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雑談の小径011

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生卵の呪い

子供の頃は生卵が大好きだった。
父親っ子だった私は、父が卵に箸の先で小さな穴を開け醤油をたらし込みそのまま穴から中身を啜るという、遊び?それとも昭和のおっさんの正式な食べ方か?を一緒にやりたくて、父が母に卵を要求すると「私も!私も!」とお願いしていた記憶がある。
ところが中学2年生の登山行事で出された温泉卵にあたって酷い目にあった。なんか茶色いな〜って思ったが、今まであたったことがなかったので何の疑問も持たずに口に入れたのがいけなかった。それ以来、怖くて生〜半熟卵が食べられなくなった。

ゆで卵は大好きだがぼそぼそなハードボイルドでなければ食べない。目玉焼きはもちろんがっつり両面焼き、ちょっとでも黄身に柔らかい部分があればそこを残して食べる。外で親子丼やカツ丼は頼まない、卵とじものは半生が売りだから。そうやってアメリカ生活も日本での生活もやり過ごしてきた。

結婚して毎日ちゃんと夕飯を作るようになってからも、親子丼やオムレツの類は完全に火を通し、すき焼きは卵を使わないて食べていた。知ってる?すき焼きって、そのまま食べたらしょっぱいのw あれは卵に絡めることで味をまろやかにしてるんだよね、だからそんなにご馳走って気分にならなくなっちゃってさ。昔好きだったから生卵が美味しいのは知ってるの、でも怖くて口にできない。そんな固い卵生活を送っていたある日、旦那がぼそっと呟く、「そろそろ生卵食べられるようになってよ。」と。

そこから!
10年!10年かかったの!食べられるようになるまで!
大丈夫、大丈夫って自分の心を少しずつ溶かして口に入れられるようになるまで約8年、美味しいって思えるようになるまでそこから約2年、ようやくすき焼きも卵かけご飯も美味しくいただける体になりましたw 半熟の親子丼ももう怖くないよ!

人間、心の強ばりは自力で溶けるんですよ、皆さん!その恐怖、その辛さ、思い込みじゃないですか?
私、昆虫大好きだけど、ゴキブリだけはアメリカでバカみたいにデカいやつに見舞われて以来大嫌いになった。でも出る度にバカみたいに大騒ぎするのも嫌だし、変な昆虫とか大好きなのにゴキブリだけ嫌いなのも虫好きのプライドが許さないし、同じ昆虫でしょ?違いはないんじゃ?って思い直すことにして、大丈夫大丈夫戦法で最近克服しつつあるのw


高知のブランド鶏「土佐ジロー」の卵をいただく。
あーこれが美味しいと感じられる自分に戻ってよかったとしみじみ思うw

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