那智勝浦町昔懐かし話 第30話

第30話『僕らの前にドラゴンが現れたのだ』
 
今年の夏位から遺書(死ぬわけちゃうで)みたいに書き始めて早30話になりました。正直ここまで、書けるとは思っておりませんでした。これもすべて僕の努力のおかげです。(いやいや、すいません。読んでいただいた皆様のおかげでございます。まじて感謝いたします。)
でわ、でわ記念すべき第30話でございます。
 
「なあ、たけちゃん、今度かおりみなとから日本にきた映画しったあるか。ものすごいかっこええらしいで。」なかしゃが、登校してきて僕らに聞いてきた。小学6年生の時のことである。「あほか、あれかおりみなとって書いてほんこんってよむんやぞ。おれもまちごたけど。しったあるで。ブルース・リーやろ」と僕。「カンフーって中国の空手みたいのの天才で、上半身筋肉ぎゅうぎゅうらしいで。うちのお父ちゃん、言いやったけどヌンチャクいう棒2本ひもでくくったもん、びゅーん、びゅーん振り回して悪党やっつけるんやて。」と僕。「都会でものすごい映画流行ったあるらしいで。今度松竹座へ来るんやて、燃えよ・ドラゴン言うんやて」となかしゃ。「そうか、みんなで見にいこら。」とタコちゃん。「おう、見にいこら」と僕となかしゃが答えた。当時色々なものが流行っていて、教科書を十時に止めて持ち歩くブックベルト、その先か後か忘れ又呼び名も忘れたが、段ボールみたいな厚紙で出来た四角い箱形のブックケース等があった。そんな中で僕らの眼の前に奴は現れたのである。そう、ドラゴン、はるか香港からやってきたカンフーの達人ブルース・リーその人である。後日映画を見た僕ら仲の町3バカトリオは、全国の男性がかかったブルースリー病にご多分にもれず、犯されてしまったのである。高倉の健さんの映画見た人が皆その後健さんのまねをするように、映画館を出た瞬間に僕らは「アチョー、アチョ、アチョー」の連呼である。その日の晩から、男たちは腹筋と腕立て伏せを始めるのである。僕らも当然行った。家の部屋には、ブルースリーのポスターを貼り、オモチャ屋で、プラスチックのヌンチャクを買って(僕のおとうちゃんは、通販で木のヌンチャク買いました)振り回していた。もちろんブルースリーの映画は勝浦で上映されたのは全部見たのである。レコードも持っていた。ブルースリーの映画は色んなストーリーがあるが、大体ある店で雇われているブルースリーがその店に悪党が借金や何らかで言いがかりを付けられ、その悪党の手下と店で一番強いと言われている男と戦って
悪党の手下にやられてしまう。店が困っているとブルースリーが私に任せてくださいと悪党の陣地に向かい手下の弱いものから順に倒していく。そして一番強い手下との戦いで、だいたい一度はブルースリーは倒れる。その後傷を負ったブルースリーはカンフー着の上着を脱ぎ捨て、腰に差していたヌンチャクが登場するのである。
そしてしばらく戦、相手はたいがい倒されて死んでしまう。そして最後に悪投の親分と戦い苦戦の末勝つのである。このストーリーに、そして格好よさに男はやられたのである。今は、便利な世の中で、いつでもインターネットとかで映画を見ることが出来る。今見ても格好ええ。小学6年の時の話である。さて、腕立て伏せやろかな。 「アーチョー」                           
第30話終わり
 

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