黒沢さん

【Vol.8 グローバル人材インタビュー】アメリカ駐在4年半を経ての気づき。それは「個」として認められること!

黒沢尚洋
2007年製薬会社に入社後国内MRとしてキャリアをスタート。2013年より4年半アメリカに駐在。その後、東京に帰任し、現在は日本及び海外の事業戦略立案を担当。グロービス経営大学院卒 MBA

アメリカ駐在当時、オンラインでグロービスを受講する黒沢さん

よし
 黒沢さんの勤務する会社概要とご自身の経歴を簡単に教えて下さい。海外には元々興味があったのでしょうか?

黒沢
 2007年製薬会社に入社後、国内MRとしてキャリアをスタートさせました。入社当初は海外には漠然と興味があったくらいです。会社自体は商社的業務も手がけており、海外展開は比較的進んでいます。自身の担当していた医薬品関連は、ここ10年で急速にグローバル化が進んでいますし、海外駐在員も増えています。

 私自身は会社の海外語学制度を利用し、1年間アメリカで語学を学んだ事で、海外業務により興味を持つようになりました。語学制度が終了し、一旦東京に帰国後、海外関連業務を開始しました。その後、2013年より4年半アメリカに駐在し、その後東京に帰任して、1年ほど駐在前と同様の業務を行った後に経営企画室に移動し、現在は事業戦略立案サポート等の業務をしています。

「根回し文化」は日本だけのものか?アメリカのリアルな仕事スタイルとは?

よし
 アメリカで4年半働いてみて、仕事のやり方や文化など、日本と異なる点や気づきはありましたか?

黒沢
 気づきの1つは「根回し文化」です。根回しは日本よりは多くないものの、アメリカ人も少なからず根回しを行う文化があります。但し、根回しの「理由」が日本と異なっていると感じました。

 日本人はどちらかというと、誰かの顔色や機嫌を損なわないように根回しを実施する傾向にありますが、アメリカ人は自分がやりたい事を実現する為に根回しを実施します。完全に結果を求めて行動を行います。

 またアメリカ人はJD(Job Description)に基づき仕事をする為、仕事のスタイルが「個人プレー」に近い傾向があります。ですので、日本人の「チームプレー」を重視する仕事のやり方との差は肌で感じました。

よし
「個人プレー」と「チームプレー」という仕事スタイルの違いについて、黒沢さん自身はどのようにその違いを受け止めましたか?

黒沢
 日本人はチームプレーを重視する余り、意思決定のスピードが遅く、アメリカ人は個人プレーを重視する余り、チームとしてのまとまりが取りづらいなどそれぞれ一長一短はありました。もう一つ特徴的だったのは、アメリカでは経営陣との距離も近く、ダイレクトに経営陣とコミュニケーションを取れる機会もあるので、日本と比べ圧倒的に意思決定が早いと感じました。

よし
 そのような仕事スタイルの違いもあるアメリカで、具体的にどのような困難に直面しましたか?そしてその困難をどのように克服されたのでしょうか?

黒沢
 当初は「日本人」という意識を持ちすぎており、また英語にもまだ自信がなかったので、アメリカ人を前に萎縮してしまいました。更にアメリカでは良くも悪くも「個」を重視するので、常に「自分の意見」を求められます。萎縮して、自分の意見が伝えられないとアメリカ人にとっては「何を考えているのかわからない人」とみなされてしまいます。「自分の意見を持つ」というのは意外と難しい上、それを臆する事無く伝えれるようになるまでには苦労しましたし、時間もかかりました。

 克服するにはありきたりですが、思い切って話してみる。そして自分の意見を伝えてみる。これに尽きると思います。そうする事でしか結局自分の事はわかってもらえないですし、それをし始めて自分も相手から理解され始めたと思います。

よし
 逆にアメリカで働けて良かった点や、そこで働く事の魅力は何でしたか?

黒沢
 アメリカでの仕事は全てがトコトン合理的でした。仕事の目的やゴールが常に明確になっており、そのゴールの為に誰が何をやるべきかも全て決まっていました。日本にいた時もある程度出来ていたと思っていたのですが、アメリカの仕事のやり方と比較すると合理的でない部分が自分の中で顕在化出来たように思います。アメリカから日本に戻って来て、より一層そのように感じるようになりました。

よし
 黒沢さんはアメリカを経験し、日本に帰任した訳ですが、日本に帰任して改めて気づいたことなどはありますか?

黒沢
 日本に帰任するとアメリカと比較し合理的でない部分が見えてしまい、今それをどのように改善するかが課題と思っています。特に現在事業戦略を検討する役割があるので、戦略をコロコロ変える訳にもいかず、一度決めた戦略に対し、いかに合理的に進めていけるかが自社にとってもこれから必要だと思っています。

「個」が重視されるアメリカで気づいた「グローバル人材」の要件

よし
 4年半アメリカを経験した上で、海外で働く為に必要なマインドや能力は何だと思いますか?

黒沢
 先ほども話しましたが、アメリカでは「個」が重視されます。自分の経験から、当初会議などで発言できず、「個」を発揮できない時期が続きました。語学の問題もあるかもしれませんが、それでも自分の意見を持って話す勇気や度胸が必要だと思います。

 自分の意見を持つ為には、自分の中で「軸」も必要になって来るので、その「軸」を持って臆する事無く自分の意見を言い続ける事で「個」として認められると思います。それはアメリカだけではなく、海外で働く為に必要なマインドや能力だと思います。

よし
 そんな黒沢さんにとって「グローバル人材」とはどのような人を指しますか?

黒沢
 人種、国、文化、性別に関係なく、全ての壁を取っ払って、臆する事無く自分の意見を伝え、「個」として認められる人材が「グローバル人材」と言えるのではないでしょうか。

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