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『ノンキナトウサン 復刻版』、予約者には付録がつきます!

※予約受付は終了しました。付録の添付はありませんが、本自体は継続して販売しております。

『ノンキナトウサン 誕生百周年記念復刻版』、現在予約受付中です。 どんな本かはこちらをお読みください。

当初は11月中の納品を想定していたのですが、少し遅れて12月の頭になってしまったので、お詫びの意味も込めて、この復刻版を予約してくれた方に対して附録を付けることにしました。いわゆる予約者特典ですね。
この手の特典で良くあるのはポストカードや栞などですが、(人によるとは思いますが)個人的には別に欲しいと思ったことが無いので、どうしようかなと考えて、今回の復刻に際して色々買った資料の一つ、麻生豊自身が描いたと思われる『ノンキナトウサン絵噺(一)』というのを復刻することにしました。

ノンキナトウサン絵噺(一)


これは日清生命保険という保険会社のPR用に作られた冊子で、表紙に「豊」のサインがあり、絵も麻生が描いたノンキナトウサンであることから、麻生自身が仕事として描いたものと思われます。表紙なども入れて12ページの冊子なのですが、中面の8ページにはノントウがタイショウにかなり強引な方法で、保険の大切さを学ばせるというエピソードが描かれています。保険の説明などは特にないので漫画冊子として読めるものになっています。

中面ページ


制作時期は不明ですが、日清生命は昭和14年に他の会社と合併して名前が変わっているので、昭和初頭、少なくとも戦前のものではないかと考えられます。
この冊子を復刻する意図としては、既存のキャラクターをオフィシャルに広告に使われた比較的早い例として考えられるからです。
ノンキナトウサンや正チャンは、その人気からグッズや広告などによく使われていましたが、大半は人気に便乗した無断使用であったと考えれ、実際絵の巧拙はありますが結構違います。
そうした中で、作者が自身のキャラクターを広告用に書き下ろしているというのは、オフィシャルに使われた例として考えても良いものだと思われるのです。麻生はこれ以外にも「味の素」の広告漫画にもノントウを使っていて、ノントウはキャラクターのマーチャンダイジングの歴史的にも結構重要な存在ではないかと思われます。
こうした広告利用が行われたのは、麻生がノントウを始める前に広告代理店の弘報堂(現・株式会社日本廣告社)の社内に設立された、新日本通信社に所属していたというのもあるのかもしれません。

復刻の候補としては赤本も考えました。ノンキナトウサンの赤本として、良く見かけるのは田村書店の『ノンキナトウサン文庫』という豆本のシリーズで、私も何冊か持っています。
これは多分榎本書店が『正チャンの冒険』に便乗して出してた『正チャン文庫』がヒットしたのを受けて、真似して出したものだと思われます。絵と文章が1ページづつ交互に展開するもので、当時としては漫画漫文の一形態だったとも考えられますが、今から見ると小説と言われるでしょう。

国会図書館デジタルコレクションで読めるものがあるのでご興味がありましたら読んでみてください。マイクロフィルムからデジタル化したものなので、モノクロですが現物は表紙だけカラーで中は全て黒一色の印刷です。
ノンキナトウサン文庫 バラックの巻(田村書店、大正14年)

ただ、ページ数が多くレタッチに時間がかかりそうなのと、判型が小さいのでグラフィックなどで手軽に作るのが難しそうなので諦めました。


この予約特典の冊子は、12月1日までに予約して頂いた方全員に添付いたします。ご興味のある方はこの機会に是非お申込みいただければと思います。