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豪州、新しい水電解槽を開発か?

安価なグリーン水素の製造に向けて、豪州の研究者たちが「大きな飛躍」を遂げたというニュースに触れました。

https://www.goodnewsnetwork.org/australian-firm-hysata-design-breakthrough-new-green-hydrogen-tech/

オーストラリアのある企業が、水素燃料の利用を拡大するために全く新しい電解槽を発明し、200年ぶりの本格的な技術革新を進めているという。

水を電気分解して水素ガスと酸素に分離する「電気分解」は、グリーン水素エネルギーの主要な方法であるが、コストが高く非効率的である。

しかし、長距離トラック輸送や鉄鋼業などでは、水素は石油製品に代わるグリーン・エネルギーの唯一の投入資源になるかもしれない。スウェーデンのSSAB社はすでに、炭素の投入源として石炭に代わって水素を利用することで、鉄鋼をより環境に優しいものにしている。
オーストラリアのHysata社は、水素を分離する際に発生する熱や抵抗を減らすことで、純粋な水素燃料のコストを化石燃料と競合できるようにするため、主要部品の設計を変更した。

https://hysata.com/

Hysata社の最高技術責任者で、ニューサウスウェールズ州ウーロンゴン大学のスイ―ジャー教授は、ガーディアン紙に次のように語った。「他のみんなは、素材の改良や既存のデザインに目を向けていたが、私たちは、最初からやり直し、非常に高いレベルで考えた」と。
『Nature』誌の中で発表された科学論文の中で、従来型の水電解槽の問題に言及してから、この新しい電解槽の可能性を示した。すなわち、最新式の電解槽でも1kgの水素を製造するのに通常53kWhの電力を必要とし、その出力エネルギーは39.4kWhで、約12kWhロスしていた。なぜそのようなことが起きるのかを理解する前に、これらのデバイスの仕組みについて簡単に説明しておく必要がある。

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電解槽は、スポンジ状の膜で仕切られた陽極と陰極で構成されている。H2Oは陽極に送られ、電子が剥ぎ取られて電気になり、接続されたものに電力を供給する。そして、正電荷を帯びた陽子が膜を通過して陰極に入り、そこに酸素が引き込まれる。陽子は電子と結びつき、酸素と結合して水と熱を発生させる。
Hysataの新規性は電解槽が円形であり、親水性膜は水が入って来るのと同じ場所にある電解液槽に少し浸かっているだけの状態になっている点である。電解槽の中に陽極と陰極を設置する電解槽にありがちな水素ガスの気泡発生させることなく、膜が水と電解液を安定的に引き上げ電解を可能にする。
この気泡が、陽極と陰極の触媒への物理的なアクセスを妨げ、効率を低下させる。このガス気泡の問題を解決した結果、Hysata社の効率は95%、つまり水素1kgあたり41.5kWhを実現したのである。
しかし、Hysata社は単なる科学的であると同時に、同社の電解槽の経済性は理にかなっている。膜の製造は容易で、プロセスは大規模な自動化が可能である。
国際再生可能エネルギー機関(International Renewables Energy Agency)は、2050年を目標に、新しい水素製造装置を開発することを決定している。
この機関は、2050年の目標として、1kg当たりの必要量を42kWhに減らすこのとできる新しい電解法を掲げている。 Hysata社は現在、地球上でそれを達成した唯一の企業である。仮に、長距離トラック輸送部門で年間100万トンの水素が必要と想定し、Hysata社の技術を適用するとすれば、30億ドルを節約できることになる。

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