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ブロガーのためのランチェスター戦略。個人メディアが大手と戦うためにすべきこと

突然ですが、あなたはこんなことを思ったことはありませんか?


「ブログを頑張って書き続けているけど、全く検索流入がない・・・」

「検索をしても企業や大手キュレーションサイトばかりが上に出てきて、自分のブログじゃ勝ち目なんかないよ・・・」


このnoteを書いている僕も、昔はそう思っていました。

しかし、ある考えを見つけてから状況は変わりました。キーワードによっては大手キュレーションサイトを抜き、自分の記事がGoogle検索の上位に出てくるようになったのです。


今日は、ブロガーが身につけるべき思考「ランチェスター戦略」を紹介します。

ランチェスター戦略自体は古くからある戦(いくさ)の戦略です。このランチェスター戦略をブログ運営の観点から読み解き、ブロガーが取るべき戦術を明らかにしていきます。

この記事に書いてある真意を理解できれば、きっとあなたの記事が検索上位に食い込めるようになるでしょう。


なお、私はランチェスター戦略の専門家でもなければ、SEOコンサルタントでもありません。また、この記事は読んだからと言って、すぐに売上が増えるとかのノウハウは一切書いてありません。一つの思考プロセスだと考えていただければ幸いです。

1 個人ブロガーが置かれている状況は厳しい

現在、個人ブロガーが置かれているWEB業界は、とても厳しいと感じています。「ブログは楽して儲かる」という言葉が一人歩きし、ブログを書いて収益を得ようとする人は後を絶ちません。一方で「楽して儲からない」という現実を目の当たりにして、同じくらいブログを辞めていく人も多いのです。

また、企業のオウンドメディアの勃興、キュレーションサイトの乱立はさらに追い討ちをかけます。資金や人といったリソースを多く持つ企業は、圧倒的なパワーでコンテンツを制作し、公開し続けています。WELQ問題以降も、キュレーションサイトは減ることがなく、検索上位を独占し続けています。

個人ブロガーは、限られた時間の中でコンテンツを作ります。ただ、一生懸命書いた記事も検索上位に上がらなければ、ほとんどアクセスはありません。Googleアナリティクスの数字を見ては、ため息をつくばかりです。


では、個人ブロガーはどうやって生き残ればいいのでしょうか?
ネットの片隅で細々とやっていくしかないでしょうか?

そんなあなたに紹介したいのが「ランチェスター戦略」です。


2.ランチェスター戦略とは?

ランチェスター戦略とは、第1次世界大戦の中で生まれた戦闘の法則です。

兵隊や戦闘機や戦車などの「兵力数」と「武器の性能」が戦闘力を決定づける理論で、近年はこの理論をビジネスに転用して戦略として用いられています。


中心となる考え方は、こちらです。

競合局面における敵と味方の力関係で勝敗が決まる(福永,pp.34)

ここでいう敵は、ブログの観点で言えば、自分以外のメディアのことです。


そして、この一文で分かるのは「競合局面」と「力関係」が重要であることです。個人ブロガーが大手メディアと戦うには、この2つのポイントを抑える必要があるのです。

ここで、しっかりとランチェスター戦略の重要な2つの考え方を見てみましょう。

2-1. ランチェスター第1法則

ランチェスター第1法則は、接近戦における1対1の戦いに有効な法則です。イメージとしては、戦国時代に武将同士が方や槍を持って、お互いぶつかるような戦いです。

第1法則は、このように表されます。

戦闘力=武器性能×兵力数

武器性能が同じなら兵が強い方が勝ち、兵力数が同じなら武器性能が強いほうが勝つのです。

2-2.第2法則

一方で、ランチェスター第2法則は、広域戦における戦いの法則です。イメージとしては、近代の戦争で戦闘機が一気に攻め込むような戦いです。

第2法則は、このように表されます。

戦闘力=武器性能×兵力^2(2乗)

広域戦においては、兵力数がものを言います。多少武器性能が高くてもダメなのです。

2-3.強者の戦略と弱者の戦略

先ほどはランチェスター戦略の第1法則と第2法則を見てきました。この2法則から導き出されるのが、以下の戦略です。

兵力が多いもの→第2法則をとって兵力で圧倒すれば確率的に勝てる
兵力が弱いもの→第1法則をとって、ある局所において「兵力×武器性能」が相手を上回れば勝てる

一般的に、前者を「強者の戦略」、後者を「弱者の戦略」と呼んでいます。注意すべきは、ここで言う強者、弱者は相対的なものであることです。企業=強者、個人=弱者とは限りません。

弱者の戦略は、兵力が少ない以上、武器性能を上げるしかありません。ビジネスにおいて、武器性能を上げる=差別化です。弱者は、徹底的な差別化をして、勝つべくところで勝つのです。

2–4.ブロガーの観点からランチェスター戦略を捉え直すと

ここまではランチェスター戦略そのものを見てきました。これをブロガーの文脈から定義し直してみましょう。

ブロガーで言う武器性能とは、1つの記事のクオリティです。ここで言うクオリティとは、以下のような要素に分解されるでしょう。

・記事の読みやすさ
・ユーザービリティ(UX)
・SEO対策
・内部リンク
・権威性 など

これらの要素が複雑に絡み合って、記事のクオリティを生み出しています。

一方で、ブロガーで言う兵力は、記事の物理的な数です。記事数が多ければ兵力が強く、記事数が少ないならば兵力は弱いと言えます。


この定義を踏まえると、ランチェスター戦略の法則はこのように解釈できます。

第1法則:戦闘力=記事のクオリティ×記事数
第2法則:戦闘力=記事のクオリティ×記事数^2(2乗)

強者、弱者については、この記事において、

検索順位がより上位=強者
検索順位がより下位=弱者

と一旦定義します。


この結果を見ると、おそらく気づくでしょう。大手メディアは、資本力と人海戦術で、圧倒的な数の記事を作り続けています。

特に、美容、子育て、旅行といったメジャーなテーマ単位では、第2法則が適用され、記事が多ければ多いほど戦闘力は大きくなります。当然、資本力がない個人が真っ向勝負したら勝てるはずがありません。

では、弱者がどのように戦えばよいのでしょうか?

3.弱者ブロガーが生き残る方法


弱者ブロガーが生き残る方法は、ただ1つ。独自の切り口でコンテンツをつくり続け、差別化することです。ここでのポイントは「独自の切り口」です。いくら差別化であっても、独自でなくてはあまり意味がないのです。

一つ例を上げてみましょう。(※あくまでフィクションです)

海外旅行好きなAさんは、これまで30カ国を旅行して、その経験で旅行ブログをつくりました。とにかく記事に30カ国の情報を書きまくりました。ところが、ある日Aさんは自分より上位のブログを見つけました。それはBさんのブログで、なんと50カ国の情報が書いてあったのです。

Aさんは、30カ国の情報をまとめれば差別化になると考えました。しかし、Aさんより旅をしたBさんがより多く情報を出すと、それは差別ではなくなってしまったのです。

すなわち、人が少し頑張れば簡単に真似できるような違いは、もはや差別化とは言わないのです。ここでは旅の話をしましたが、他のジャンルでも同じです。数で差別化しようとすれば、必ずどこかで行き詰まります。私たちが目指すべきは、質的な差別化=独自の切り口なのです。

そして独自の切り口で、相互に関連する記事を書き溜めていけば、第1法則により戦闘力は最大化します。ある程度の規模になれば、小さな範囲(テーマ)では、強者を勝ち抜けるはずです。

3−1.質的な差別化をする方法

先ほどの章で、質的な差別化=独自の切り口が重要だと述べました。では、具体的にはどのようなものでしょうか?

一概に述べるのは難しいですが、私は大きく分けると、この3つだと考えます。

①視点の差別化(自分だからこそ書ける視点で書く)
②情報ソースの差別化(一次情報に当たる)
③見せ方の差別化(画像や映像などマルチメディアで分かりやすく伝える)

①視点の差別化

視点の差別化とは、自分だからこそ書ける視点で記事を書くことです。よく先輩ブロガーさんが「まずは経験したほうがよい」というのは、まさにこの視点を手に入れるためです。

読者は多様です。独身なのか、既婚者なのか、子持ちなのか。大学生なのか、社会人なのか、定年を迎えた方なのか。ビギナーなのか、オタク並みに詳しい人なのか。読者が違えば、視点もまた違うものです。

だからこそ、自分だからこそ書ける視点を書けば、自分と似た属性の人にはドンピシャに刺さるのです。一方で、誰もにあてはまるような記事を書けば、読者像があいまいになり、おそらく誰にも読まれません。


例えば、旅ブロガーのゆかりさん(https://decorate-my-trip.com/)は、「女性」かつ「インスタ映え」という視点で旅記事を書いています。またサイト内にある「フリー写真素材配布ページ」もユニークな施策だなと思います。

②情報ソースの差別化

情報ソースの差別化とは、独自の情報源をもってネタを拾い記事にすることです。今やインターネットで検索すれば、ほとんどのことは見つかります。一方で、探せば誰でも見つけられるので、コンテンツとしては真似されやすく、差別化は難しいです。

しかし、自分が経験したり、経験した人の声を聞いたり、また取材したりすれば、いわばオフラインの情報を手に入れることができます。そういったオフラインの情報は、インターネットでは見つからないため、差別化になりやすいのです。


例えば、ガジェットブログを運営されているマクリンさん(https://makuring.com/)が良い例でしょう。いろいろなガジェットを実際に自分で試して、そこで得た知見を記しています。スペックに寄りがちなガジェットのレビューに、オリジナルの情報を存分に加えて発信されています。

また私はオリジナリティをつくるために、企業取材という手法を進めました。その手法については、こちらで詳しく紹介しています。


③見せ方の差別化

見せ方の差別化とは、読者が理解できるように、あらゆるメディアを駆使して記事を作ることです。

みなさんが思っている以上に、人は文章を読みません。おそらくこの記事もちゃんと一字一句読んでいる人はそこまで多くないでしょう。実際、文字ばかりの記事は、たとえ内容が良くても、読まれにくくなっています。(この記事のことです、すみません。)

だからこそ、できるだけ読者に負担をかけずに読んでもらう見せ方を工夫する必要があります。読みやすい文章を書くのはもちろん、写真やイラスト、動画を使い、読者が理解しやすいコンテンツをつくります。

読者が理解しやすく、読みやすいコンテンツは、それ自体が価値となって差別化になります。


例えば、てっぺさんのサイト(https://toushi-shakkin.com/)が良い例ですね。イラストや漫画を多用し、読者に飽きられないコンテンツをつくられています。当然、最後まで読んでくれる人が増え、リピーターも付きやすくなると思います。

3−2.サイトは突き抜けてから広げる

2019年現在、自分がサイトを作るなら、取る戦略はこれです。

とある狭いテーマで圧倒的に分かりやすいサイトをつくり、No.1 を取ってからテーマ拡張する(横展開)

大事なのは、最初にテーマ(切り口)を極力絞って、深く掘り進むことです。ここで間違えて、テーマを広げてしまうと、高確率で失敗することでしょう。それよりもペルソナを絞って、ここなら勝てそうという切り口を探すことです。

具体例を上げましょう。もしあなたが光回線の商材を売るサイトを考えているとします。ここで最初から、人気の光回線のまとめ記事などを作ってしまうのはナンセンスです。

例えば、就職で引っ越しする20代女性会社員に向けたサイトをつくるなどはどうでしょう? 想像ですが、「工事の人が家に上がってくるのが気になる」とか「契約途中で、また異動があって引っ越しする時はどうなるだろう?」とか疑問を持つはずです。それらに丁寧に答えていけば、いつか「女性会社員が引っ越しでネットを引く時に役立つサイト」みたいなブランディングが生まれていきます。

そういったブランディングができれば、かなりサイトは強くなります。あとは、自分のリソースを見ながら、最初のテーマに関連した記事をつくっていけば、読者が内部リンクを辿って巡回するようになります。おそらくサイトはより成長して、強固な基盤を作っていけるはずです。

※テーマはあまり広げ過ぎすると破綻するので、ご注意を

4.まとめ

この記事では、ビジネスの戦略である「ランチェスター戦略」をブログ運営の文脈から読み解いてみました。

資本力がない個人こそ、独自の切り口による差別化をするほか勝ち目はありません。自分の経験や、自分だからこそ書ける視点を持って、狭いテーマの記事を書き続けること。これがサイトを突き抜けさせる起爆剤になるはずです。

もちろん一朝一夕でできるようなものはありません。しかし、目標を見定めて、少しずつ積み上げていけば、いつか実になるはず。この記事が、どなたかの役に立てば幸いです。


参考文献:福永雅文著『〔新版〕ランチェスター戦略『弱者逆転の法則』日本実業出版社


※記事中で紹介させていただいたブログの運営者様。問題あるようならすぐに削除しますので、ご教示いただけますと幸いです。


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