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抽象美術入門

関わりの薄い分野をわかろうとするのは骨が折れますが、商品企画の視点からなら抽象美術も理解できるかなと思いまとめました。20世紀初頭の「抽象美術」という芸術動向によって芸術が日常になじんだ、応用や融合がしやすくなったと捉えており、その点で関心を持ちました。雑貨の企画・販売の会社を運営する身として日ごとから「っぽい」「~風に」のような表現をすることがある。そのルーツが「抽象美術」にあると考えました。


抽象美術とは

「従来のように人物や静物、あるいは風景や物語など、目に見える具体的な対象や場面を絵画や彫刻に「再現」するのではない、美術にとって「本質的なもの」としての色彩や形態によってのみ成立する美術をさす」とある書籍では定義されている。時代の芸術家を例に挙げるとカンディンスキーは外的なものから受けた印象を色や形に表現する「印象」「即興」「構成」という3つの型で、モンドリアンは作品「赤黄青と黒のあるコンポジション」の記号的、制約的な技法で、本質的な表現を試みた。それはリートフェルトのシュレーダー亭やレッドチェアのような建築や家具にも応用された。

抽象美術


抽象美術以前の芸術からの流れや違い

モネに代表される印象派の時代から水面など自然をモチーフとし写実より印象を重視する特徴が伺える。その後に続くフォービスム、キュビスムでその流れは一層加速した。マチス「帽子の女」におけるダイナミックな色彩に始まり、セザンヌ「静物画」、ピカソ「アビニョンの娘たち」、ブラック「レスタックの家」に複数の視点が見られるようになり、デュシャン「階段を降りる裸体」で時間の視覚化に至る。模倣や写実から印象を重視するようになり、色彩や視点、時間の表現に挑戦していったという点では抽象美術はその延長線上にある。一方、対象の概念や本質を描こうとしたという点で、具体画を描いたキュビスム以前の動向と違う。


時代背景

それらの流れや違いの背景には技術の革新や価値観の変容があったと考えられる。まず写真の発明の影響は大きい。それによって写実的に、例えば遠近法をよりどころに、表現することの必要性は下がった。また芸術における宗教的な意味合いも小さくなった。神や教典の絶対視、再現の意識が下がることで表現はより自由になった。大西洋を渡る機会ができ始めたことはモンドリアンのようにアメリカへ渡り別領域への応用を試みる芸術家を生んだ。


雑貨企画

「っぽい」「~風に」という考えは買い手の視点に立った商品企画に欠かせない。事実である、多数派の意見であるという点は買い手には関係がなく良さを伝えるには印象が大切である。分業において企画者やディレクターがデザイナーに指示を出す際もときに印象を重視する。「スカンディナヴィアっぽい」「所ジョージ風に」という表現が役立つ。抽象美術を一つの要因として、芸術が神や権威の象徴から日常的なものになり建築や家具への応用がしやすくなった。それは現代の企業における円滑な分業や価値訴求のためのコミュニケーションに大いに影響を与えている。

まとめ

まとめていてよくわからなくなったのは、作品自体はわかりにくく馴染み深くない点です。でも「概念化」や「本質の摘出」は身近な作法です。「っぽい」っていうのも強引か。現時点でのまとめは一旦このあたりで終えます。

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