様子が変な人たち2

さて、歩き遊び決行日

起き抜けから元気にラップをしているおばさまを横耳に朝食会場に向かおうとし、各々が携帯を持とうとしたところ、ももこは微妙な顔をしていた
なぜなら充電が55%しか溜まっていなかったからである

寝ている間に充電が満タンになっていることは当たり前のこととして特段にこやかな表情になるわけではない。しかし起きて充電が8%だったら落胆、諦め、焦燥そういった表情になるだろう
しかしももこは微妙な顔、具体的に言うと、困り眉にアヒル口をかましていた

前夜、コンセントを2つ探すことができず、「変な形のランプだな〜」と笑いながら辺な形のランプのコードを抜き充電器を刺した記憶が蘇る。
私たちがアラジンじゃなかったから…私たちが変なランプ呼ばわりせず愛でていたら…
(ディズニーには詳しく無いのでこれ以上の深掘りできない)

モバイルバッテリーは持っているが、本日のナビゲートを担っていたももこの携帯が55%か〜。なるほどゴーゴー!ってことだな!朝食会場(昨晩ボードゲームをした休憩ルーム)にレッツゴー!がはははは!!!😁

これほどまでに滋賀サイファーのラップは私たちを豪快にしてくれたのだ。ありがとう。

いくつかのおかずとおにぎりが乗っている和食のワンプレートを食べすすめ、「あ、ももこと全く同じおかずの残り方で食べすすめてる。わたしたちって仲良しだなあ」と素直に嬉しくなった

朗らかな空気に満ちたところで、飲み物を取りに行く。すると…

5人組の女の子たちが朝っぱらからUNOをしていたのだ。それも至極しずかに。

ももこと自分の分、2杯の牛乳を取りに行ったはずなのに、動揺しすぎてあったかいお茶を1杯だけ汲んで席に戻った。戻る時も、コンプレックスでもあった離れた目を最大限に活かして、5人の女子の様子を見張った。
何回見てもどの角度から見ても静かにUNOをしてる…

席に戻ってももこに事を話し、実際に見てもらうために、ごくごくと熱いお茶を流し込んだが、飲み終わった頃にはもう女の子たちはそれぞれ携帯を触っていた。
UNOがそんな早く終わるわけないと思うが、一方であの空気感の中「もう辞めへん?」と誰かが言い出すとは考えにくい。
朝からUNOをする女の子、おしゃべりする女の子、携帯の充電が出来てなくて微妙な顔をする女の子、気にしないふり男の子♪おっと、ついチョコレイト・ディスコを歌ってしまった。

謎は残るが、perfumeを小躍りしながら陽気な気分でチェックアウトし、カーテンも布団もない下宿先に車を置くために向かう。

2人での思い出が数多に詰まった部屋だ。2人でポップコーンを作ったりパイナップルを食べたりお昼寝したりした場所で、大学最後の思い出を今から作るんだな。と再確認した。

そして私は「今日と明日はまじで頑張ろ。これ良かったら。」と至って真面目な顔をして緑青カエルマフラーをプレゼントした。
第三者から見れば、正気の沙汰じゃないマフラーかもしれないが、私とももこは「カエル」に敏感だった。(真実を言うと、私たちは「キリンが全動物の中で一番好き」という共通点から仲良くなったはずだったが、いつのまにかももこはカエルにうつつを抜かし、カエルのピアスを毎日メルカリで検索してたため、「キリンが好きなんじゃないの!?」と私がヒステリックを起こしていただけ)

それも私たちは緑色と青色が好きだ。このマフラーは"愛"が詰まっている。だからももこも「サイコー」と言いながら早速巻いてくれた

さて、私たちがこの市内の保育園を歩いて回ることの目的は、14園を駆使した謎解きを作ることである。各園に文字を充て、並べ替えたら一つの文になるという謎を作成するためには、ホワイトボードが必要だ

最寄りのダイソーまで歩き、100均で300円のホワイトボードを買う。
そしてまたアパートを通過してスタート地点に向かった。この時点でお察しだが、スタート地点に着くまでに既に5キロは歩いていた。この旅がもたらす過酷さに気付いていない振りをするのが大変だった。家族ができたらダイソーには車で行くべしという家訓を掲げよう。

3園目終わる頃には、ももこがナビとホワイトボードへの記入。私が標高や歩いた歩数の計算、ホワイトボード持ち係とそれぞれの役割が確立してきた。
自分達が歩いた軌跡を記すことができるアプリは、もしもの時に備えて2人とも起動させておいた。圧倒的準備不足だったにも関わらず、始めてしまえば始まるのだ。

旅を通して、2人が一貫して思っていたことは、「何があってもヒッチハイクに間違われたくない」ということだ。ヒッチハイクをしている人たちを馬鹿にしているわけではない。
ホワイトボードを手首にグリングリンに巻き付けながら(歩いていると紐がくるくる回って手が鬱血するアレ)(リュックに入らなかった)歩いている事で、
「あの子たち、ヒッチハイクしてるのに誰にも乗せてもらえなくて歩いてるのかな…かわいそう😢」となることを避けたかったのだ
私たちはなんにもかわいそうではない
そしてヒッチハイカーたちがかわいそう呼ばわりされるのも心外だ

まあとにかくホワイトボードを隠しながら隠しながら歩いていた。(文字を消せばいいじゃないかという意見は一旦置いといてくれ。それもまた一興だったんだ)
それまで、太文字で書いたり、白抜きにしてみたりと、簡易的なアレンジをしつつキーワードを書いていたのだが、「幸せ」だけずば抜けて変だった。なんだこのフォント
見れば見るほど奇妙だ
後から見返しても、他のアレンジは被っているのに、この花餅みたいなのはは幸せだけに付いていて、気持ち悪かった

ただでさえ、ホワイトボードを持っているだけで好奇な視線を向けられるのに、花餅幸せを持って歩くことで私は緊張していた
あの子たち、宗教の勧誘かしら…など
"意図"を好き勝手に想像されるのは怖い

何が起こるわけでもなく、ももこと雑談をしながら歩く。

「歩くの飽きたな、何する?」
「なんかもう、全部辞めてボーリングとか行く?(近くにラウンドワンがある)今一番ボーリングしたいわ」
「あ、じゃあ映画の違法アップロードしようや」

?????

ボケのつもりで発した言葉が宙に消え、妙な提案を本気でされていた。
映画とボウリングは確かに同ジャンルだが、映画の違法アップロードとボウリングは"じゃあ"では繋がらないと思う

私はももこの言葉を言葉のまま受け取り、アマゾンプライムなど映画のサブスクリプションサービスにある映画を画面録画を駆使してYouTubeにアップするのかと思っていたが、どうやら最近見た映画を説明し合うという遊びがしたかったらしい。
(後から知ったが、どうやらその頃Twitterかなにかで、YouTubeなどでオススメの映画を事細かに詳しく解説しながらおすすめするのは違法アップロードに当たるのか否かみたいな議論がされていたっぽい。友達を犯罪に巻き込む女ではなくタイムリーな話題ができる女だった)

そして最近見たという小栗旬主演の映画「ウォーターズ」を言葉で違法アップロードしてくれた。

ももこはこの映画の違法アップロードを、全く面白くなかったけど…という言葉で始めた。
全く面白くなかった割には、「ここは後のストーリーに別に関係ないんやけど…」と言いながら映画の最初1分くらいのシーンも丁寧に教えてくれた。本当に違法アップロードする人たちももしかしたら責任感などを抱いて違法アップロードをしているのだろうか。と視野が広くなった。

ももこのウォーターズアップロードにはちゃんと1時間42分くらいのボリュームがあった。最終的には一緒に見た気持ちになり、不思議な感覚だった。ももこの言う通り確かにウォーターズはそんなに面白くなかった。

そうこうしているうちにお腹がすき、部活終わりの男子高校生から逃げるように食事処を探す。男子高校生から逃げてたら蕎麦屋が見つかった。男子高校生と蕎麦屋は対局だからな。

気持ち悪い花餅フォントの幸せを持った女性たちにも優しく接客してくれ、むちゃくちゃうまい(むちゃくちゃうまい)そばを食した

2人とも食べ終わりお茶を飲みながら今後の予定を話し合う。

店内には、私たち2人、後ろの4人がけ席に3人のおばさん、カウンターに1人のおばさんが配置されていた

ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ、おばさん3人組の話は止まるところを知らない
カウンターにいたおばさんが立ち上がる。
3人のおばさんの方に向かう。
突然話しかける。(!?)

それも、全く違う話題で盛り上がっていたのにも関わらず、「そういえば私の娘がね〜!!!」と絵に描いたような娘マウントをし始める

3人のおばさん「あら〜それは嬉しいわねぇ!それでね、さっきの話なんだけど…」

カウンターおばさん「あっ!そうそう、私の娘が言ってたんだけど、」

3人のおばさん「へぇ!それは良いことを聞いた。それでね、さっきの話なんだけど…」

カウンターおばさん「いやぁ、面白いわよね〜。みなさんの娘さんはどうなの??」

4人で来たのか…?感染症対策で席を分けられたのだとしたらだとしたらカウンターおばさんが不憫だが、そうでないにしたらあまりに図々しすぎる。カウンターの本来の意味を思い出した。会話はボクシングだ。

蕎麦屋、もといボクシング会場を後にし、再出発。
私がアプリの履歴を消してしまい、それまでのGPSデータがパァになったりもしたが、我々は非常に自分達のことが分かっており、ももこもアプリを起動させていたため、絶望ではなく、なんならちょいウケで済んだ。

まだ1日目の昼までしか書いてないが一旦終わろう。またいつか、

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?