングさせる調整役を行いました!

● 観光地のラストワンマイルの解決

駅や空港から見どころまでの交通アクセスの無さを解消するべく、電動キックボードのLOOP社と四日市市が連携協定を締結し、実証実験を実施しました。これにより、国土交通省に向けて安全性を提示することができるようになり、ラストワンマイルの課題解決のみならず、LOOP社にとってもその後の拡大の第一歩となりました。実はこれはLOOP社の殿堂キックボードという「解決策」から課題解決に取り組んだ背景があり、技術や解決策ありきでも社会課題解決が可能であることが分かります。

● 市役所業務の効率化

奈良市役所内の定型業務をRPAソフトベンダーと開発ベンダーが連携し、奈良市へ業務の自動化を実現しました。こちらは全国で4例目、県内初の事例ということで、新聞記事にもなりました。

●災害時の人材不足の課題解決

災害時にボランティアの方々が支援に来ていただけるように、道路整備などの専門技術を要する作業を先ず行わなければいけません。しかし、自治体にはそれらの専門知識を持つ人材はおらず、外部委託先の選定にも課題が多くありました。そこで建設業人材のマッチングアプリを開発する会社と災害時の対策応援協定の締結を行うことで解決を図りました。

●少年院出院者などの再犯防止の取り組み

こちらについては、以降の章で語らせていただきます。

● その他活動

 代表理事
  一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合
  一般社団法人 日本GR協会
 事務局支援等
    シェアリングシティ推進協議会
    一般社団法人 日本医療デザインセンター
 宮崎県高原町 産業官民連携推進官

ユーティーさんがどんなことをやられている方なのか知ることで、これまでに聞いたお話の理由や背景がわかりました。個人的には、「解決策から社会課題を解決するのだってアリだと思うよ。」と以前言われたことがあったので、「こういうことか~」と繋がりました!

2. 認定NPO法人なんとかなる、とは

ユーティーさんが共同代表を務めている認定NPO法人なんとかなる、は、家庭で暮らすことができない若者の自立支援を行う団体です。目指す社会像、使命、提供価値は以下の通りです。

設立者である岡本さんは、ユーティーさんの保育園からの幼馴染だそうです!馴れ初めや共同代表になるまでのエピソードを聞くと、それぞれ別々に歩んできた道が繋がる感じがドラマだなぁ…なんて思いながら聞いていました。(笑)

使命:家庭で暮らせない若者の自立支援

児童養護施設を退所した後や、少年院、刑務所などから出院・出所した後、家族が身元引受人にならなければ若者たちは行き場を無くしてしまいます。家庭で暮らせない若者が一人で「住まい」や「仕事」を探すことは困難を極め、その過程で再犯や反社会的な生活が始まってしまうケースも多くありました。そこで、そういった若者の自立を支援することが、なんとかなるの使命とのことです。

3. 設立背景・事業内容

・児童福祉施設退所者支援事業自立援助ホーム「なんとかなり荘」

「なんとかなり荘」は、義務教育終了後から20歳まで(大学在学中は22歳まで)の様々な理由で家族から離れて自立しなければならない若者や、児童養護施設等を退所後自立しなければならない若者の自立を支援するための施設として、2018年6月に設立しました。定員6名、「個室」で男女を同時に受入しており、2022年1月現在、11名を送りだしています。自立援助ホームは児童福祉法で定められた法定施設で、全国的にもまだまだ数が少ないようです。
自立を目指す若者を家庭的な雰囲気の中で支えるため、スタッフが24時間・365日の体制で常駐しています。宿直スタッフにより日々の「清掃」や「暖かい食事」を提供しており、入荘者の若者は多くの大人に接して見守られる環境で、職場または学校に通い自立を目指して生活します。その他にも、なんとかなり荘で暮らす若者に向けて、就労支援や学習指導、食育を行ったり、スタッフ含めてメンタルケアを提供しています。
こちらは全国的にまだ施設数が少ないものの、補助金などの公的支援を受けられるため、運用面では比較的形になっているのかな?という印象を受けました。(改善点は沢山ある、と仰っていましたが!)

・自立準備ホーム「なんとかでき荘」

こちらは、少年院や刑務所を出た若者の自立準備を支援する施設です。しかし、こちらに対しては公的福祉の支援は届かない現状です。そのため、調理スタッフなどの人員配置はできないものの、掃除を兼ねて様子を見に行ったり、食料差し入れなどを実施しています。支援が集まりにくい側面がある一方で、持続していくために支援が必要です。そのため、支援が集まりやすい社会を実現するため、少しでも誤解や偏見を解消するため、以下のような啓発活動を行っています。

啓発活動
<講演>
<体験者座談会>
<見学会>
<広報活動>

4.「なんとかなる」が「なんとかしたい」こと

自立を支援する中で見えてきた課題に対して、なんとかなるはなんとかしようとしています。その課題が、自立する際のお金の問題です。自立のための必要資金は、約59万円だそうです。給付金が28万円あるとのことなので、差し引き31万円を自立するときに(高等学校以上に行かないのならば、20歳)用意しておく必要があります。
しかし、お小遣をもらった経験がなく金銭管理ができなかったり、長期的な資金計画を描けなかったりするため、自立を目指す若者は貯蓄ができていない状況です。
そこで、なんとかなるの挑戦は、IDA(個人開発口座)の設置です。IDAは資金プールのようなもので、当事者が貯蓄できた場合に、積立したお金から貯蓄額の数倍の資金を当事者に提供する仕組みです。このプログラムが実装されれば、例えば当事者は10万円の貯蓄ができれば自立資金が得られることになります。このプログラムの副次的効果として、自立資金が集まるだけでなく、貯蓄をしたり、使い方の計画を立てたりといった、金銭感覚を養うことができたり、就労意識が湧くといった効果が得られます。

5.直面している課題

例えばIDAプログラムを行うことや、「なんとかでき荘」の運営にあたって、支援が集まりにくいいう課題があります。少年院に入る若者は「犯罪者ではない」のに、です。
そこで、支援が集まるためにはどうしたらいいのだろうか?というのが課題であり、問いです。この問いについて、ゼミではグループでディスカッションしました!
出てきた案としては、クラウドファンディングをやる、SNSで発信といった内容でしたが…誰が、誰に向けて、どのように…などなどを具体的に考えだしたら難しいなぁと思います。

6.まとめとして、学んだことをシェアします。

私が今回の講演で気づいたことは、「そもそも知らなさすぎるな」ということです。お恥ずかしい話で、大変失礼だなと思いますが、知ろうとした機会がこの22年の間にありませんでした。こんなに最前線で取り組んでいる方を前にして、「そういう現状なんだ」という学びを得てしまうのがもったいないなと感じました。
ただ、仮にもGRゼミという社会課題解決を考えるゼミに属している私ですらこの知識量・情報感度だったわけなので、話されても関心すら持たない人だって多いのだろうなと思います。
最初は「聞けば関心を持つ層」に理解してもらうことが第一歩なのではないかと考えます。そのために何が有効なのか、どれだけのコストがかかり、それによって得られるリターンはどれくらいなのか、そんなのを誰が見積もれるのか、そこにGOを出せる人はいるのか、誰なのか、誰がやるのか…真剣に考えるなら、こういうことを具体的に考えないといけないよな、そこまで考えられるようになろうな、とふわふわした考えの自分に喝を入れました。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?