存在と時間

Time Specific

最近公開されたProof of Xの「Discourse NFT Networks」で、hasaquiさんはこう述べている。

NFTアートは、「タイミング・スペシフィック」の特性によって、トランザクション履歴のアウラを纏いながら、時空間とリアル/バーチャルを横断し、あるいは混交して送り届けられるものです。

https://drive.google.com/file/d/1NvDNSqJOEoo3YlpSGqMac_n6S0z6Z5gj/view

NFTが「タイミング・スペシフィック」である、とはうまい表現だと思った。「サイト・スペシフィック」ならぬ「タイミング・スペシフィック」。場ではなく時間。NFTはその性質から、時間という要素を内包してしまうし、「その時間に行為したことによる意味」を意図的に持たせることもできる。

Today Series

河原温のToday Seriesをみた。細部に隙がない。クリスティーズの解説を読むと「地塗りには4層の絵の具」を使っていて「テーパーブラシ、定規、角材、カッターナイフを使い、文字の輪郭を丁寧に描き、白い絵の具で何度も塗りつぶしている」らしい。現物をみると言っていることがなんとなくわかる。ハンドペインティングとは思えないくらいの精度と緻密さ。彼自身が相当 "here and now" を強く意識して作品に向き合っていたことがわかる。

Each actual painting is a form of meditation for him, taking hours to complete with the utmost care and finest craftsmanship. Four coats of paint are carefully applied for the ground and each allowed enough time to dry before being rubbed down in preparation for subsequent coats. Color is intensified to the utmost in this manner, with the application of paint with a coarse brush followed by the nuance of very fine brush. On this surface, outlines of the texts are carefully drawn and filled in with several coats of white paint with the use of tapered brushes, a ruler and set square and an x-acto blade. Finally, imperfections are eliminated through minute adjustments to the outlines and fine-tuning of the overall composition.

https://www.christies.com/lot/lot-on-kawara-may-1-1987-4913736/

存在の拠り所

メディウムにオンされるタイムスタンプ。テクノロジーを使って、河原と似たようなコンセプトで（「存在」という究極の問いを「時間」という概念を使って作品に投影させる的な）NFTを発行することは容易だ。ちなみに、彼は、その日のうちに完成しなければ破棄するというルールを課していたようだが、それも、いまならプログラミングすれば、確実かつ正確に（しかも半永久的に）発行できる。

ところで、この2つを比較することにあまり意味はない。最近たまたま自分がみた…というだけのこと。偶然か、それとも、必然か。