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サザエさんで考える選択的夫婦別姓

先日、「サザエさんで考える!選択的夫婦別姓になったら磯野家はどうなるのか!?」という動画がアップされていました。

いまだに選択的夫婦別姓に反対する人たちの知識不足と思考の浅さがよく表れた見事な動画ですので、ツッコんでいきます。

動画の内容としては、「フネさんとサザエさんが別姓婚をして、家族の名字が3種類になること」を問題視しています。

1. 磯野家はどうなるか?

どうもなりません。今まで通りフネさんもサザエさんも夫婦同姓を選択できます。もし二人が改姓を望んでいなかったのであれば、選択的夫婦別姓制度によって、より幸せに生きられるようになります。

2. 子供の名字が決まらない?

生まれてから14日以内に急いで決めるかのような話しっぷりですが、子供が生まれるのは半年以上前からわかっていることです。話し合う時間は十分あります。

そして、子供が生まれてくるまでの間に、下の名前をどうするか、夫婦で相談しながら決めていますよね。今でもそのことで揉める夫婦はいるでしょう。夫婦別姓を選択できるようになれば、少なくとも夫婦が互いの名字を奪い合う必要がなくなり、揉める原因は大きく減ります。どうして想像できないのか不思議です。

さらに言えば、選択的夫婦別姓と子供の名字を決めるのは別の話です。詳しくはこちらをどうぞ。

3. 表札に複数の名前を書かなければならない?

複数書けばいいんじゃないでしょうか。

ちなみに、アニメのサザエさんでは、磯野さんとフグ田さんの2種類の名字の人が家族として暮らしていますが、表札は「いその」だけです。

さらに言えば、現代は表札を出さないところも多いですよね。プライバシーやセキュリティを考えると、表札を出さない方が安全なときもあります。我が家もそうです。それでも郵送物も宅配便も問題なく届きます。宛名が旧姓でもね。

4. 「磯野」は家の名前ではなくなる?

そもそも家の名前ではありません。その人の氏名の氏(名字)が「磯野」です。家制度は1947年に終わっています。Wikipediaで調べてみてください。明治時代あたりを生きておられるのでしょうか。

5. 電話に出るとき「はい、磯野です」と言えなくなる?

まず、電話をかけてきた相手が誰かわからないのに、いきなり名前を名乗らない方がよいでしょう。今の日本では、電話を使った詐欺行為が横行していますので、プライバシー情報を伝えることには注意しましょう。

ちなみに、アニメの中でフグ田サザエさんは、「はい、磯野です」と電話に出ているそうです。なぜ「はい、磯野です」と言えなくなるのか、よくわかりませんね。

6. 家族に複数の名字が存在するのは問題?

サザエさんのように3世代で同居する家族だけでなく、国際結婚、事実婚、子連れでの離婚・再婚、そして様々な事情によって、複数の名字の人たちが一緒に暮らしていることは珍しくありません。

そのことに対して批判的な態度を取ること自体、差別的で失礼なことです。みなさま、どうぞこの動画を反面教師に、多様な家族が批判されずに幸せに暮らせる社会を創っていきましょう。

終わりに

お気付きのように、磯野家は「複数の名字を使っている家族」の典型例です。最近は、3世代が同居する家族は少なくなっているようですが、家族で名字が違っても、表札も電話も配達も困らずに暮らせることを示しています。

このことは、選択的夫婦別姓制度ができても、特に混乱は起きないことの証です。家族で名字を揃えたい夫婦は夫婦同姓を、今まで使ってきた名字を使い続けたい夫婦は夫婦別姓を、当たり前に選べる社会を目指して。


※電話の項目を追加しました。(2021/11/06)

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