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歩きスマホで骨が折れる?

携帯電話の通信料改定が行われてから久しく、今では屋外で動画配信サービスを楽しむ人の姿も珍しくなくなりました。それに伴い、スマホに目を落としながら歩く方の姿も増えた印象を受けます。
NAG整形外科の最寄駅である南北線白金台駅でも、エスカレーター横の目立つ位置に、歩きスマホ防止を啓発するポスターが常時掲載されています。

歩きスマホの弊害は言うまでもなく、注意散漫による種々の事故リスクです。他の歩行者との衝突も、その一つと言えます。
誰かと肩がぶつかるのは不快でしょうが、実はそれだけでなく、怪我の危険性も伴っていることを忘れてはいけません。

肩がぶつかって骨が折れることがある

10年以上前、私が整形外科医になって間もない頃のことです。大晦日、救急外来で当直していると、ご高齢の女性が旦那さんに付き添われて来院されました。正確な年齢は覚えていませんが、70歳代だったと思います。主訴は左上腕の痛み。なんでも、夕方神社にお参りに行った際、向こうから歩いてきた男性と肩がぶつかり、それから痛みが引かずに経過しているとのことです。画像検査の結果は上腕骨骨折。「肩が当たっただけなのに…」と、かなりショックを受けておられました。年が明け、私はその方の治療に携わることはありませんでしたが、その後、手術を受けられたと記憶しています。

お年を召した方や、骨強度に影響する持病をお持ちの方にとっては、軽微な外力でも骨折のリスクがあります。こうした方にとっては、歩きスマホをする私たちは、まるでバットを振り回しながら歩いているようなものです。
整形外科的な観点からしても、歩きスマホは非常に危険性が高く、是非控えるべき行為と言えます。

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