ポケット屋敷の探し物39 中庭の異変

でも昔から和恵は美和子に負けず劣らず明るかった。
その明るさが鳴りを潜めた時絶対良からぬことが起きる。
紫穂は身震いした。
「なんか、草とか土とか変な色してるような。」
和恵はポツリと言った。
「ふーん、気のせい…いや?」
逸美は言いかけて異変を感じ黙った。
「ほお、よくお気づきですな。この中庭は昔は天然の土と草でしたが奥様が虫に刺されてから人工芝に変えられ、向こうの木も作り物にしました。そして、その奥と天井は頑丈なアクリル板で囲っており、実質ここも部屋なのです。因みに通常この中庭は誰でも気軽に出入り可能になっております。」
と秀一が説明した。
「そう、確かに虫は嫌よね。美しいお肌が台無しになるわ。でも花も偽物なのね、残念。」
と紫穂はガッカリしたように下を向いた。
「花があると虫も来る仕方ないでしょ。」
逸美が嗜めるように言った。
「分かってるよ。なんかあの時の思い出が無くなった気がして。昔あたしはよくここで花のアクセサリーを作っていた。」
紫穂はしゃがんで造花を軽くつまんだ。

自分に出来るお礼はノートを充実させることです(^_^)a