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375. 【ファクトチェック③】性的マイノリティ差別を禁止する法律ができたら女性スペースに「男性器を持った自称女性」が入り込んで女性の権利が侵害される。(茨城県)

記事番号367と368で埼玉県と三重県について条例で性的指向や性自認を理由とする差別を禁止していること、しかしながらこれらの県ではSNS上で懸念されている「男性器を持ったトランス女性が女性スペースに入ってきてトラブルになる」ことはないということを確認しました。

茨城県では2019年4月1日から施行された「茨城県男女共同参画推進条例」の中で次のように定められています:

(性別による権利侵害の禁止)
第19条 何人も,セクシュアル・ハラスメント(性的な言動により当該言動を受けた個人の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた個人の対応により当該個人に不利益を与えることをいう。以下同じ。)を行ってはならない。2 何人も,配偶者等に対し,身体的又は精神的な苦痛を与えるような暴力的行為を行ってはならない。
3 何人も,性的指向(自己の恋愛又は性愛の対象となる性別についての指向のことをいう。以下同じ。)及び性自認(自己の性別についての認識のことをいう。以下同じ。)を理由とする不当な差別的取扱いを行ってはならない

「茨城県男女共同参画推進条例」(太字は引用者)

そこで、埼玉県と三重県に尋ねた内容と同じ質問を茨城県にしました:

1. トランス女性が女性スペースに入ってきて問題になったというような事例はありますでしょうか。
2. 入浴施設の組合などではトラブルはございませんでしょうか。
3. 女性トイレでトランスジェンダー女性が問題を起こして問題になったようなこと はありませんでしょうか。

茨城県に対する質問(金城 2023年3月)

結果、先週「把握している事例等はございませんでした」とのご返事をいただきました。

埼玉県、三重県、茨城県の3つの県で性的指向や性自認を理由とする差別が条例で禁止されています。

しかし、それだからといって、トランス女性が女性専用スペースでトラブルを起こした事例はいずれの県でもありませんでした。

SNS上ではまだトランス女性に対する厳しい意見が見られます。

しかし、私たちはきちんとファクトチェックをして、現在地方公共団体(都道府県)で条例で性的指向や性自認を理由とした差別を禁止しているところの現状がどうなのかを踏まえた議論を進めるべきではないでしょうか。

みなさんはどうお考えになりますか?

謝辞:この場を借りて年度末のお忙しい中ご回答いただいた茨城県のご担当者様にお礼申し上げます。


画像:UnsplashShinoが撮影した写真