見出し画像

勝手によろず支援 その13 - Raspberry Pi

Raspberry Pi(ラズベリーパイ)は名刺ケースを一回り大きくしたくらいのサイズの小型のコンピュータです。ここ最近、色んなシーンでこの名前を見かけるようになりました。

イギリスで教育用のコンピュータとして開発されたものですが、教育以外の分野でも積極的に取り入れられているように見えます。具体的な事例やスペックはネット上の資料をあたって頂くとして、ここでは完全に私の主観(偏見)ベースで「何が出来るか?」をざっと説明したいと思います。

プログラミング

PythonやC言語の開発環境は最初から入っています。Rubyなどの他の言語も簡単にインストールして使い始めることができます。後述するターミナル(コマンドでコンピュータと対話する方法)を使うのが基本ですが、GeanyThonnyといった開発環境も整っているので、初心者はまずここから、様々な言語を学び始めることができます。Windowsを基準にした参考書だと、環境構築に最初の章が割かれていることが多いのですが、Raspberry Piなら、立ち上げた直後からもう環境がほとんど整っています。これも後述しますが、クラウドで動くシステムの場合、LinuxベースのOSに載せることが多いのですが、Raspberry Pi OSもまたLinuxのディストリビューションの一つなので、親和性が高くなります。

Scratchもデスクトップ版をインストール可能です。OSを入れ替える必要がありますが、IchigoJam BASICも使うことが出来ます。

文章作成・表計算

LibreOfficeというオフィススイートをインストールすることが出来て、WordやExcelに相当するドキュメントを作成することが出来ます。ただし、ちょっと処理が重たく感じる場面もあり、実用にまでは向かないかなという印象です。Chromiumというブラウザも入っていますので、ここから Google Drive を使うという手もあります。

ウェブのブラウジングなども普通に可能ですが、これもやはり処理が重い、と感じる場面は多くあると思います。

IoT(Internet of Things)

電源とインターネット接続が確保できる場所(要するに事務所とか家庭内)ならば強いと思います。USBまたはGPIOを介して様々なセンサやデバイスを接続することが出来、それらへのアクセスも用意です。例えば、PimoroniSparkFunなどからHatと呼ばれる、GPIOの直挿しするだけで利用可能なセンサのキットなどが売り出されています。これらの多くにはPythonなどで簡単に利用できるインタフェースも付随していて、導入までの技術的なハードルがとても低くなっています。

画像処理

その他のセンサと一線を画して、カメラモジュールには専用の入力端子が備え付けられています。raspistillraspividというコマンドも最初から用意されており、画像や動画を撮影することが出来ます。OpenCVなどの画像処理ライブラリと組み合わせてカメラをセンサーとして活用することも可能です。motionというパッケージを使って以下のようなことも出来ます。

各種サーバとCLI(Linux)

クラウド環境が安定して廉価で利用できますので、実用面での必要性は薄れていますが、Raspberry Pi OSでは、ウェブ、メール、ファイル(FTP,SMB)などなど各種のサーバを立ち上げることも出来ます。イントラネットに一台置いて開発用のテスト機として使ったり、データの共有やバックアップに使ってみるのも面白いかもしれません。

また各サーバの立ち上げ技術と連動して、それにアクセスするターミナルの操作も自然に必要になります。先述したようにLinuxのマシンを操る基本になりますし、多くのクラウドサービスの基盤もLinuxであることから、かなり汎用的な技術と言えるのではないかと思います。

その他

Sonic Pi ではRubyを使って、様々な音源を操ることが出来ます。Minecraft Pi は普通のMinecraftに比べると出来ることは限られていますが、Pythonを使ってその世界にアクセスすることが出来ます。他にも、様々な興味深いパッケージがいくらでも見つかると思います。

最後に

たまにWIndowsのマシンを使うと、スタートメニューの目立つ位置に勝手にニュースが配信されてくることと、予期できないタイミングでWindows自体の更新プログラムが走り出してしまうことが、とても気になります。「集中して作業したい」というユーザの意思が尊重されていないようで、指示待ち型の仕事をする人に最適化されているな、と感じます。

Raspberry Pi OSの先祖とも言えるUNIXには、それとは違った哲学があります。シンプルで無骨だけど、目的を持った人には、すごく使いやすいと感じてくれる部分がどこかしら見つかると思います。

Raspberry Piの価格から考えると仕方のないことなのですが、より高度なことをしようとすると、処理に時間がかかるな、と感じるタイミングは増えてくると思います。ただ、もしあなたがプログラマやデータ分析のプロを目指すのであれば、まずはこの環境で、色んなことを試して”何の処理が重たいのか"を体感した経験が将来の糧になると思います。

宮崎県よろず支援拠点では、中小企業や個人事業主(創業予定の方も!)からのご相談をお待ちしています。ICTに関することであれば、私(伊藤)宛に直接メッセージ頂く形でも受付可能です。相談は全て無料で何回でもOK!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?