【定義論】バ美肉Vtuberとは何か?バーチャル受肉のこれまでとこれから [要出典] [独自研究]

※この記事は、筆者の怠慢により出典が示されていません。また、筆者の観測範囲内でのまとめと独自の見解を含みます。また、VRCにおけるバ美肉は対象外です。

Vtuber界隈において、2018年6月頃から使われ始めた言葉に「バ美肉」というものがある。本記事ではこのバ美肉という言葉について解説するとともに、特に意味はないが個人的な定義を述べたい。念のために補足するが、本記事での定義を普及させたい意図はないし、出典を探すのがめんどくさかったので主に記憶を頼りに書いているため、信憑性もないことを了承いただきたい。

バ美肉おじさんに触れてこなかったためピンとこない人や、小難しいことはいいからおすすめのバ美肉おじさんを教えろという人に向けては、記事の最後に個人的おすすめおじさんを記載しているので、目次から飛ぶことをおすすめする。


バ美肉とは何か?バ美肉ブームとそのルーツ

バ美肉とは、一般には「バーチャル美少女受肉」、バーチャルな美少女に受肉することを指すとされる。ここでいう受肉は、それまで動くアバターを持っていなかった人がバーチャルな身体(2D/3Dモデル)を持つことを意味する。

また、バ美肉と似た言葉に「バ美肉おじさん」があり、これは男性がバ美肉したキャラクターを指す。バ美肉おじさんとしてもっとも有名なのが魔王マグロナであり、美少女の見た目と高度なボイスチェンジ技術を用いた女性にしか聞こえない声、そして可愛い言動で人気を博している。知名度もあって、バ美肉=バ美肉おじさんと認識している人も相当数いるだろう。

このバ美肉という言葉のルーツを探ると、もともとはごく狭い界隈で使われていた「バーチャル美少女セルフ受肉おじさん」の略称であり、前述の魔王マグロナや兎鞠まり竹花ノートらが話題になることで一気にその略称が広がり、根付いた言葉である。今や男性が女性の外見をもつキャラクターで活動することも珍しくはなく、その流れを加速させたのが「バ美肉」ブームと言えるだろう。

バ美肉という言葉の広がりと、男性が女性キャラクターで活動することが受容されていく流れを簡単にまとめよう。

2017年11月 ねこます(バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん)デビュー
   12月 人気が急上昇し広く認知される。男性による女性キャラクターの先駆けとなる。
2018年5月 りむとまきデビュー。バーチャル受肉布教動画を投稿。
   6月 ukyo_rst、魔王マグロナとしてアバターを作成。「バーチャル美少女セルフ受肉おじさん女子会ワンナイト人狼」(略してバ美肉おワ人狼)という生放送を実施。りむとまきの2人を含む友人間での美少女アバターおじさんによる企画。
      その後、魔王マグロナがボイスチェンジャーを導入し女性声でVtuberデビュー
   6月後半 竹花ノートデビュー
2018年7月 兎鞠まりデビュー
      バ美肉という言葉が話題となり、一般に認知される。
2018年8月 コミケにてバ美肉合同誌「ビババ美肉」頒布。
      バ美肉を目指すおじさんの増加。
2018年11月 Vティーク Vol2にてバ美肉特集。
2018年12月 コミケにてバ美肉おじさんの公式・非公式グッズが数多く頒布される。

ちなみに、受肉という言葉はにじさんじ月ノ美兎の「3D受肉したい」旨の発言に由来するらしい。

(みゅみゅ教授に言及してないのは書き終えてから知ったからで、Vtuberじゃないっぽいので一旦置いておく)

バ美肉を要素分解する:のらきゃっとはバ美肉か?

まず前提として、Vtuber界隈におけるバーチャルキャラクターの立ち位置について軽く触れる。いわゆるVtuber、特にキズナアイに代表される彼らは基本的には人間のアバターではなく、バーチャル空間に存在するキャラクターとして扱われ、自己定義される。バーチャル空間といっても定義は曖昧で様々、現実世界に干渉できない電子の海にしかない存在もいれば、不思議な力でコミケにいったり現実世界をうろついたりできるものもいる。

重要なのは、現実との干渉性ではなくむしろ「中の人などいない」というキャラクター性である。ディズニーランドにおいては、ミッキーの中に人間がいる訳ではない。ディズニーでバイトをしている人間の素性を考えるのは野暮というものだ。Vtuberも基本的にはそのように受容されているだろう。

しかしながら、そこには例外が存在する。その代表的な存在がバ美肉なのである。すなわち、中の人がいることが明確であること、それがバ美肉の核となる要素だと考える。受肉、という言葉は、肉体とは別個の魂があるということを前提に成り立つ言葉である。完全なるバーチャル存在、つまりバーチャルの魂とバーチャルの肉体を持ったキャラクターは、受肉するのではなくただバーチャルな存在として誕生するのである。

バ美肉が基本的におじさん(男性)である理由もここにある。外見は美少女だが、男声、あるいは女声でも女性を名乗るのに抵抗がある人が、中身はおじさんですと公言する。するとそこには必然的に肉体とは独立の魂が存在することになる(男声の女性というキャラクターでなければ)。すなわち、バーチャルの肉体は限りなく中の人のアバターとして扱われるのだ。

では、具体的にどのようなVtuberがバ美肉であるかを具体例を用いて考えていこう。以下に有名と思われ、バ美肉やバ美肉と間違われがちだがそうでない者たちを分類する。分類の軸は、バ美肉のルーツから「バーチャル美少女・セルフ・受肉・ボイスチェンジ・おじさん」の各要素に分け、当てはまり具合を判断した。

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基本的にこの列のうち「受肉」が○な人は広義の意味でバ美肉と呼んで問題ないと筆者が考える人である(ただし実際に呼ぶ場合、バ美肉という呼称を好まない場合もあるので注意)。上部の人々については基本的に問題はないと思われるが、解釈が微妙な人物については補足をする。

歌衣メイカ:女性の姿になった、と自己紹介で言及していることから受肉といって問題ないような気がするが、歌衣メイカ自身は女性としており、扱いが難しい。
のらきゃっと:ノラネコPの存在感が大きいが、キャラクターとして完全に分離しているためバ美肉ではない。セルフを△としているが、実質セルフというのも難しいだろう。
ふぇありす:男声が出るが、キャラクターとして完結しているためバ美肉ではないと考える。
犬山たまき:のらきゃっとと同じく佃煮のりおの存在感が大きいが、キャラクターとしては別個である(と主張している)。なお美少女ではなく美少年。
おにこ:早期に女性としてバ美肉した例として取り上げる。

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また、その他にも受肉した人々をリストにして同形式で比較した。上記表を含め、選定基準は筆者の観測範囲に依存しているため注意すること。


バーチャルとリアル:リアルに干渉するバーチャル

先の項ではリアルに対する干渉という点は重要ではないと述べたが、実際にはリアルに干渉するバーチャル存在に対して違和感をもつ者もいるだろう。そこで、リアルへの干渉と、キャラクターであるかアバターであるかは相関する部分はあるものの別軸であることを示すため以下の図を作成した。

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位置付けは完全に主観だが、基本的に右はキャラクター、左はアバターという分類である。またおじさんであれば基本的には左下になる。キャラクター性が低いキャラクターとして歌衣メイカや犬山たまきがいるが、これはメタ的な自己言及ネタを使用することによる。

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キャラクターではなくエリアで見ると上記のようになる。中の人の存在が示唆されるほど左下に近づく。また、バーチャルキャラクターながらオフラインでコラボしたり、実写写真を用いるなどリアルに存在するような行動を取るほど下の位置付けになる。左上、リアルに干渉しないアバターは実質キャラクターであるため、定義上存在が難しいと言えよう。


バ美肉という言葉の認識・使われ方

さて、これでバ美肉という言葉の定義自体は済んだ。上記に従えば、あるVtuberをバ美肉か否かに分類することは難しくない。しかし実用上の問題として、バ美肉という言葉は上記の定義通り使われていることはむしろ少ない。一般的には、バ美肉=バ美肉おじさんという使われ方をすることがほとんどである。(なお、バ美肉する、という動詞に限れば、原義通り受肉する意味で使われる場合もある。)

理由としてはいくつか考えられるが、大きいのはやはりバ美肉という言葉のルーツから広がった「中の人がおじさんの美少女」というイメージが大きい。また、ななかぐら(カグラナナ)のように、女性がバーチャルアバターを得る場合において、本人がバ美肉を名乗らないケースがあるが、これは上記イメージからくるおじさんという誤解のデメリットがある一方、バ美肉を名乗るメリットがほとんどないとからではないだろうか。

また、バーチャル界隈においてはキャラクターとアバターの境界線が曖昧になっており、中の人が明示されているからといって他のキャラクターと区別する必要性が(動画コンテンツを楽しむ上では)ほとんどないということも指摘するべきだろう。現状、バ美肉という言葉はバ美肉おじさんを指すか、あるいはもっと狭く魔王マグロナを中心とした有名バ美肉おじさんプレイヤーの界隈を指すのがもっとも多い使われ方だろう。

ちなみにバ美肉という言葉が流通しているのは、「中の人がおじさんの美少女」を指す他の呼称がないことも一因だと思われる。当のバ美肉のルーツになった人たちも、意図的に広めた呼称ではなく広がってしまった言葉として言及している。


バ美肉のこれから:女性になりきれないおじさんたち

バ美肉という言葉はこれからどうなっていくだろうか?先の話の通り、バ美肉=おじさんという認識はますます加速していくだろう。同時に、バーチャルなアバターをもつ人々の総数も増えることは予想できる。アバターを持つことについてはVRChatの文化に近づいていくだろうと予想するが、筆者にVRChatの知識がないためここでは言及を控えたい。代わりに、YouTubeを代表とした配信メディアで配信するにあたって、「アバターを利用する」ことと、「キャラクターになる」の差異を中心にバ美肉の今後を考えよう。

アバターとキャラクターの差異はそのまま現実人格との関係の有無の差だ。すでに現実で何らかの活動が認知されており、それと配信を紐づけたい場合はアバターという立ち位置を取る。そうでなければキャラクターになる。前者の方が現実的な利益を得やすい場合も多いし、後者の方が制約から自由になれる点でメリットがあるという見方もできる。どちらがいいかは人によるだろう。

そうした中で、取り残されるのが「女性として活動したい男性」(あるいはその逆)だ。仮に見た目・声・言動を全て女性と認識できるキャラクターを男性が演じていたとして、それは完全に秘匿される限りにおいて女性キャラクターでよい。男性が女性アバターを使うことがより一般的になれば、外見が女性で男声であることは珍しくなくなっていくだろう。その中間、つまり女性として振る舞う志向を持ちながら、男性であることを隠さない・隠せない人々、彼らに残された言葉がバ美肉おじさんなのではなかろうか。

くしくもバ美肉界隈の一部ではよりかわいい声を追求するボイスチェンジャー技術の発展や、いわゆるkawaiiムーブの習得に向けられる熱意など、かわいさへの志向が目立つ。この流れの行き着く先に、男性が女性を完全に演じることができる世界があったとして、それでも人は自分が男性だと明言するだろうか?

バ美肉という言葉そのものが残るのかどうかは分からない。それでもおそらく、今バ美肉おじさんと呼ばれているような人々は存在し続けるだろう(現実世界でいうところの女装のようなものかもしれない)。そのような存在のはしりとして生まれたのがバ美肉であり、バ美肉おじさんなのだ。


個人的推しおじさん3選+1

最後に、ここまで語った筆者の推しおじさんを紹介しよう。

まきちゃん(りむとまき channel

まずとにかく外見がかわいい。羊の被り物、青く深い目と短髪、下八重歯、そして服装。巻羊先生の書くキャラクターは服のセンスが大変好みである。そして見た目だけでなく振る舞いもかわいい。同じチャンネルで配信しているりむちゃんとのやりとりは大変に尊い。一応男声ではあるが、そのようなことは瑣末な問題だろう。(おすすめ回としてスミノフ回をおすすめしたかったが限定公開になっていて絶望してしまった… ので代わりに2018年イチ笑った動画であるところの麒麟たろうRTAを貼っておく)

竹花ノートパパ(ノート竹花

普段はボイスチェンジャーなしでたいへん清楚でかわいい高音を出す竹花ノートママだが、低音(男声)で喋る際の愛称であるノートパパをおすすめとして推したい。なんといってもイケボである。普段とのギャップもあろうが、落ち着いた心地いい声と少し闇のあるトーク(をしていることが多い)、あるいは日常の話し声に近いような親しみがありたいへん良い。惜しむらくはパパボイスの出現度が低いことだが、おすすめの動画としてこちらの2/11雑談動画を挙げておこう(少し声が枯れていてそれもよき)。

魔王マグロナ(まぐろなちゃんねる

マグロナちゃんの魅力はかわいい見た目、言動、そして声をあげる人が多いだろうが、ここではそれに加えて高いエンタメ性と時折垣間見える理論派な部分を推しポイントとして挙げたい。エンタメ性という点で言えば、足つぼダークソウルやおしゃぶり配信などの気が狂ったかのようなおもしろコンテンツを生産し、宇宙開発ゲームではクリエイティブな方面にぶっ飛びを見せるなど多彩なおもしろさを見せてくれる。一方で主に創作関係を中心に言語化され体系立った理論を持っており、それを語ってくれるのも魅力の一つである。おすすめ動画は、足つぼダークソウル1お絵かき理論1を挙げておこう。

おじさん初心者向け:兎鞠まり(兎鞠まりちゃんねる

おじさんというだけで敬遠しそうになる人にはまりちゃんがおすすめ。各動画が1時間前後とバ美肉おじさんの中では短めでとっつきやすい。どれを見ても良いが、マシュマロ相談回を一旦おすすめする。


余談

最近追っている九条林檎はバーチャルタレントでありながら人間界に実体を持つことを明言している(魔界から人間界に来て、そこからバーチャルに入って活動している)。すなわちバーチャルの九条林檎は現実世界の九条林檎のアバターであり、それらを合わせてキャラクターであるという珍しい立ち位置にいる。こちらは別記事で詳しく紹介したいが、この例にとどまらずアバターとキャラクターの境界線はどんどん曖昧になっていくだろう。


言及

リンクは各YouTubeチャンネル。

[表1]
魔王マグロナりむとまき兎鞠まり竹花ノートらぎちゃん(柊椋)オニャンコポンねこますのらきゃっと歌衣メイカふぇありすつのはねあかぎ犬山たまきおにこ

[表2]
ぴろぱるあんずちゃんだてんちゆあ大狼うる或葉ユウヒねむんちゃんみれあ維漣やまいけ七月てる編田あつむ前田ゆうこいわながちゃんかぐらななしぐれうい

[図]
キズナアイ名取さな花譜因幡はねる九条林檎日雇礼子にじさんじ(グループ公式)ホロライブ(グループ公式)

[その他記事内で言及]
月ノ美兎




      

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