成田あよりに始まり、そして終わりを告げる大学4年間の話


「礼に始まり礼に終わる」という言葉は、しばしば礼節を重んじる場面で用いられる。
これはそんなニュアンスを第一に考えた。あくまでリスペクトを可視化するための文章である。


しかしながら、それと同時に「私」という人物のこの4年間を俯瞰することも兼ねているため、他者が関心を持てるような興味深い話にはならない可能性も高いということを、はじめに示しておく。
加えて、大いに主観を孕んだ文章であることから、一部の人の解釈とはズレが生じている可能性もあるので読む際は注意して頂きたい。


以下、本文



私が「成田あより」というSSWを認識し、応援をするようになったのは2018年の初旬にから夏にかけての時期である。各所でお世話になっている方のとある呟きによって、存在認識の段階から楽曲視聴、ライブ参戦、そして遠征という流れを確立することとなった。
私の大学入学が2018年4月であることから、彼女との出会いと大学の4年間を並列して考えるに相応しいと思った次第である。

そういうわけで、彼女のライブや楽曲、それに派生する感情の整理をする契機でもあると認識して筆を取る──のではなく、キーボードに指を叩きつけることとなった。


今思えば、妙な出会いであったと思う。それ以前にもSSWを長く見てきた立場を考えると、特に不自然なことではないことだと思うが、当時の私には「彼女の何がこうも私を惹き付けるのか」が掴みきれなかったのである。


大学生になり、高校生と比較すれば金銭面で余裕ができるようになったとはいえ、お金をかけてライブに赴いたり、CDを買ったりする場面はかなり絞っていた。にも関わらず、きっかけからほんの数センチで私は体を翻した。その理由がしばらくの間、「感覚的」なものであったのである。


4年も経てば当然その力は色んな意味で変化するだろうが、言ってしまえば当時の彼女には「今ほど」空気を飲み込むようなパフォーマンス力はなく、そこにあったのは不安定なボーカルと何らかの大きな感情(もちろんこれらは当時の段階で既に評価されていたが、現在と相対的に考えて、ということ)。


見に来ている人も多いと言うわけでもなかった。今でこそ、若い人がどうとかそんな話を耳にすることが増えたが、言うまでもなく若者の姿はそこにはなく、一現場にせいぜい2-3人といったところだっただろう。
そんな出会いから4年という月日を目前にまで迫らせるとは、その時には到底想像できなかった。


ある意味では奇跡なのかもしれないが、その一言で片付けるにはあまりに奇々怪々であり、また最適解ではないと考えたからこそ、この文章が生まれている。幽霊が恐ろしいと言われるのは、それが何らかの害を与えるために存在をしているからという訳ではなく、その生命体、ないしは物体が何であるのか、何をするのか分からないからであり、つまりそういうことである。


そういう意味では彼女は輝いていた。加えて私は、そんな彼女に自己投影をしていたのだと、今は思う。彼女の歌が照らす世界は、どちらかで言い表すなら多分暗い。

「光があるから闇があり、また逆も然り。」
ではあるが、彼女に言わせてみれば
「闇があるのは光のせい。」
なのではないだろうか。「ただ相互的に支え合っていたはずの光と闇」を、「互いに責任を逃れあい擦り合う関係」であるかのように魅せる。


輝いている彼女に対して、くすんだ自分を投影するなど言語道断だと今では思うが、当時の私はきっと少しでも自分の行先に光を欲していて、その希望が彼女だと感じたのだろう。




私が音楽を聴く理由、人生に花を手向けるだけではなく、簡単に人生を壊すことも出来る武器を愛す理由は、単にそれに救われたからでは無い。輝きを追い続けることで、自分自身も輝きを分けてもらえていると錯覚をする為である。

これはとある作品の中の人物が放った言葉の又借りであるが、これほど適切にヒトのことを表すフレーズはそうそうない。中学二年の6月、退屈から連れ出した一人のSSWが、9年弱の期間に多くの芸術家とを出会わせてくれたのだろう。







共感とは最も単純な依存理由であり、最も軽薄な賞賛の言葉である。


ヒトが書いた言葉を勝手に摘み取り、勝手に解釈する、まるでそれで全てを理解した気になって共感を創り出して楽しむ。そんなプロセスを繰り返す。


きっと大半はそんなことを気に留めることはなく、見知らぬうちに消費していくのだろう。
「つくり手の意図やメッセージを100パーセント汲み取ることはできえない、私はこう思う。だから私の中ではそう。」
理には適っているものの、実に利己的なことのように思えて私は好きではない。誰かを批判するでもなく、むしろそれがある種「鑑賞」の本質なのかもしれない。が、そういうわけでアーティストを前に、具体的な感想を述べられない、あるいは意図的に述べない。


にもかかわらず、思考を巡らせることもなく、軽薄な「共感」を私は生み出してしまった。表面張力が溢れるようにして自己の破壊がまた嫌悪に繋がったのである。自分の信条に「感情は理屈ではない」を据えていても、どうしようもなくグチャグチャになることだと思う。


「人にされたくないことを他の人にしてはいけません」


この言葉が脳内に残っている以上、きっとアーティストに直接感情を伝えることはない。アーティストからすれば、感想ほどの栄養は無いかもしれないが、「分かったように 私のこと 話すのはやめてよ」、そう歌う人もいる。
私だって、突然知らない人から思ってもいない見当違いのことを言われたら、少なくともいい思いはしない。


そうである以上、せめて私たち有象無象は彼らの負担になってはならないし、そうすれば本末を転倒させるのことも有り得るのだろう。
二次創作が一部の人に疎まれてしまうのは、きっとこういう事だと納得が出来る。


言葉が誤解を生む要素の巣窟であることがそもそもの問題ではあるものの、こうやってダラダラと頭の中で、時に体が追いつかなくなるほど考えるほうがむしろ「何を考えているのかわからない」人間を生み出す悪循環なのだろう。
だからこそ、この過渡期をとある区切りnとして葬りたい。現に今、そういうタームを過ぎた先に来て、この文章を書いているのである。


とはいえ、私が感想を言葉にしなかった理由はそれだけでは無いだろう。単に言葉にして伝えるにはあまりにも時間が短すぎてまとめることなど不可能であったり、美しさを生み出すアーティストへの畏敬の念を持っているが故の緊張も大いにある。

「言葉は上手に使ったら気持ちの側まで近づける」

が、そもそも上手く使うことのできる人間のほうが稀であり、齟齬はどこにでも潜むことができるのだ。







あの日出会った時の彼女はもうステージにはいない。それは当然いい意味であり、あの頃から何倍にも倍増した人々に見守られている。私が大阪から東京へライブへ見に行く度に、目に映る景色が変化している。高頻度でライブを見れている訳では無い身で偉そうなことは言えないが、きっとそうできている人たちも同じことを述べてくれているだろう。
そんな彼女のこの4年間の軌跡を見た人間として、この先も長く応援していきたい次第だと思う。


それと同時に、風景にもならないモブにも結果的に彩りを与えてくれたことへの感謝を述べることで、少しでも何かの力になればと祈るばかりである。







ここで我に返る。時すでに遅し。はっきりとしない乱文失礼しました。時間の無駄にしかならないので、むしろご本人がここまで読んでないことを願いたいばかりです(小声)

一部の物好きはいつもの如く読まれているのでるのでしょうが、初見でここまで読んでいる人は相当変わっていると思うので是非同類の皆さん仲良くしてください。



あとがき。というより、本文の本質。


YouTubeのトレーラーとEggsで聴いた「好き」。ライブで聴く度に嬉しくなる「海とレモン」。衝撃と衝動の「ダイヤ」。心躍らせながら最初に買って帰った音源『世界ならいいのに』収録の「レム」。

新しい音源化に湧いた「still…」。18年12月開催の『朔良のチャクラ』にて聴いた「ハルノセイ」。『ライブハウスで待ってるね』を経て知り合いたちと一緒にライブで観た「それでいいんだ」。また新たな世界を見せるようで衝撃を受けた「声」、「月を焦がす」。

まさか経験できるなんて思わなかった大阪での路上ライブ。色んなことを思い返させてくれる「煙に巻かれて」。「溶けたバニラ」に触発されて歩いて回った溝の口。あの日の「つづき」。そして先日のバースデーライブ。

他にもたくさんあって言いきれませんが、貴女のおかげで色んな景色を見ることができた4年になりました。どのライブもCDも、どうしようもなく楽しくて、素敵で心躍りました。これまで本当にありがとうございました。


生意気ではありますが、これからも応援させてもらえると嬉しいです。できる限り、瞬間瞬間を見逃さないように遠くから駆けつけようと思っています。


感覚がバグってしまったので、最早東京が遠い所という認識は剥がれ落ちてしまいましたが、もしそのように思われているなら、そんな距離を越えさせる程、貴女の音楽には価値があるのだと思います。そのくらい好きです

っていうのは恥ずかしいので見なかったことにしてください。笑


いい感じの締め方を知らないので、また楽曲のことや過去に赴いた彼女のライブの話をつらつらと書くなどをここでやろうかな、なんて。言葉を軽率に選びとって使いたくないからこそ、こうやって書いては消してが出来るところで、少しでも何か伝えられたらいいな、あわよくば力になればいいなと思っていたり。それでは

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