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Itemの固有性と唯一性

NFTはUniqueness(唯一性)という性質が特徴的ですが、この性質をどのように活かすのか。NFTは、Mintするときに、少なくとも何らかの Item(画像、動画、音声、3次元モデルなど)と紐づけるので、Itemの固有性と唯一性の関係性で、整理しました。

1. Item ≠ Uniqueness

Itemそのものは、JPGやらPNGに過ぎないので、どんな画像であっても、NFTにできます。その観点から、ItemがユニークでなかったとしてもNFTというタグをつけることで「ユニークだ!」と言い切ってしまう使い方もできます。例えば、自撮りの証明写真(そんなのだれもいらねーよ!)をNFTにしてバズった方もいますし、見向きもされなかったデジタル情報をNFTにすることで表舞台に登場させ、共感を生み価値をつけられます。考え方にもよるのですが、取り引きされればそれがすべてなので、コンテンツの固有性ではなく、コンテキストで勝負が決まっているような気がしています。

2. Item = Uniqueness

Itemが、そもそもユニークなものはいくらでもあります。例えば、自分の身体や遺伝子は換えることはできないですし(昨今、遺伝子は微妙か…)、時間や歴史は、不可逆で戻せません。会社の売上グラフも、特定の人にとってみれば何事にも換えがたく、特別なものにみえているはずです。

3. Item = Uniqueness & Social Capital

取引は、関係の構築なので、買い手との関係性によってその意味が変わってきます。社会的な共通理解があるか、という切り口でみると、作家の独りよがりなのか、そうでないのかによって、わかりやすさが変わってきます。自分の遺伝子は、固有性は高いですが、「~の遺伝子で…」などと説明しないと唯一性がわかりません。一方で、著名人の「最初のXX」などは、一瞬でレアだと感じられます。Jack Dorseyの最初のTweetと一般人の最初のTweetとでは、意味が異なるのと同じです。

4. Item = Uniqueness & Cool Image

質の高いクリエイティブは単純によいです。コンテキストが完璧につくりこまれていても、ぱっとみてかっこいいItemは、コンテキストとは別な理由で欲しくなります。アニメや漫画の原画のように、プロが魂を注ぎ込んだ絵は、やはり、強いです。Cryptopunks は、グラフィックとしてもレベルが高いように感じます。

5. 作品への応用

NFTをつくる側からすると、1.のようにユニークでないものをNFTにしてみるのは(多くの場合、誰にも見向きもされないですが)面白いです。売ることを考えるのなら、3.と4.の合わせ技で、コンテキストを説明する必要がなく、しかも、ビジュアル的にかっこよいものがリーズナブルです。実際、売れていないので説得力はないですが、この考え方で、2020年にMintした各国の首脳陣シリーズは、この年にブロックチェーンに刻んだということに意味があると(手前味噌ですが)感じています。

In the year 2020, the leaders of the countries addressed the nation. It is an unforgettable year for mankind. I painted the leaders and minted their NFTs in 2020. I think it's very significant that I made transactions on the blockchain this year.
※作品のステートメント

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ちなみに、プーチンさんは、2022年のウクライナ侵攻に伴い、Burnしました。0x000000000...dead は、末尾が攻撃的で、いやだったのですが、NULLアドレスがエラーとなり、やむなしです。

One of these NFT was "Vladimir Putin". With the Russian invasion, I burned the NFT as a protest on March 1, 2022. I don't want any offensive language or behavior. I just want world peace.

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アーティスト名 Tsumichara(つみちゃら)
コンセプトは「自然」。純粋な感覚を投影させることを意識しています。作品を通して、その人がもともともっていた感覚を開くきっかけをつくりたい。私の作品は、ポップアート、ストリートアート、ピクセルアートの分野で評価されており、SHIBUYA Pixel Art 2021では、優秀賞を受賞しました。


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