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無能な鷹は爪を隠しっぱなし

意識の低い人間でも稼げる場所。マスコミやメディアとはそういう場所なのです。アシスタントディレクター(AD)とはゴミ同然の奴隷扱い。最低限、言われたことだけできれば良い職業。特別なスキルは要りません。そういう職場で私はキャリアのスタートを切ることになったのです。

メディアが最高に良かった時代、80〜90年代に私はマスコミに入りました。小学生の頃に「ガンダム」が流行し、多分に漏れず、ガンプラに嵌りました。その結果、自分には手先の器用さがあることに気付きます。手先の器用さ、そして、コミュニケーション力の無さは、1人で黙々とできる「編集」向きであることを自他共に認識していくことになります。

私は業界に入ってすぐにADをやりながら、編集もやっていくことになります。

編集能力は、この後30年の業界生命を支えることになるのですが、何せ、人間として大切なことを大人から何も教わってこなかった私です。言葉遣い、礼儀、マナー、何一つ知りません。当然、バイト感覚です。

加えて、当時の業界はビックリするほど安い。メディアの社員さんは皆さん高給取りでしたが。いや、高給ではなかったかもしれません。ボーナスが出て、手当が付いて、いろんな経費が認められていたから、たくさんお金をもらっている気がしていただけで、実際、基本給なんてそんなに高くなかったんですよね。そんな中で高い意識を持つ方が難しいのです。会社員は働いても働かなくても給料は変わりませんから。出世したい人だけが頑張るのです。

90年代の業界は華やかでした。スポンサーは順番待ち。大手代理店が入れ替わり立ち替わり儲け話を持ってくる。代理店の言うことは絶対。代理店の言うことをきっちりやることでお金をもらえると言うことになるのです。

問題なのは、メディアの社員は高学歴だが無能。現場のスタッフは低学歴で無能。有能な代理店から注文を受けた無能な営業と現場を預かる無能との軋轢が往々にして起こる。当たり前です。メディアは数字を稼ぐのに必死で視聴者のことなど眼中にない。考えなくても、数字がとれる。集客ができる。そんな時代であります。

バブル崩壊後の世の中ではありましたが、90年代はエンタメバブルは続いていました。奴隷同然のADですら、新車が買えるほどの収入を獲得できました。その代わり、寝る間も惜しんで働きましたが。

メディアは無能でも稼げてしまう場所。

能ある鷹は爪を隠す。いや、無能な鷹は爪を隠しっぱなし。いや、爪は隠しっぱなしで問題ない。そもそも爪だったのかもどうでも良い事です。


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