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Excelは何のために使うの?

仕事ではExcelを使うのが常識だとか、Excel使えない人は仕事ができないと言われて、Excelを学習したものの、結局「Excelが何に使うのかわからない」ため、目の前の課題を解決できない、だからExcelは使わない、使うとしても誰かが作ったもので検索したり入力するだけ、という方は非常に多いと思います。
そのようなビジネスパーソンの方々がほんの少しずつExcelに対する理解が上がっただけで、世の中では大きな変革が起きると思います。その変革はお一人お一人にも良い効果をもたらすと私は信じています。

書籍を出版します。


Excelで“時短”システム構築術――案件管理の効率化を簡単に実現しよう!

そのような思いもあって8月23日にExcelの書籍を出版します。

Excelで“時短”システム構築術――案件管理の効率化を簡単に実現しよう!

この書籍はExcelのあらゆる機能を使って「案件管理」ができる仕組みを、例えば、ぬいぐるみを作るように、料理を作るように、プラモデルを作るように、組み立てていく本です。
特別な機能や関数は使っておらず、Excelの勉強をしていたら一回は使ったことがあるだろうなというものを中心に、マクロとVBAと、スピルという新し目の機能を紹介しつつ作成していきます。
「何のためにExcelを使うのかわからない」という方へ、ひとつの具体的な使用例としてわかっていただけるように、その先に、Excelを使うとこんなことができるとイメージできる人へ変わっていただける、そんなことを目標にしました。
しかし、この書籍はExcelを全く操作できない、あるいは、だれかが作ったものに対し入力や検索していないという方にはハードルが高く、その前に予備知識として知っておくものがあると思います。それはもちろんExcelの使い方でもありますが、それ以外にも目に見えないくい、概念的なもの、根性論ともとれるものも必要だと思っています。
その部分について、Excelの専門家としてのアプローチで解説してみたいと思います。

なぜ仕事をするのか

いきなりですが、みなさんは、どうして仕事をすると思っていますか?ここからスタートして、Excelはなぜ使うのかを説明してみます。
仕事の目的は人それぞれの価値観で違いがあると思いますが、Excelを起点に考えてみると、ひとつの目標があるように思えます。
それは「顧客を満足させる」活動だと私は思っています。
誰に対して仕事をしているのか、それは会社に売り上げをもたらしてくれる存在、「顧客」なのです。決して上司を喜ばせるのはなく、社長の顔色を伺うのではなく、自分の出世のためでもないのではないでしょうか。
もちろん、組織である以上命令系統はありますが、人間としてどちらが上かということは会社内ではないと思っています。
今の仕事が、ただこなすだけになっていたり、どこか他人事のように思っていないでしょうか。
もし顧客を満足させることに集中できれば、仕事の中で工夫することによって、より早くお客様に商品やサービスを届けられる、コストが下がってお客様が購入しやすくなるということに結び付けて仕事ができるようになります。
これは人間的な成長を促すもので、自分に対して自信がつき、たのしく仕事ができる考え方になるのではと考えます。

顧客を満足させるのかどうか

顧客は神様ではない

とはいうものの、顧客は神様と思えとは決して思ってはいません。
顧客は「同じゴールを目指すパートナー」なのではないでしょうか。
ビジネスは成功させなければなりません。そのためには、顧客と一緒になって成功に向かって邁進する必要があります。そこでもどちらが上かという考え方は、成功するかしないかという考え方に比べたらとても小さいものだと思います。
成功することから離れていくような無理な要求をしてくる場合、それは成功できなくなるかもしれないことなので、顧客にはお願いをする必要があります。それでも無理な要求をする場合は、その顧客の信用度は落ちてくるので、ある一定のところで勇気を持って断ち切る必要も出てきます。まずはそうならないようにコミュニケーションを取ることが大事です。
そうすれば、無茶なことを言ってくる顧客の対応で精神的な疲弊をしなくて済むようになります。

顧客は神様なのか

利益を上げることは悪なのか

私自身を振り返ってみると、お金を頂くことには多少の罪悪感を感じます。なので、「請求」という行動に移るのがとても苦手です。しかし、ビジネスにおいて、そのような感覚は間違いだと気づき、罪悪感がほとんどなくなる考え方を見つけました。正直、「金儲け」はどこか悪いイメージがあります。しかし金儲けという言葉ではなく、「売り上げを上げる」「利益を上げる」ことは、お客様のためになることだという発見です。
利益が上がる構造は次のように考えます。

  1. お客様に製品やサービスを提供する

  2. 良いサービスなら顧客が満足する

  3. 口コミや評判が上がる

  4. 売上が増える

  5. 利益が増える、資金が増加する

  6. 次のお客様を満足させるサービスを開発できる

この繰り返しです。
お客様が、今の商品で満足できないところの改修、欲しいと思っているものの提供をすることで、満足度を得て、信用される。その結果。売上や利益に結び付き、会社も発展するしお客様の暮らしもどんどんよくなっていく、最終的には世の中すべてが良くなっていく、よいスパイラルが発生します。それぞれの会社は得意分野で社会をよくしていくもの、なのではないでしょうか。

顧客を満足させる最強ループ

先取りが大事

顧客を喜ばせる一番簡単な方法は、顧客がほしいと思う前に、顧客が欲しいものを提供することです。
「これほしいんだけど」と言われてからそれを出すのでは、ほしいという思いが最高の時ではありません。最高にほしいと思うのは、ほしいと思いついた瞬間です。その瞬間に合わせるのには、お客様の気持ちや行動を先取りする分析力が必要です。
私はパソコンインストラクターなので、顧客にExcelを教えていますが、教える区切りごとに、サービス上、仕方なく「質問やわからないところはありますか」と聞きます。しかし、これは三流のやり方だと思っています。
本来は、お客様が疑問に思った瞬間に、質問せずとも、講師の方からその説明がなされるべきです。そのためには、教える内容を分析し、受講生がこういう層だからこういう疑問がここで出るはずだ、だからここでこういう説明を入れるというのをカリキュラムとしてあらかじめ入れておくという仕組み化をしています。これはテクニックでやろうと思ってもできることではないので、誰が教えても質問が出ない完璧なレッスンの仕組みを作るのを目標にしています。叶わない目標ですが、本来の姿はそういうものだと考えています。
このように先取りする仕組みを作っておくと、顧客はまず「どうしてほしいってわかったの?」と驚くでしょう。それはお客様が自分のことをちゃんと理解されているという特別感を感じることになります。それは最終的に信頼や安心感に繋がるものなのです。
その仕組み作りをする資金を調達するために利益を上げることが必要だと強く考えています。

顧客よりも先に顧客のニーズを捉えよ

紙と鉛筆作業とパソコン作業

さて、いままでの話で、「仕事」に対するイメージについて説明しました。今度はそれを踏まえて、「効率化はなぜするのか」に焦点を当てていきましょう。
昔は、ペンと紙を使い仕事をしました。ペンでカーボン複写式の伝票の用紙に記入して、複数できた用紙をそれぞれ担当部署に送り、担当部署がそれぞれの帳簿に付けていました。
例えば、お客様から注文が入ったら、注文伝票に入力して、倉庫部門と経理部門に送ります。倉庫部門は商品を取り出し、在庫を管理している帳簿に伝票を転記します。経理部門は伝票を請求作業をする一覧表の帳簿に転記します。
このようにペンで紙に書き写す転記転記を繰り返すことで、仕事が成り立っていました。このように紙とペンでは、「間違える」「紛失する」といったことが起きます。この問題点には気づきますが、この時点ではそれ以外の「遅い」「面倒」という問題点には気づきません。それしか方法がないのですから比較するものがないのです。
今度はパソコンで究極に自動化された世界を考えてみましょう。あくまで究極に、です。
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どうでしょうか、どんな世界が思いつきましたか?
お客様が自分の会社のパソコンで注文をします。そうするとその情報はネットを通じて私たちの会社では、「誰が」「何を」「何個」注文したか一覧表でデータを見ることができます。注文が入ったら注文した商品の番号と、お客様の情報が書かれたバーコードシールが倉庫のプリンターで印刷されます。あとはその商品の番号のものにそのシールを貼って搬出すれば、その後の工程ではその商品をどこに送るかバーコードを読み取るだけでわかります。納品する人が納品時にバーコードを読み取れば、一覧表に納品したことをマークすることができます。
おそらくAmazonの配達はこのような仕組みを作っていて、人間が作業することを究極になくしているのだと思います。
一旦その世界があることを想像すると、紙と鉛筆作業では「遅い」「面倒」「辛い」という問題点に気付くでしょう。
対してパソコンを使った作業は「早い」「正確」「楽」だと思うでしょう。
どうでしょうか。
実はここまでパソコン作業は素晴らしいと説明しましたが「故障」「停電」「悪意」といったことにはパソコン作業は弱く、その部分だけは手作業にするなどの検討が必要です。

紙と鉛筆なんですか?

パソコン活用例

では、顧客に先取りサービスをするうえで、実際にパソコンはどのように活用すればよいのでしょうか。
顧客がほしいと思うのは市場のトレンドにも左右されます。これは流行りということではなく、品不足や価格の高騰ということでもあります。
例えばレストランである野菜を使ったメニューがあって、その野菜が世界情勢の影響で入手困難になることをあらかじめ予測し、他の野菜を使ったおいしいメニューの開発をするという場合です。この場合はその世界情勢のニュースを知ったタイミングでその野菜の値段を記録してExcelでこれからの価格の動向を予測することで実現できます。
また、顧客のリストを電話機に取り付け、過去に連絡してきた相手を識別し、届け先を聞かずに注文を請けられる宅配ピザの注文や、タクシーの配車予約も活用したことがある人もおおいのではないでしょうか。このようなサービスは顧客に驚きと感動を与えることができるのです。
ひとつの顧客リストを、許可を得ている人なら誰でも見れるような仕組みにしておけば、その顧客に対し、どんな説明を今までしてきたのかがすぐにわかり、誰もがその顧客に対し同じサービスを提供できるようになるので、顧客は安心するのではないでしょうか。
このような活用例は紙と鉛筆では実現が難しいでしょう。

パソコンを使って顧客の心を掴む

利益は売り上げとコストから導かれる

資金を得るためには、利益を確保する必要があります。
何かを作って販売する場合、材料費や人件費というコストがかかります。これが費用です。費用は少ない方がよいです。
利益は、お客様が購入した金額である売上から、費用を引くことによって求めることができます。
パソコンを使った作業は、この「売上」を上げるための仕組み、「費用」を抑えるための仕組みの2つに分かれます。
世の中でイメージされるExcelを使った自動化は「利益」を抑えるもので、それは効率化とも言えます。このイメージが強いのですが「売上」を上げる仕組みも世の中にはあります。「売上管理」の仕組みは「売上」を上げる仕組みではありません。「売上」の活動を効率化し費用を抑えるものです。
さて、「費用」を抑える仕組み、「売上」を上げる仕組みをイメージしてみましょう。

利益を上げる

売上を上げる仕組みと費用を抑える仕組み

イメージできましたか。では実例を挙げてみましょう。
費用を抑える仕組みはたくさんあります。私の書籍では「案件管理」の仕組みを作成しますが、「案件」が発生したときにどこから注文された案件かを登録し、いくらで見積もっているのか、見積、注文、納品、請求といった作業が終了しているのかどうかをチェックできるものです。紙で行うのであれば伝票から転記するようなことが数多く発生する作業ですが、これが転記せずともワンクリックからツークリックで行われるものです。
これにより、間違いが少なくなり、作業時間の短縮、正確性の向上ができますが、これがあるからと言って売上が上がるものではありません。
「売上管理」の仕組みは「売上」が上がるものではありませんが、そこに記録された売上データを、月ごとに商品ごとに販売先ごとに集計し、グラフにするようなExcelの仕組みがあったらどうでしょうか。これは市場分析となり、良いタイミングで販売を行うことができ、売り上げ向上に役立つものとなります。

利益を上げるパソコンの使い方を考える

まとめ

Excelでは、効率化ができます。効率化をすることでコストを下げ、費用を抑えることができます。
Excelでは、データの分析ができます。これから顧客が何を欲しくなるのかを予測し、顧客にいいタイミングで提案することができます。
このようにExcelを使うことで利益を生み出すことができるのです。それは何のために行うのでしょうか。すべては顧客に喜んでもらうためです。顧客に信用されることで顧客は企業をパートナーと捉えます。そうすれば成功というゴールに向かって、一直線に仕事をしていけるのです。
そのためにExcelを使っていくのです。Excelを使うことで自分自身を仕事の仕方として表現することができます。それはその人のビジネスパーソンとしての個性にもなります。

Excelで“時短”システム構築術――案件管理の効率化を簡単に実現しよう!

※本記事の画像は、Bing Image Createrで生成したものと、ぱくたその素材を使用しています。


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