みんなに会う
みんなに会いたいから、リハビリ頑張ろう」
そんな気持ちには、とてもなれなかった。
今まで普通に出来ていたことが
今まで通りに出来なくなるということは
全く想像していなかったのだ。
「心身機能の回復」を目的としたリハビリは、
私にとってストレス以外の何者でもなかった。
病気は治るものだと思っている私。
後遺症が残ることを受け入れていない私。
「心」と向き合う時間なんて与えてもらえず、
すぐに「身」のリハビリは始まるのだ。
そして、
「身」の運動と言葉のリハビリが始まると、
そのことでいっぱいになり、
「心」のことを考えている余裕がなくなった。
ストレスだと思っていたリハビリも、
回数を重ねるごとに、
思い出す言葉や漢字の数が増え、
言葉の聞き取りやすさが増していった。
少し右足を引きずりながらではあるが、歩くことも出来るようになった。
でも、右手指はぴくりとも動かない。
右腕は肩より上に上がらない。
「この私で生きていくのか…」
そう、思い知らされた時、
広い原っぱに一人で立っているような気分になった。
「これからどうしよう」「生活できる?」「仕事は?」「そう、料理は出来るの?」
次から次へと不安が押し寄せてくる。
半ばパニックになっている私に、夫は、
「みんなに会ってみたらいい。みんなも会いたがっているよ。」
私が、きちんと「心」と向き合うためには、
今まで関わってきた大切な人たちの力が、必要なのかもしれない。
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