エイシンヒテン、勝利を。

「 エイシンヒテン先頭、エイシンヒテン先頭、5馬身、6馬身、エイシンヒテン圧勝で今、ゴールイン。エイシンヒカリ産駒、初出走初勝利を飾りました。」
 そんな光景を、目撃したい。

 現役時代、僕はエイシンヒカリの大ファンだった。エイシンヒカリといえば、やはり三つのレースが印象的だと思う。外ラチまでヨレても尚、勝利したアイルランドトロフィー。完勝でGⅠ初制覇した、香港カップ。並み居る欧州のGⅠ馬達を相手に10馬身千切ったイスパーン賞。この三つ。だが、僕が彼に魅了されたのはそのキャラクター。圧勝したかと思えば、惨敗する。パドックでは、暴れることもあった。そんな個性的キャラクターに惹かれて、虜になった。
 あれから時は流れ、今週。日曜の阪神5Rで、エイシンヒカリの初年度産駒が、愈々、デビューを迎える。名前は、エイシンヒテン。栗毛の牝馬で、母はエイシンサンバレー、母父がエイシンワシントンだから母系はダマスカス系である。ダマスカス系ということは、米国型血統。米国型血統は、仕上がりが早く新馬戦に強い。ディープ系も言うまでもなく、新馬向きである。その上、父エイシンデピュティの兄のエイシンルカーノがデビュー戦3着。父系がデビュー戦得意としない欧州血統の父タイムパラドックスの兄のエイシンパラダイスでさえ、デビュー戦2着。だからエイシンヒカリの種牡馬成功の為にも、何としても、走ってもらわなくては困るのが、彼女、エイシンヒテンである。だから──。
 だから、圧勝を期待する。ただの勝利ではなく、圧勝を。他馬を圧倒する走りを。あのイスパーン賞の様な完勝を。エイシンヒカリ産駒の衝撃的な鮮烈なデビューを、エイシンヒテンに飾って欲しい。
 エイシンヒテンを、刮目せよ。






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