見出し画像

元指導員のリアル教習所#2    「ペダルの加減」

ブレーキペダルとアクセルペダル

 今回はペダルの踏み加減について、教習の中で感じたことをお伝えしましす。ポイントは…
 ① 距離を使う
 ② 目盛りをイメージ
この2つです。

1.運転操作はなんでも距離がかかる

 私は初めて車に乗る教習生にはまず「自分で止まれるぞ!」という安心感を持ってもらうことを大切にしていました。そこでまずはコース外の安全な場所で単純な前進と後退を繰り返し行います。例えばAT車であれば【ブレーキを離す】→【ブレーキをかける】を前進と後退で繰り返します。
 そうすると、8、9割の生徒さんは止まる際に一気に強くブレーキをかけすぎて、自分でもビックリしてしまうようなショックの強い「ガックン!」という止まり方をしてしまいます。それだけペダル操作が運転をしたことがない方にとっては想像以上な繊細さだと言えます。

 ここで非常に大切になるのが「距離(時間)をかける」という考え方です。止まるまでには相当の距離、時間がかかることをあらかじめ想定するのです。それだけでいいのです。そうすれば、前進後退2、3回でそれなりに感覚をつかめることが多かったと思います。自分自身で気持ちよく思い通り止まれることはなによりも安心感につながります。
 これは当たり前のことではあるのですが、意外と思いつかない教習生や伝えない指導員が多いと思います。「当たり前」って一番教えるのが難しいかもしれません。

2.目盛りをイメージ

 ペダルの操作については「目盛りが付いているイメージ」も有効だと思います。私の場合はレベル0~10までのイメージで説明していました。例えば、レベル5のブレーキを使うとしても「5!(ごっ!)」という踏み方もあれば「・・・3、4、5」という踏み方もあるわけです。こうすれば使い方がイメージしやすくなると思います。さらには、車を止めるために必ずレベル10のブレーキが必要なわけではなく、レベル5、レベル3でも効いていればいつかは止まる、というイメージも有効でした。これは、前述した「距離をかける」イメージにもつながっていきます。

 注意点として、目盛りについてはあくまでもわかりやすくするためのイメージで、くれぐれも「それぞれのレベルの踏み加減を覚えなさい」ということではありません。自分なりの踏み加減でレベル5だと思えば、それがレベル5で良いのです。それよりも優しく使いたければそれがレベル3かもしれないし、少し強くしたければそれがレベル6のイメージということになります。

3.足の使い方にこだわる必要性

 どうしても思いどうりにならない時に考えがちなのが「ペダルのどこをふんだらいい?」「足のどの部分で踏んだらいい?」という物理的な解決方法です。これについては個人的には「どうでもいいです。好きにしてください。」という意見です。なのでどうこう指導したことはありません。
 なぜならば個人によって違うからです。体の大きさ、足の大きさ、足の長さ、足の力…どれ一つとっても全く同じではありません。ということはその人の操作しやすい理想的な形はその人にしかわからないと思います。さらには車だって一台一台違います。その生徒さんが一番自然に思いどうりに踏める形であればいいのです。

 指導員でもこのような物理的な要素で解決しようとする方は多いと思いますが、一時的にいい感じになったとしても根本的な解決にはならないと思います。むしろ悪い癖がついたり、弱点がこじれやすい、さらには指導員によって教え方が違うというところにつながりやすいです。あくまで本質的な部分を理解してもらうことが大事です。・・・そこを言語化するのがめちゃくちゃ難しいんですけどね。がんばりましょう!。

4.最後におことわり

 ただし、
・ブレーキもアクセルも右足で使う
・基本ブレーキに構える。アクセルに構えることによって内股でブレーキにならないようにする
・急ブレーキは床にかかとをつけずに踏み込む
などは基本中の基本として大事であることは前提の話になります。

 ・・・教本では「ブレーキはかかとをつけずに」が基本ですが、個人的にはどうでもよかったです。あくまでも「急ブレーキに備えた形を常に作る」意味合いは理解しますが、現実的にはとても疲れるし、微調整しにくいと思います。これについても「どうでもいいです。好きにしてください。」のスタンスでした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?