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成長痛の向こう側

先日、B3リーグの埼玉ブロンコスに新オーナー就任のニュースが流れましたね。今日はその新オーナーのPodcastや著書などから僕が個人的に感じたことや、僭越ながら意見などをちょろっと書いてみようかと思います。

≪注意!≫
前提として、僕は今のブロンコスが好きだし、以前Tweetしましたが前オーナー・前社長にはとても感謝しています。
また、下記文中では敬称や敬語は割愛させて頂いている部分もあるのでご容赦下さい。ていうか全部僕の個人的な独り言なのでご容赦下さい。

≪結論≫
ブロンコスの未来は明るい。
来期からの1~2年は改革期。それ相応の痛みも伴うと思われるが、成長痛。
痛みと正しく向き合えさえすれば5年後には組織としての身体能力も向上し、よりダイナミックなプレー(興業など)が可能になる日が来る。必ず。

Podcastを聴いてまず印象的だったのは、今回の買収について「買い取った」ではなく「買い受けた」という表現をされていたこと。

池田氏が前のめりで買収に動いたというより、前株主などからの救助要請に応えた格好だったことが語尾に滲み出ていた。(Podcast内でもそのように明言されている)

同時に、横浜と埼玉の反応の違いに驚いているようにも思えた。

横浜ではベイスターズの社長就任時には地元からかなりの反発があった。

埼玉では前株主(おそらく前オーナー)からの要請に対して誰からも手があがらず、やむなく池田氏が株式を買い受けた格好。

池田氏はブロンコスについて「(埼玉県内の)経済界の人はほぼほぼ応援していない」と言っている。これは現時点でのスポンサー獲得の難しさを感じているようにも受け取れる発言。

それでも買い受けたのは、やはり見捨てられないという想いと、復興させる自信からなんだろうなと感じた。

(もちろん、過去の川崎買収への動きなど、もともとバスケにご関心があったんだろうとは思うけど。)

さて、ここから本題です。

タイトルと冒頭の結論で、「成長痛」という言葉を使ってみました。

中学生くらいで急激に身長が伸びたりするときにくるアレですね。主に膝にくるアレ。運動部出身者なら分かってくれるはず。

成長痛って、そのときは痛くて本来のプレーできなくなったり、骨格の成長に筋肉が追いつかなくて俊敏な動きができなくなったりと、厄介なやつです。

でも成長した後には以前より高く、速く、大きくプレーできたりするものですよね。そして、そのためには成長痛で苦しいときにグッと堪えてどれだけ基礎体力を養えるかがポイントです。

前置きが長くなりました。

ブロンコスもこれからの1〜2年は成長痛に苦しむ時期に入ると思います。

僕が思うブロンコスの主な成長痛は、「人員問題に関する痛み」になると考えています。

”組織が発展するためには”、みたいな話になると往々にして「ヒト・モノ・カネ(最近だと”情報”も)」が並べられるけど、僕は組織が人で運営される限り、すべての問題は結局はヒトに帰結すると思ってます。

なので今回の成長痛においても根本的にはヒト問題になろうかと。

その中でも個人的に特に気になるのは、フロント人員。

フロント人員の話の前に、まずは少し選手人員についての個人的考えを書いてみたいと思います。

池田氏は著書やインタビューでも「”強い経営”を成り立たせることが第一義に目指すべきもの」と語っています。

強い経営のためには、当然スポンサー獲得の強化は必須になると思います。お金がないと安定した経営はできないし。

スポンサーにも様々なタイプがあるけど、”強いから協賛する”というタイプのスポンサーを獲得するのは現時点のブロンコスでは難しいでしょう。

「これからこんなチームになっていく」、「こうやって地域から必要とされていく」という”ビジョンに共感して協賛する”タイプの企業がメインになっていくんじゃないかと思います。

「強いチーム協賛タイプ」の企業であれば、協賛への対価は当然「勝つこと」になるので、試合を観に来てもらえば良い。

でも「ビジョン共感タイプ」の企業の場合には、目先の勝利が至上命題ではないので、試合を観てもらうだけでは不十分。

ブロンコスのビジョンが今後どうなるかは分からないけど、少なからず「地域から応援されるチームになること」は含まれるはずなので、より一層地域とのコミュニケーションは必要。

地域の方々からすれば選手と触れ合えることが最も喜ばれるんじゃないかな。となると、選手にとってはバスケ以外の仕事の重要度が増すことになる。

この時に、地域のために(ひいてはチームのために)真剣になれる選手と、バスケだけに集中したいと思う選手とに分かれる可能性は高い。

今後は、後者のような選手はチームに残れない可能性もある。
※前者が正しいとかそういう話ではなく。

「選手自身もチームのことが好きで、実力や年俸などの条件も問題ないが、練習以外への活動に対する理解が折り合わないから移籍する」という局面も出てくるんじゃないかと思う。今までのブロンコスにはあまりなかったことなんじゃないかな。(事実は知りません。あくまで僕の想像です。)

ただ、選手移籍自体は毎年行われることなので、表面的には通常と変わらない。成長痛というより毎年恒例の季節風邪的な辛さとして、なんとなく見て見ぬふりをできなくもない。

これがフロントとなると少し違う。各チーム、フロントは選手よりも長く在籍する傾向にある(例外も割と頻繁に見かけますが)。

主な理由は、選手のように「競技者としての寿命」などが特にないからだと思います。(他にもあるとは思うけど)

でも組織が成長していくタイミングではフロントも人員強化が必要になる。スポーツチームに限らず一般企業でも同じだと思います。

増員なのか刷新なのかはその組織によって異なると思うけど、これからのブロンコスにおいてもどちらかの方法で人員強化は確実に行われる。(Podcast内でも「既に人は集まってきている」との発言もある通り)

増員パターンの場合にも既存業務の整理は行われるので、もともとのフロント自身も、それを見てきたファンや選手たちも何かしらの変化を感じるのは確実。人間は何か変化するときにまずは不快感を覚える生き物なので、ここでの成長痛は存外に大きい気がする。

これまでの環境に居心地の良さや親近感などを感じていた人にとっては「変わってしまった」という印象になるかもしれない。

これをネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるかはもうその人の性格次第なのでなんとも言えないし、良し悪しもない。

大病に窮したときに「延命措置を選ぶ人」と「再起をかけて手術を選ぶ人」の違いみたいなもんだろうと思います。どっちも正解。

新オーナーの「債務も何億円もあって・・」という言葉が事実であれば、それは企業としては大病と言える。誰かが悪いとかではなく、現実としてそういう状態なのだから真摯に受け止めなくてはいけない。

これから迎えるであろう(と僕が想像している)ブロンコスの変化はたしかに寂しい部分もあるけど、僕はこの成長痛はポジティブに捉えています。

急にマンガの話だけど、スラムダンクの河田雅史は165cmで山王工業に入学するくらいだからPGとしても相当上手かったはずですよね。でも3年生になった河田を見て「PGのときのプレーじゃなきゃ嫌だ」という人はいないでしょう。

そりゃあれだけ成長して身体が大きくなればプレースタイルもポジションも変わりますよね。でもその方が僕はワクワクするんですよね。

ブロンコスも、この成長痛の向こう側には必ず今よりもっと大きなワクワクが待っていると信じています。

その時に僕自身がどうなっているのか、チームにいれるのか、そもそも選手として現役なのか、全然分からないけど、1人のブロンコスブースターとしてとても楽しみにしています。

と、まぁ今日のnoteの本編はここまでです。

以下、他に思ったことをざーーっと列記しておきます。

●本拠地問題
すぐに変わるということはないと思う。「アリーナさえあれば絶対(ビジネスとして)勝てる」との発言もあり、箱物ビジネスを超重要視されているので、本拠地はホームアリーナと同じ地区にしたいんじゃないかと。現時点で新たに建設したり既存施設を買収したりする可能性は低いと思われるので、その構想が固まる前にあえてどこかに本拠地移転するという選択はないのではないかと思う。

●現時点でのブロンコスへの池田氏評価
「もともとさいたま市にいたのに出て行ったのか追い出されたのか分からないが今は所沢」という発言。移転という事実だけを見てそう感じることはないはずなので、(チーム外の)関係者からそういった発言があったか。少なくともそういった明言はなくとも、そう感じさせる雰囲気や発言があったと思われる。それでも買い受けるんだから、すげーーの一言です。

●「出ていく前提での買収なのか」という疑念
5年後に出ていくというのは当然あり得る。しかしながら、これを”無責任”や”地域愛がない”と評するのは尚早かと思う。「埼玉の人が買うべきだった」との発言は正論。地域にゆかりのある人の方が地元のみんなも応援しやすい。それでも買収したからにはかなりの責任感をもって取り組まれるものと思われる。そもそも自分のお金使ってるわけだし。さらに、万が一ここで適当な活動をしてしまえば業界から”そういう人”と思われてしまう。そのリスクを背負って買い受けてくれたのだらか片手間にやるということはない(と思う)。そして、やり遂げた後で改めて埼玉県内の企業に任せる(売却する)と言って下さるなら、それは地域にとっては相当有難いことだと思う。

●5年後のイメージ
「埼玉の人たちが口を出して金も出す」や「所沢の居酒屋でお客さんがブロンコスの噂話をするように」などの発言もあり、過去にベイスターズが「就任当初は街でチームシャツを着てる人なんか見かけなかった」という経験から、かなり具体的に5年後のイメージをされているのかなと思う。

●来期、急激に強くなるのか
”助っ人外国人の獲得”みたいな意味で言えば、それは無いと思う。ベイスターズ改革時には売上増加や赤字減少は5年間連続で好転 していったが、実はリーグ順位は【6位(最下位)→5位→5位→5位→3位】と、5年目まで特に変わらなかった。5年目も優勝してるわけではない。初期の数年間は「勝つチームを作ること」よりも「強い経営を成り立たせること」が優先される。

今日はここまででーす。ご精読ありがとうございましたー。

嬉しいです!また書きます!^^