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424. トランスフォビアとは何ですか?ホモフォビアとは違いますか?

前回の記事(423)でホモフォビアは広義の意味でLGBTQ+に対する嫌悪を指すと書きました。しかし、狭義の意味では(厳密には)この2つの言葉は違うことを意味します。

以下説明しますが、ホモフォビアは「性的指向」が「異性愛ではない」ことにたいする嫌悪を指す、そしてトランスフォビアは「ジェンダーアイデンティティ(性自認)」が生まれた時に与えられた性別と異なることにたいする嫌悪を指すというふうに分かれます。

例えば、残念ながらレズビアンやゲイ、バイセクシュアルやアセクシュアルの人の中にも「トランスフォビア」の人はいます。レズビアンやゲイがトランス女性やトランス男性を嫌悪することを「ホモフォビア」という言葉で表すと定義矛盾になりますね。

このような背景もあり、きちっと分けたい/文脈によって誤解されないようにしたいという場合は「ホモフォビア」と「トランスフォビア」をきちんと分けるということになります。

しかし、「性的マイノリティはとにかく気持ち悪いし、隣に住んでいたら嫌だ」というふうに思っている方がいるとすれば、それは広義の「ホモフォビア」になるということです。

では以下、2つの概念の違いを見てみましょう。

トランスフォビア (Transphobia)

  • トランスフォビアは、トランスジェンダーやジェンダーノンコンフォーミングな人々に対する恐怖、拒絶、偏見、差別を指します。

  • トランスジェンダーの人々とは、生まれた時に与えられた性別とは異なる性別として自己認識している人々を指します。ジェンダーノンコンフォーミングの人々は、伝統的な男性・女性の性別の役割や期待に合致しない人々を指します。

  • トランスフォビアは、トランスジェンダーやジェンダーノンコンフォーミングな人々の正当性を否定したり、彼らの経験やアイデンティティを無視したりする態度に現れることが多いです。

ホモフォビア (Homophobia)

  • ホモフォビアは、ゲイ、レズビアン、バイセクシャルなどの同性愛者や、その性的指向自体に対する恐怖、拒絶、偏見、差別を指します。

  • この恐怖や偏見は、多くの場合、文化的、宗教的、社会的な価値観や信念に基づいています。(例えばユダヤ教、キリスト教、イスラム教で同性愛は禁じられている、というような場合があります)

  • ホモフォビアは、LGBやアセクシュアル(A)の人々に対する暴力や差別的な行為につながることがあります。

まとめると、トランスフォビアは性別のアイデンティティに関連した偏見や差別に焦点を当てているのに対し、(狭義の)ホモフォビアは性的指向に関連した偏見や差別に焦点を当てています。

しかし、どちらもLGBTQ+コミュニティのメンバーに対する偏見や差別の一形態として存在しています。

参考資料

画像:National Gallery of Art, 
Elihu Vedder
(artist) American, 1836 - 1923, Study for "Greek Girls Bathing, c. 1872.