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サイレンの音

                    (残暑も枝豆が美味しいね!)


忘れないように、脳出血で倒れた頃のことを少し書き留めておきたい。

8年前、自宅で倒れた私、意識ははっきりしていた。
風呂から出て、ソファに座りバスタオルで髪を乾かしていると、
右側から身体がずり落ちてしまう。
「脳か?」
スマホに手をのばし、夫に電話をかけ、
テレビでSMAP×SMAPを観ながら、夫の帰りを待っていた。
「あー、右が動かないなー。」
「左脳で何かあったな。」
「生きてられるかな。」
「最期にSMAP観られてよかった。」
なんとも冷静な私。
救急車のサイレンの音を聞くと、命が救われたような気がした。

初めての事だった。

今までは、
サイレンの音とは亡くなった父のところに来た何か嫌な音として、幼い私の頭にインプットされていた。
それは社会人3年目まで続き、半ばトラウマのようになっていた。

命を救ってくれるサイレンの音と共にやってきた救急隊員は、
とてもたのもしく力強く、
おぼつかない私の言葉と、慌てている夫の言葉を的確に理解し、適切な処置をしてくれた。

次、目覚めたのはICUのベッドの上。
身体の右側が、ずんと重く動かない。思っていることが、言葉として口から出てこない。
やっとの思いで出した言葉は、他人にはとても通じる代物ではない。

左脳たった4㎝弱の出血。
この小さな出血が右片麻痺という後遺症を引き起こすと知った最初の日。

ICUを出るころには、
「今の私では誰とも会えない」と
夫と母以外の面会は拒絶する私になっていた。

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