フィルム・マニアックス

「カットフィルム・アダプター」

写真フィルムといえば通常はロールだが、写真乾板から発展したものだけにフィルムは元々はシート状のものだった。シートフィルムで馴染みが深いのがレントゲンフィルムあたりか。最近全然病院にも行かないのでレントゲンを撮られることも無くなった。大学時代に地球科学の岩石鉱物学を専攻していたので、X線回折像を写真に撮る際に頻繁にシートフィルムを使っていた(鉱物にX線を照射して結晶の構造解析をするため)。

一般の撮影にはプロでもない限りシートフィルムを使うことは無いだろう。…が、たまたまこんなものを手に入れてしまった。

ハッセルブラッド用のシートフィルムアダプター。へぇー、こんなものまであるんだー。しかも使えるシートフィルムは大名刺判という2×3.5インチ(6.5×9cm)、フィルムを買うときは6.5×9cmを注文せよ、という注意書きが添付されている。さらにそれをスクエアにカットして使う。カットするための専用ハサミまで用意されている。その専用ハサミ、日本ではヤフオクでも見たことがない。eBayで約1万円で出ていた。もちろんそんな高価なハサミは入手していない。大名刺判は1900年台にヨーロッパで広く使用されたようだが、日本には正規に輸入されておらず、個人輸入で入手するしかない、とwikiに書かれていた💦

その気になれば、まだ流通しているシノゴ(4×5インチ)をカットして使えばいいワケだが、フィルム・マニアックス的にはもっとレアな事に挑む。実はその昔に引き伸ばしに使った印画紙がデッドストック状態で大量にあるのだ。その印画紙をフィルム代わりに使ってしまおう、というワケ。印画紙は軟調(0号)から硬調(5号)まで種類があって硬調印画紙だとコントラストが強くなりすぎて、フィルム代わりに使えるのは軟調でなければならないようだ。たまたま手元に20年以上前の(笑)イルフォードの2号(中間調)大キャビネ判があった。当時でも0号や1号は入手不可能だった(というか軟調すぎて使わなかった)。まあ、2号なので良しとしよう。

ダークバックの中で手探りで大キャビネ(13cm×18cm)をカットする。2×3で切り出すと6.5cm×6cmが六枚作れる。専用のフィルムホルダーに装填。これだけ手間暇かけても一枚しか撮れない。ホルダーが3個付いてきたので、とりあえず3カット分を装填。

印画紙をフィルム代わりに使う場合の感度はISO6〜10程度というのをどこかで見たので、早いシャッタースピードは切れないし明るいところでしか使えない。なにせ20年前の印画紙がちゃんと使える保証もないので、ラフな感じで撮影に臨んだ笑。

物持ちがいい、というのは恐ろしいもので、なんと20年前のコレクトール(印画紙用の現像液)まで保存してあった。20年前の印画紙で撮影して20年前の現像液で現像。時代は適合している。フィルムも約6cm四方なので、現像バットはごく小さくて構わない。プラゴミをあさって適当な発泡トレイを見つけた。で、現像してみたところ…

なんという事でしょう、ちゃんと写ってます。
ネガ像なので中間調のコントラストの具合がよくわからないものの、とにかくちゃんと写っていた。真っ白になるべき部分がグレーがかってしまって、さすがに20年前のシロモノだけに保管中にカブってしまったのか、ラフな作業によるものか、はたまたフィルムバックからの光線漏れなのかはわからない。

スキャナーでスキャンしてパソコンでポジ像に反転。

Hasselblad 2000FC / Carl Zeiss T* Planar 80mm F2.8
ILFORD ILFOSPEED 2

手間の割にあまりにも写りが普通で、、
20年前の期限切れ印画紙フィルム、
星2つ★★☆☆☆

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