見出し画像

情熱の統計学

皆さんt検定って聞いたことありますか?
品質管理に携わるなら、使っている人は多いと思います。
そうでない人も、学生の頃に聞いたことある人や実際に頭を悩ませたことあるでしょうか?

最近、統計学を勉強していますが、人に伝えることで定着するようですので今日も皆さんにお伝えして、脳に定着を図りたいと思います。
興味のある人はお付き合いください。

冒頭紹介したt検定を産んだ数学者の紹介です。
統計学の内容はほとんど出てきません。人物紹介です。

19世紀のイギリスが舞台です。
黒ビールの有名メーカー、ギネスビールの醸造技師にウイリアム・セール・ゴセットという社員がおりました。

彼はビールの味を決めてとなる、発酵状態を酵母の数から評価する仕事をしていたようです。酵母が多くなると苦味が強くなり、少ないとコクがなくなる。

彼は、限られた酵母の測定結果から、樽全体の酵母の発酵状態を予測しなければなりませんでした。そのために、統計学の必要性を感じていたようです。

そこで、彼はなんと会社を説得して、大学に統計学を学びに行ったそうです。
当時のイギリス、労働環境は今のとはまるで違い、労働者はあくまで労働力を提供するだけで、労働者のスキル向上や効率化なんてものも求められていませんでした。そんなものは労働者を朝から晩まで働かせればいいと考えている経営者が多かったようです。

そんな、労働環境の中、一年も休職をして大学に行ったのですから、彼がよっぽど情熱を注いで説得したのか、上司がものすごく優秀で柔軟な考えを持っていたのかです。その両方かもしれません。(すげーポイント①)

そして、大学で統計を学んだのが、統計学の父とまで言われる。カール・パーソン教授でした。彼は27歳で教授になるのですが(これだけでもすごい!!)それまでに、民俗学や科学、哲学、マルクス経済学を学んでいます。その上で数学をして27歳で教授ですから天才中の天才でしょう。

そんな教授のもと、日夜研究に励みt検定を見事完成させた。
とそんなに順調には進みませんでした。

ここで、少し統計学の話をしますが、統計学の目的の一つに、限られた測定結果(酵母の測定結果)から母集団(樽の発酵状態)を予測することにあります。ウィリアムもこれがしたくてわざわざ会社を休んで大学まで学びにきたのですが、その師事した教授が、測定結果が多くなければ統計学が成り立たないという考えの持ち主でした。

教授は測定結果が数百〜数千ないと統計学を適用できないと考えて(実際に正しい)その研究は民族や種族など大規模なデータがあるもの対象にしていたようです。

そんな彼と教授は最後まで意見が対立し「私のように小さいサイズの標本を使わなければならない人を他に知らないというならあなたはよっぽど幸せだ」と皮肉たっぷりの手紙を送ったようです。

統計学の父とまで言われた天才に、ここまで反抗できるのですからとんでもないメンタル…(すげーポイント②)

そんな彼、次は「それなら小さい標本にも適用できるものを作ってやる」と昼間の仕事が終わってから自宅の台所で研究していたようです。(おいっ大学はなんだった?)

そして、ついに小さい標本にも適用できる。t分布を見出したのでした。

しかし、これでも終わらない。

なんと今度は会社が、この発明を自社のものだけにするべく、論文の発表を禁止したのです。

皆さん、もう彼のことわかっているでしょうが
彼は当然こんなことで折れません。
ペンネーム(Student)として論文を発表したのです。(すげーポイント③)

何が彼をここまで突き動かしたのか。
とんでもない情熱です。

ここまですげーポイントを上げましたが、失礼ながら自身に当てはめて脳内でシミュレーションしてみました。

①俺「酵母の数を正確に把握するには統計学が必要なんです!」
 上「統計学?うざんけな働け!!」
 俺「統計学があればもっと味を均一に美味しくなるはずです!」(ここで一杯一杯)
 上「保証できるのか?」
 俺「・・・・」撃沈

②俺「なんとか標本が小さいものでも適用できませんか教授!」
 教「そんなもん統計学ではない。学位はやらんぞ!!」
 俺(まあ大人しく学位(権威)だけもらうか)「はい!」

③会「君の研究は論文出しちゃダメ!会社のためだから」
 俺「はい!喜んで!!」(本来の俺)

無理です無理です。
どうなっての?t検定ができる奇跡に感謝!!
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?