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祖母、亡くなる

 1月10日に94歳で祖母が亡くなった。
随分疎遠だったので、悲しいとは感じなかった。感謝の気持ちで見送った。
 幼い頃はたくさん遊んでもらった。母になつかなかった私は、祖父母に甘えることが多かった。それもまた母の反感を買ったのだろう。母は祖父母を悪く言った。それを度々聞くうちに、私も祖父母に近寄れなくなった。今思えば、よくある嫁姑の問題だったのだろう。
 昨年は祖父が94歳で亡くなった。よく言う祖父が迎えに来たのだろうと私も思う。かなり前から、2人とも耳が遠く、大きな声で自分の言いたいことだけを話し、お互いの話を聞くという様子はなかったが、納得しているように見え、仲良く暮らしているようだった。
 それでも90歳を超えての2人暮らしは大変だったようで、いよいよ入院や体調不良が重なり、両親が祖母の家に片づけに行ったときは、すでにゴミ屋敷となっていたようだ。それを1ヶ月かけて片付けたという。それに加えてドカ雪が降り、2軒分の雪かきや病院からの連絡、両親は大変だったと思う。
 葬儀を取り仕切ってくれたのは地元の葬儀屋さん。名前に聞き覚えがあり、尋ねると同級生の兄だということ。仕出しお弁当を持ってきてくれたのは中学のクラスメイト。時代が過去に戻り、自分が何歳だかわからなくなる。
 葬儀当日の朝、駅から実家までを息子と一緒に歩く。過去の出来事を息子に話しながら、不思議な気持ちになる。何もないこの町が嫌いで、固定観念に縛られた母に反抗して、早く大人になって好きなように生きようと決めていた私。そんな私の古いアルバムを息子が見て、不貞腐れた顔してる、と言った。ホントに不貞腐れていたな!って思うとおかしくなった。もっと素直に、もっと心を開いていたら、何か違う生き方だったかもしれない…
 過去はもう戻らないけれど、受け入れたくない過去は終わったんだと思う。祖母が空へ持っていってくれたようだ。

 

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