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リレーコラム① 吉川浩貴

記念すべきリレーコラムの第1回目でしたが
迷わずポエマー吉川を指名したことを覚えています。
最近ポエマーの登場が少ないので
ここで存分に味わってください。

それでは吉川のコラムどうぞ!
  ※本文章は2020年12月25日に書かれたものです。


「空から白いものが舞ってきました。」


あれは約6年前の2015年1月1日元旦のできごとです。

当時高校3年生の僕は御所実業高校ラグビー部での最後の冬、全国大会花園でのベスト8をかけた3回戦を迎えていました。

主将だった吉川浩貴


対戦相手は当時東日本の高校では最強と言われていた神奈川県代表慶應義塾高校でした。

慶應とは1年間を通して何度か練習試合などで対戦したことがあり、その度に接戦を強いられていました。


東大阪市花園の天候は曇り、風はラグビー場内を回るように吹き、気温一桁台の凍える冬の寒さがより一層高校生達の熱気を熱く感じさせてくれるものです。


僕は9番主将として、花園のピッチに立ちました。


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主将同士の握手を交わし、直径5cm程のコインを僕が投げ、コイントスが行われる。

マイボールキックオフを確保し、皆がいる円陣に帰った。

僕はチームメイトに大きく深呼吸を3回求めた。

3回目の深呼吸を終え、目を開けたとき皆の闘志が伝わってきた。

自分達独自の掛け声で円陣をといた後にレフリーのホイッスルと共に御所vs慶應の火蓋が切られた。

この時、衝撃的な結末が待っているとはまだ誰も知らない。


(一部試合内容は省略。気になる方はYouTubeなどにあると思います。)


試合は予想通り厳しい戦いとなっていた。

フィジカルで圧倒的に不利に立つ僕たちは数少ないチャンスをものにしていた。

トライを決める吉川浩貴

ロスタイム5分と宣言された後半33分御所12-7慶應とリードした展開

(※御所の2トライはどちらも僕のトライ)

でゴールポスト右横にトライを決められゴールも決まり土壇場で14-12と逆転される。

会場内、誰もが慶應の勝利を確信し、インゴール内では膝をつくチームメイトもいた。

しかし、僕は最後残り2分程の時間に望みをかけていた。なぜか負ける気がしなかった。


御所のキックオフで試合が再開され、慶應はもちろん残り時間を使うために無理にアタックはせずに時間稼ぎに入った。

しかし、聖地花園は僕たちのことを見捨ててはいなかったようだ。


なんとか慶應からボールを奪い取り最後のアタックを僕たちは仕掛ける。

時間はロスタイムも超え、ミスすれば試合終了という状況。

僕たちは強みであるモールで必死にアタックし続けゴールラインを目指した。

そして、その瞬間は訪れた。

ゴールラインまで残り5mモールサイドに大きなスペースができた。

僕がモールから出てサイドに仕掛け、外に走り込んだ選手にパス。その選手がインゴールに飛び込んだ。

劇的大逆転トライだった。

吉川浩貴この日2トライ


すると、その次の瞬間当時の実況アナウンサーがこう言い放った。

「この御所実業の逆転勝利を祝うかのように花園ラグビー場、空から白いものが舞ってきました」と。

聖地花園が雪で白く染まった。この景色は今でも鮮明に覚えている。



この試合は今もなお僕のラグビー人生にとって最も印象強い試合の一つであります。


そして、あれから時間は経ち、本日2020年12月25日はクリスマス。

今年はコロナで苦しい1年になりました。

そんな年だからこそ、大好きな恋人と過ごすのも1つ、大切な家族と過ごすのも1つ、心の許せる友と過ごすのも1つ。クリスマスの夜を一人でゆっくりとかみしめるのも1つ。

今、これを読んでくださってるあなたにとって特別な1日となるように願って。

メリークリスマス。


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